速報→「革命日記」青年団・若手公演
2008.2.2 15:00
かつて「P4」向けに書かれたという作品の、改訂再演。ぞくぞくとするような濃密な会話を楽しむ90分。11日までアトリエ春風舎。
空港突入と大使館占拠を企てる革命家組織。潜伏し後方支援にまわる組織の夫婦の家に集まり、計画直前の打ち合わせを行っている。夫婦には子供が居るが田舎にいる妹夫婦に預けっぱなしにしている。世の目を欺くために、普通に暮らしている夫婦のところには、近所の人間が町内会の問題を持ち込んできたりしてなかなか打ち合わせは進まない。一方、集まるメンバーは突然決められた方針の変更に戸惑ったり、なかなか来ないメンバーが居たりして。
時代としても、いままでやってきた人生の中でも、この手の運動やオルグといった類のものとは無縁できたアタシです。学生運動を含む昔の光景を懐かしむという視点でもなく、現代において「革命」を真剣に信じている人々の話は、革命がどうこう以前に困難な中で理想を推し進めていこうとする人々の現実のズレを浮き彫りにする話として濃密なのです。
議論を強く行っているのは、この芝居においてもやはり女性たち。男たちはどこか「なよっと」していたり、強く主張をしていても、その言葉には力がなく空虚に響くように感じられます。
組織の方針の変更の安易さに疑問を差し挟んだ女は、それは好きな男が任務に当たるから気持ちがぶれるからだと戒められるというシーンがあって、結構好きだったりします。組織の長らしい男はもっともらしいことは云うのだけど、そもそも話を真面目に聞く気などありません。怒鳴りあいのようになっていく会話が進むうち、方針の変更に勝算があるわけでもないことが露呈するし、対する女は確かに逆ギレなところもあるけれどアタシの気持ちにきちんと届くのは女の側なのです。
象徴的なのは、その男が革命の理念だか何だかを声高に主張するシーン。もちろんリーダーですから面と向かって否定などする人はいないのだけど、メンバー誰もがその言葉を真面目に聞いているという感じではなくて、彼の言葉が空虚に響くこのシーン。もし自分があのリーダーの立場だったら、こんなに怖いことはありません。いっそのこと否定してくれるならまだしも。
とはいっても、少なくとも革命家の彼らは革命を信じているというのが珍しい気もします。このシチュエーションなら、他に目的があって信じている人というのが居そうなものなのだけど、少なくともアタシには、全員がちゃんと信じているように見えるのです。それゆえに、この中での気持ちのずれというか違和感は、深刻に閉塞しているその組織の姿を浮かび上がらせると思うのです。
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