速報→「天井」三田村組
2008.1.26 14:30
三田村組にモダンスイマーズの蓬莱竜太の新作、27日まで、ザ・ポケット。90分。
寝たきりの男、息子たちからも疎ましがられる。警官は寝たきりをいいことに裏金を隠す。たまに見舞いに来てくれるのは近所の純朴な男だけの日常。そこにヘルパーに来るようになった女性、淡い恋心を抱き男は質問をする「死ぬまでに何が見たいですか?」
平たく云えば「若返った老人のものがたり」。といえば去年のこれが思い浮かびます。時間が経つにつれて元気になっていくというのも似ています。が、語られることのテイストは随分とちがいます。
「ぬけがら」では心も若返っていくのは、どんどん純粋になっていく感じ。対して今作はそういうピュアな感じでありません。より現実的。身体だけではなくて心は変わらないのに気持ちも若い無謀さがあったり、金も心配ないし、恋心を抱く女も居る、という枠組み。ジジイがジャンクフードをむさぼり喰うようなコミカルさはもちろんあるのだけれど、それにはとどまりません。前向きなのにどこか底意地の悪いような、頑固なところは変わらないまま。むしろ老醜ともいうべき側面がどんどん出てきて、それなのに、必要とされていたいというか、寂しいとおもう気持ちのようなところは人一倍と、苦い味わいなのです。
希望はどんどん失われていく感じは、痛々しくなる直前で止めていて、するすると見事な感じ。終幕、天井を眺めいないですむようにする、というほんの小さな思いやりの発露が、不器用な男から出ていくというシーンがよくて、見逃してしまったものの大きさを感じるのです。
繋がりで判らないことがあります。 自殺、という単語がでてからあと、同じ男がでているように見えるのだけど、時間が巻き戻ったわけではない、のはいったいどうなんだろう。ここは少しひっかかるところなのです。モノガタリに対して影響があるわけではないのですが。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「誰かの町」タテヨコ企画(2021.04.19)
- 【芝居】「アン」やみ・あがりシアター(2021.04.14)
- 【芝居】「岬のマヨイガ」いわてアートサポートセンター・宮古市民文化会館(2021.04.05)
- 【芝居】「帰還不能点」チョコレートケーキ(2021.03.13)
- 【芝居】「リーディングトライアルNo.1」ベイサイド実験室2021(2021.03.01)
コメント