速報→「親の顔が見たい」昴 ザ・サード・ステージ
2008.2.11 13:00 [CoRich]
畑澤聖悟の新作。11日まで、THEATER/TOPS。100分。
名門の私立中学校。早朝の教室で女子生徒が自殺する。クラスメイトの5人の保護者が夕方呼び出される。自殺した生徒から封書が届き、いじめにあっていたことと、5人の名前が記されていたのだった。
いじめと自殺、その加害者側と目される生徒の親と教師たちの一室における一時間半。名門私立でも、家庭の環境はそれぞれで、裕福だったり、親も教師だったり、経済的にやっとの想いで通わせていたり。自分の子供は関係していないと信じたり信じようとあの手この手の「工作」を仕掛けるのだけれど、次ぐから次へと現れる証拠や証人は、彼らの強引な言い逃れの道をひとつずつ塞いでいきます。あまりにも次々と証拠が現れるのは都合が良すぎる気もしますが、おかげで実にテンポがよくて、一時間半強、濃密な時間なのです。
鼻につくエリート意識や、隠蔽してしまおうという気持ち。生徒の自殺の加害者、という簡単に認めるには重すぎる罪は、そこからどうやって逃れるかということの試行錯誤を生みます。滑稽というよりはあきらかに判断能力がおかしくなったりもしますが、各々が子供をかばう気持ちはけっして愛情ばかりではなかったりするあたりが見えてくるのが見応えのある空間を作るのです。
あちこちに送られた遺書の一つを持ってくる新聞配達店の店長の造形も単なる思いやりという感じにしない、どこか裏がありそうにみせたり、自殺した生徒の親が教師にけりを喰らわせたりと、ほぼすべての人々に陰やダメなところを作っていきます。
圧巻なのは、隠蔽で一致していた学校側と(少なくとも表面上は一枚岩の)保護者たちの共謀が崩れ、学校側が手のひらを返して切り捨てる方向にもっていくあたり。
アタシには子供はおろか以下略。だから、彼らの本当の想いは理解できてはいないのだと思います。でも、じゃあ自分の為に嘘をついてしまったり、その葛藤があったりするのはとてもよくわかる感じなのです。
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