速報→「サバンナの掟」柿喰う客
2008.1.5 19:30
とある地方都市。援助交際を斡旋する女子高生たちのコミュニティー。その仲間の女子高生が客の男に暴力を受ける。別の女子高生は昨晩から連絡が取れない。
援助交際を捜査しようとしている刑事、上司の許可が出ない。いつも銃をこめかみに当て、死にそうなスリルが快感で抜けられない。
女性初の総理大臣、お忍びでやってくる。実はレズビアンで、女子高生を買うためにスタッフを連れてくる...
30人の舞台。高低はつけているものの、ほぼ素舞台。タッパも幅も奥行きもある舞台の広さはさすがに今までとは勝手が違うようで、工夫は見えるものの、さすがに空間を埋め切れているとはいえません。が、捨てキャラもあるとはいえ、この人数を空間を交錯させながら語る語り口はさすがに巧い。役名を覚えられない記憶力がザルなあたしですし、劇場の規模は役者の顔がすべての席からちゃんと見えるわけには行きません。が、それぞれの人物にキャラクタや見た目などの属性をきちんとしていて、実に見やすいのです。
いままでの印象、たとえば王子小劇場やモリエールクラスの狭い舞台ならば、紙芝居のように目の前の舞台を切り替えていくことがスピード感を持ち、グルーヴ感を醸します。今作においては広い舞台に何カ所かのステージを置き、並行させたり、裏で起きたりしていることをみせています。舞台の広さの中で出来ることを最大限にやっていますが、慣れない感じは残りますし、後方から観ていると、あちこちでちまちま芝居をやっている感じになってしまって勿体ない気もします。
題材は援交だの殺人だのと殺伐としていますし、言葉は相当に下品だったりガサツだったりします。おそらく受け付けない観客も間違いなく結構いそうです。が、びっくりするぐらいに、視覚的に刺激を求めないのも、歪んだ愛情の表現も、どこか、つかこうへいっぽい感じもします。
これを観たのは1/5。 昼にゲイ、夜にレズを扱う芝居という一日でしたが、同性愛の扱いに関して云えば、夜の今作においては比べてしまうと当事者でない分、少々雑な感じは否めません。とはいえ、ちゃんと走りきってみせるのは大したモノ。細かいところまで気持ちが行き渡っているのでしょう。たとえば死んでしまった仲間と、それが見える女が一人という処理も巧い。タバコは目の前の面倒なことから逃げる為の手段になるという視点もらしい感じで面白い。「マサコ」について語るうわさ話も、やんごとない方を想像させてちょっと巧い。
芝居そのものではありませんが、 近くのファーストフードでぼちぼちしていると、観客風やらの人々も入れ替わり立ち替わり。大きな劇場であることを素直に喜び、ほんとに楽しみにしている風の人々。上り調子の劇団固有の、周囲に見える熱気ようなものを感じます。
アタシの観た土曜夜はトークショーが設定されていました。内容というか語り口に少々疑問を感じないことはないのですが、劇場や制作がしっかりツボを押さえた進行になっていて、トークショー運営としてはかなりレベルが高かったという記がします。
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