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2008.01.13

速報→「目を見て嘘をつけ」KAKUTA

2008.1.12 19:30

KAKUTAの新春のステージ。厚みのある大人の領域の芝居を着実に歩む130分。岸田國士戯曲賞候補になっている作家の新作。16日までシアタートラム。12日13日夜にはトークショーイベントを終演後に(12日は30分弱)。

海の近いところの古くからある蕎麦屋。女子高生も先生も事務員は来るが客は少ない。二階の部屋では霊視すると称する商売。祖母は本当に出来たらしいが、死後に継いでいる祖父はあきらかにインチキで。次男は真面目に家業を継ぎ、三男はインドに行くと行って聞かず。長男は30年以上の悩みを抱えて、光が見えたところ。「誰にでも問題はある」人々。
行き場を失った同級生を次男が呼び、その妻は同級生がマネージャーをしている漫画家を。

若い地に足のついた感覚の言葉を書くことが魅力だったKAKUTAは劇団員が30歳を超えた前回公演あたりから、より大人の物語にシフトしています。家族全員が問題をかかえながら、距離を絶妙に取りながら、それでも暮らしていくといく物語は、間違いなく大人の視線なのです。ちゃんと人生を積み重ねてきた人々の物語は、まだ作家にとっては少々ヘヴィーに過ぎている感じは残りますが、まあ時間が解決してくれることだと思います。

ネタバレかも

やってくる男と、同級生たちの話が中央にありながら、いろんなカップルを描きます。女性が強くなったと感じる最近の小劇場の芝居なのだけど、彼女たちはその一歩先、男に対しての優しさが強く出ているような描かれ方。男がそれを待っている、ということに共感できるのです。

だから、「しっかり者のマネージャーと自信喪失の漫画家の男」、あるいは「いじめられ男教師と、ツンデレ風女事務員」のような傍線のはずの人々が、むしろ実に生き生きと感じられるのです。 マネージャーにしても、事務員にしても、あるいはメインの話の妻にしても、その女性達が実に凛々しく美しいのです。

祭りの発生する瞬間、というシーンが巧い。きっかけはカチンと来たための喧嘩なのだけど、それが祭りの日ゆえにグルーヴしてしまう感じ。映画・台風クラブ(amazon)のあの夜の風景を見ているような感じ。

メインとなる物語、かつては同級生だった「彼」のことを愛おしく思うのに、好きだと云うことを躊躇われる状況。同性愛そのものをタブーと見なすことは少なくとも芝居の世界ではあまりなくなった昨今なのだけど、そこに同級生だった、という枠組みにはめて、もう少し躊躇する感じにしているのが深みを増しています。

問題がないわけではありません。濃く描かれた軸になりそうな物語が並行にいくつもあって、群像劇のよう。アタシはどこに腰を据えてみたらいいか判らなくなってしまったために、数多くある泣きポイントに乗れなかった感じもします。

同じ回を見た友人たちの会話を聞いていると、表情の細やかさを指摘している人も居て、少々後方だったがため、ということかもしれません。もしかしたら、いままでの芝居の作り方であればトラムの規模を難なくこなせても、近作の細やかな芝居に対しては一度、少し小さいところが向いているということかもしれません。

12夜のトークショーは、女優陣、客演の内海賢二たちの会話。聞き手は雪山素子という、劇団先行予約CDの中でおなじみのキャラクターを舞台に上げるフェイクな感じが楽しいのです。

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