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2008.01.15

速報→「夢のひと」Kダッシュステージ

2008.1.14 13:00

大阪のみの初演だった芝居の拡大再演。135分。東京千秋楽はカーテンコールが20分ほど。吹田・東京を経て、今週後半から北海道各地の巡演。

大阪の置屋に身売りされて広島からやってくる女。初めての日、勘違いから下宿している男を叩き出しそうになる。その男は三越に勤めているが場所が気に入り、置屋の一部屋で下宿している。そうとは知らず、東京時代の知り合いの堅物の海軍将校も宿を借りるためにやってくる。
が、時代は戦争の足音が近づき。

わかぎゑふの書く、古めで細やかな関西の言葉。置屋と軍人の関係となると、ラックシステムの名作( 1, 2, ) も思い浮かびます。もっとも、時代が更に下りた今作では、あのときのような軽快さで最後まで進めるわけもなく、どうしても時代の背景と、そこに翻弄される人々という、重さをもった芝居になります。

いわゆる小劇場出身でない「芸能人」の出る芝居ではあるのだけど、実にしっかりとしていて物語の中にとけ込んでいて不安な感じはありません。

升毅の序盤の軽やかさ、渡辺いっけいの堅物さとの対比も楽しい。小椋あずきの置屋の女将の序盤が圧倒的にすごくて、どうしても柔らかになりがちな舞台の中でしっかりと立っています。その夫を演じる酒井高揚も、重みのあるいい台詞が多くて泣かせツボを刺激します。野田晋一は二役なのだけど、どちらも安定、安心。木村美月の兄を気遣いもなかなかよくて。

それでもアタシは序盤の軽やかさのある関西弁の芝居の部分が好きなのです。女将と少女の序盤の強い言葉のやりとりはぞくぞくしますし、遊女が男たちを微妙に手玉に取る感じも素敵なシーン。 後半にかけて、戦争とそれぞれの病という関係の芝居へ。確かに泣きツボはがんがん押されるのだけど、あざといほど泣かせる芝居というところは確かにあって、ああ、大きいところの芝居だなぁと思うのです。もちろんそれが悪いことじゃなくて、そういう特性の芝居だということなのですが。

千秋楽のカーテンコールではそれぞれに言葉。アタシの印象に残ったのは、常にクールに見えて熱さを見せない升毅が、この舞台を再演できたことを本当に喜んでいる感じ。意外な感じすらするのですが、見ていても嬉しい。

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