速報→「メディア モノガタリ」三条会
2008.1.19 14:30
ギリシャ悲劇の「メディア」の一部分を切り出して、独特の三条会スタイルに。80分。20日までザ・スズナリ。モノガタリそのものを語るという感じではないので、当日パンフの前奏・ものがたりを読むことをおすすめ。
恋をして魔法を使い人殺しまでして男に尽くしてきたメディアは逃避行でたどりついた地で幸せに暮らしていたが、その男は打算からその地の王の娘と結婚しようとする。絶望したメディアは王とその娘、男までも殺害することを計画し。
たとえばク・ナウカや山の手事情社のような身体表現に強みをもつ集団を凄いと思いつつ、身体表現自体はあまり得意でないアタシです。特定の役者の強烈な力などに引き寄せられて見続けているという感じがします。
三条会は、同じように身体表現の強みという点で、あまりアタシには得意ではないスタイルなのです。いまだにこれが好きなのかどうか、計りかねている劇団の一つ。本作に関していえば、抜群に面白いシーンがいくつかある反面、地の部分がちょっと飽きてしまう感じがあって、やはりアタシは距離感を計りかねるのです。
メディアという物語から、ごく小さな一部分を取り出し、女が一人呟く無間地獄のように語るスタイル。台詞はあまりいじってないだろうと想像するのだけど、一種の女の恨み節のような解釈になっていてアタシの気持ちにひっかかります。
メディアが自分の身柄の収まり先のめどがつき、計画を実行に移す段、芝居の上では休憩と称する3分の後、山口百恵メドレーに乗せてメディア視点で計画の実行や心を描くあたりが圧巻。「乗せる」という表現が正確かどうかは難しいところですが、音楽のリズムに、全く関係ない台詞をリズムで乗せつつステップを踏みながら語られるこのシーンは抜群に面白いのです。大川潤子の怪演がそれに輪を掛けます。
榊原毅演じる使いの者が語る惨殺のシーンの強いテンションも、中村岳人演じるイアソンが何度も刺し殺される少々コミカルなシーンもたしかにそれなりに見せるのだけれど、この山口百恵メドレーの前には、さすがにかすんでしまう感じ。反面、それ以外の地の部分となるほとんどは、あまり得意じゃないなぁ、とも思ってしまうのですが。
当日パンフで芝居とその前奏を簡単に解説するのは正しい配慮。もとの物語を知らないと手も足もでない感じなのも三条会らしい感じ。タイトルには「〜モノガタリ」とつけてはいるものの、物語を描くことよりも、もっと彼らの主眼は別の所にある感じがしてなりません。
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