速報→「火の鳥にキス」ピンズ・ログ
2008.2.27 19:30
ピンズログの新作、二人で一人な女性漫画家を軸に確かな筆力。120分、3日までMOMO。これからごらんになるならソファの対面が見られる中央もしくは少し上手寄りを。
田舎町の温泉宿。地元出身の女性漫画家とアシスタントの一行が来ることになっている。地元の情報誌のインタビューも。漫画家は女性二人、アニメにもなる大ヒットがあるものの、最近は打ち切りもあったりして微妙な立ち位置に。遅れてきた一人は編集の男を連れていたりして。
正直な話、全体に地味な感じはいままでと変わることはありません。テンションや華やかが出来る俳優たちをあえて押さえ込んでいて、コツコツと刻むようにファンデーションを置いていく感覚の前半30分は実はパンフレットに書いてあることなのですが、だからといって省略するわけにもいかないのが痛し痒し。が、その積み重ねの意味は中盤から花開きます。
二人が一緒に居続けて来た理由というか必要としていた関係というか役割の分担は示されないのだけれど雰囲気は良く伝わります。故郷の小さな町というのはステロタイプな背景ですが、今作に関して言えば絶妙で、同級生とか噂話とか四方八方にリンクする関係が特に後半、次々と提示されます。群像的に描かれとっちらかりそうにみえて、そのなかの一本の筋を迷わず選び取っているのは偉い。 こんなにゆっくりとした会話で長い時間を描いているのに、濃密という時間の感覚が不思議にゆがむ印象があります。今日の体調が良かったアタシには心地いい感じですが、19:30開演の2時間芝居としては体調によっては厳しいともおもいます。
アタシがこの芝居が気に入るのは、今の気分にあっているということもあります。昔の恋心、今の幸せ、いちどヒットしているのに低迷な感覚は、アタシのいまの気分によくハマります。いや、意味は違うのだけど。
ネタバレかも。
終幕の、漫画家の二人の決別が実にかっこいい。飛び道具として使われがちな高木珠里を終始押さえ込んだ芝居は初めてですが、しっかりした芝居の力を再確認。アタシの友人の云う漫画家チームがやけに美人揃い過ぎるというリアリティの無さは同感。地元出版社勤務の妹を演じた竹原千恵の二日目の会話の間合いが絶妙。東京の編集者を演じた迫田圭司は中盤で二人の漫画家それぞれに向き合うシーンの確かさ。
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