速報→「スチュワーデスデス」クロムモリブデン
2007.12.30 15:30
音楽とスピード感とテンション。どこかビデオドラッグのような魅力の劇団。90分。大阪を経て、年内の東京公演は終了。1月は4日から8日まで駅前劇場。
女子高生3人を襲い、その2人を殺した犯罪者。極刑の判決を受けた日から眠り続けているために刑が執行されない。怒りの収まらない遺族は、殺し屋を雇い犯人を盗み出すが、目を覚まさないまま殺すことにためらいを覚え、脳内の探索を始める。
凶悪犯罪とその遺族たちという構図は日常のワイドショーで目にしていて、悪と善というステロタイプに思考停止しそうな題材。作家はそこにずいずいと踏み込んでいって、バランス危うくシーソーしていく感覚。こんな題材の取り上げ方はイマドキのテレビでは到底出来ないだろう、危なさギリギリの感覚ゆえに芝居のダイナミックさを。
王子小劇場やサンモールスタジオといった地下の劇場に比べて、隣の劇場と接近している駅前劇場では、どうしても音の洪水となるほどの大音量というわけにはいかないし、タッパの低さが終盤ではちょっと窮屈に見えてしまうのは物足りないところ。反面、横に大きく広がった舞台はのワイドビュー感覚や、役者の身体の大きさに対してのほど良さ。駅前に「昇ってきた」劇団が持つイキオイのようなものに溢れています。そういえば遊気舎もこんな雰囲気じゃなかったかと思ったりも。
ネタバレかも
仲良しの筈の3人の女子高生、通りかかった男に見えていた風景はそれとは少し違っていたということを根底に。犯人の脳内を覗いて居るときのエスだのエムだの、解き放つだの、天国に連れて行く「スチュワーデスデス」だのとキチガイなりの筋の通りようは、やがて一つの構図が見えてきます。そこに犯罪者と遺族や被害者、どこまでも埋まらないまま、しかも縛られる関係を重ねています。
言葉遊び、たとえば「ショコタンがショタコン」とか「エムは笑む」とかの駄洒落に近いモノや怒りを「とろろめかぶ大盛り三杯」という意味の無い言葉で投げつける面白さなんていう音の面白さには実に敏感です。反面、単語の正確さには少々難は残ります。死刑囚が居るのは刑務所じゃなくて拘置所じゃないのかというアタシの友人の指摘もそうだし、プチ鉄なあたしは、「湘南ライナー」は新宿行かないぞ(行くのは「湘南新宿ライン」さすがに紛らわしいので、「湘南ライナー」って名前自体がなくなった)と思ったり。まあ少なくとも後者は大した問題ではありませんが。
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