速報→「ナルシグナル」東京ネジ
2008.2.2 19:30
東京ネジの新作。ほぼ女性ばかりのパーティを舞台にした大騒ぎのような寂しさのような115分。3日まで王子小劇場。
女たちが集まってのパーティ。部屋の持ち主は同棲相手の男と別れたばかりで、その彼の実家から送られてきた「ミツタケ」なる高級キノコを肴にして食べることにしたのだ。浮気されたり合コン三昧だったり、結婚目前だったりとそれぞれの女たちが
日替わりの男性ゲスト一人を別れた彼氏としてファンタジー寄りに作られたシーン以外はすべて女性たちだけの大騒ぎと会話で進む話。そこに居ない彼氏を造形するために前半そうとう時間をかけているのですが、なんせそもそも出てくる人数も多いので、ここに少々手間取っている感じがします。役名が憶えられないアタシなのだけど、それが浮気したりなんだりとなると混乱しちゃうのですね。ダメ人間ですすみません。
幽霊やら飛行機事故やらUFOやら、浮気やらと次々と投入されるアイテムは、それが大きなうねり、という感じではありません。そこには「どたばた」が存在することこそが必要で、それを少し離れたところから眺めている自分が居て、「楽しければ楽しいほど、さみしくなってしまう」という空気を作り出したいのではないかと想像します。部屋にいた男が「居なくなってしまったことの寂しさ」と、気楽な女友達のパーティでの「大騒ぎの中に生まれる寂しさ」が重なった空気を作り出すのです。
キノコの幻覚の大騒ぎもそのなかのひとつ、というよりはこの舞台全体が主役の女の幻想の中で起きていること、という気がしないでもありません。別れた男のシーンがカットバックで挟まるというのも、飛行機事故をめぐってのわりとお粗末な勘違いとか、幽霊というアイテムの突拍子もなさも、そう考えればアタシは腑に落ちてしまうのです。それを夢オチ、といってしまえば身も蓋もないのだけど、アタシはそういう「脳内であれこれ考える」ってことの面白さってのを感じたりもするのです。
実はあまり見やすい芝居ではない気もします。ファンタジーと現実の境界線が曖昧というのはこの劇団の味ですが、個々の大騒ぎがそれなりに楽しかったりするのにわりとそれが放りっぱなしになっている感はあって、上のように幻想で大きくまとめてしまおうと思わないと疑問符が頭の上で点滅したままになってしまう感じがあります。
携帯電話の着信音があれこれ考えているのはわかるのだけど、音の出てくる方向も音質も携帯からなっているようには思えないのが少し難。天井から、携帯とは思えない大きなスピーカーの音として聞こえてしまうのが、いわゆる電子音ならともかく、「着うた」っぽい普通の音楽だったりするので、その音が着信音だと思えなくて戸惑います。
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