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2008.01.07

速報→「手オノをもってあつまれ!」スロウライダー

2008.1.6 15:00

スロウライダーの新作、少々取っつきにくさはありますが。云われるほど複雑な話ではない気がします。120分たっぷり。7日までTHEATER/TOPS。

スラム化した団地。外国資本の城下町となり、日本人がむしろ低い階級になっている。ナンミンと呼ばれる区域外からの労働者やジモティと呼ばれる地元民、企業の資本階級など、さまざまな階級が出来ていて一触即発の状態になっている。
企業の出した一種の害毒の影響で、見られると爆笑されてしまう顔になってしまうという被害者がでていて、頭に紙袋を被って生活している。その中の一人の女は、恋仲の男とキスをしたいと願うが、大笑いされてしまうためにかなわない。それを解決するためにサダコさんと呼ばれる司祭のもとに行き、まじないをしてもらうが失敗し、蛇に姿を変えてしまう。

まぶしいばかりに無機質な白い舞台、奥にはヒモ状のすだれを幕の代わりに。中央奥の出捌けをうまく構成していることも含め、実に美しい舞台です。 ネタバレかも

その世界全体がオンラインゲームの世界。スタンジョと呼ばれる現実世界のプレイヤーが化身(アバター)を作り、日々を暮らしているゲーム。その女のことを追い続ける別の男は、かつて女の父親として登場していたが、害毒の原因となったりして姿を消していた。別の化身として女の前に現れて....

舞台の奥には三角形を重ねたような図形。黒い筋が分岐し合流するさまを見せていて、ゲーム世界の選択肢と流れを示しているようですが、あまり明確には示されません。

ブラジル企業が力をもち、日本人がむしろ働かず、国としてダメになっている世界、というゲーム世界の設定。セカンドライフ的な世界なのだけど、前半はゲームであることは示されず、ルールの違う世界で起こるちょっと奇妙な日常、という印象で進みます。やがて物語はすすみ、現実の世界のプレイヤーが一瞬だけ示されたあと、たとえば現実世界での元恋人同士で片方が失われたことや、現実の世界でも厳しい仕事の日々で疲れ切っていたり、親に送金していることなどがにじみ出すように見えてきます。

オンラインゲームってものにはあまり詳しくない私ですが、この枠組みに入ってしまえば、まあ芝居でも、そこかしこに見かける題材でそう難しい感じではありません。反面、ネットのこの手の題材を見慣れない観客には、何のことだかさっぱりわからないと思います。

ゲーム世界であることを驚きにしたいという意図ではなく、むしろゲームの中に透け見えてくるプレイヤーたちの現実の姿が描きたいのだと思います。恋人を失ってしまったことでその残像を求めてゲームに耽る姿などには明確に現れてると思うのです。あるいは、ネットで見かけた女のことを追い続けようとする男の姿は、ネットを頼りに人に出会ってしまおうとするアタシの気持ちにちょっと重なります。ゲームはしないし、ストーカーでもない筈、なのだけど。

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