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2008.01.27

速報→「ムコウカタ」ちからわざ

2008.1.26 19:00

あちこちの客演などで印象深い佐藤二朗の劇団。満員の客席。27日までTHEATER/TOPS。100分。

沈みゆくといわれている島で暮らす人々。殺人請負のような仕事はあるけれど、それなりに平和。海の向こう側にあるというムコウカタという恐ろしい世界に行って戻ってくる人もいる。ムコウカタから戻ってくる人はどこか違和感というか怖がられる存在。ある日、その中でもとびきり恐れられている「ウオズミ」がムコウカタから戻ってくるという噂が島を戦慄させる。

序盤、島のあちこちでされる会話は明瞭のにあまりよくわからない感じの世界を淡々と描写していきます 。基本的には二人から四人ぐらいの大きさの会話を点描していきますが、それぞれはわりと唐突で、ばらばらに存在している感じ。まあ、それこそが平和ってことなのかもしれません。

中盤から一つの脅威が世界を一つにまとめていきます。その脅威のありようが、あまりにストレートで逡巡とか葛藤とかがかけらもない、まさに「鬼畜」なので、一方的に逃げまどうだけになってしまう他の人々は強烈な役者陣をもってしてもやはり平板に見えてしまうのが勿体ない感じ。

ネタバレかも

終幕に近づいて、その世界の位置づけははっきりと示されます。島全体が、生まれる前のあるいは死んだ後の魂集う場所というか。ムコウカタはアタシたちの暮らす現世というような感じで、「ココからムコウカタに行く」ということは「産まれ出る」ということで、ココは楽園で向こうは追放される先、のような位置づけ。

ココを出てムコウカタに産まれてから死に、ココに戻ってくるまでの間の現世は、それはそれは恐ろしい世界ということを描いているのはよくわかります。胎内という明確な表現がされているわけではありませんが、まあ、そんな感じの描き方。遊◎機械全自動シアターで何度か語られているような、「産まれたくないと抵抗する」感覚にちょっと似ていますが、もっと殺伐としています。

いまひとつぴんと来ないのは、じゃあ、この世界での殺戮が何かの隠喩になっているのかどうか、なのです。まるでランボーのような出で立ちで出てくるカレがココで殺戮を繰り返し、あるいはもう一組の刀を持った人々の殺戮も。確かに沖縄風のイントネーションやアイヌ風の出で立ちといえないこともありませんから、主軸の彼もあわせて、理不尽な殺され方をすると、ここでの殺戮に結びつくということは云えそうなのだけど、その苦悩がちょっと見えて欲しい感じ、なのはちょっと甘えていますかね、あたし。

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