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2007.12.08

速報→「Million Blue#01」青☆組

2007.12.7 20:00

普段は長編主体の青☆組の短編アソート、90分。気楽でちょっと素敵な5つの物語。11日までアトリエ春風舎。

保険を勧めにきた営業、初老の男の妻が実は三人いて「恋女房」。新聞屋が置いていった景品は「あいボ」。男に見知らぬ女が一目惚れのように愛を語り「恋するバス停」。老女二人、海の見える公演で紅茶を飲みながら、どうしても思い出せないことについて「夕焼けの名前」。老人ホームのロビー、見学に訪れた父親と娘の一組と、ショートステイしている父親を迎えにきた子供たちの一組と「フェルマータ」

細かに笑いを生みつつも、それほど派手ではなく、静か目にラインナップ。その割にオープニングのサーカスのような騒々しさもちょっと楽しい。

全体を通してみると、愛ではなく恋をしようとする心があふれまくる感じ。作家は若い女性なのですが、年寄りの男との老いらくの恋を書かせたら巧いし、「観られることを意識している女性の可愛さセルフプロデュース感」も。

「恋女房」は、多妻の家での話。アタシは多妻が法制化されようかという、まだすこし珍しい時期を舞台に。年齢のいった男のまわり、チクリとはしても、基本的に仲むつまじいある意味理想郷。しかし、オチが若い女性というよりは、手練れの貫禄さえ。

「あいボ」。男の妄想話といわば言え。見た目や仕草で脳が溶けそう。もう脳が喜んでしまうのです。三つのパートに別れていて、それぞれに物語をもっています。全体の流れとしては想像できるようなところもあるのだけど、絵本とか唄とか、「こぼす」の使い方など細かに気が効いている真ん中のパートが巧い感じ。それを受けての三本目は予想どおりではあるけど、二本目のさまざまが効いていていい感じです。

「〜バス停」は不条理感満載で笑わせる感じで。芝居の構成としてはワークショップに向いてそうな感じがします。さまざまにバリエーションが作れそうな期待。役者はもっともっとはじけていい気がします。しかし、悲しいねえ、男って。

「夕焼け〜」。老女ふたり、静かな会話は笑わせることもなく、座ったままでゆっくりとされる会話。昔からの友達で記憶が危うくなっているひとりを助けるかのようなゆったりとした、しかし言い合える女友達の距離感が絶妙。ひとことが空気を一変させるあたり、その一言にその台詞を選び取ることのすごさなのだけど、そのあとの会話がまたすごくて。全部呑み込んだ会話ってのも。二人が続けてきたであろう長い会話の繰り返しにアタシは凄みさえ感じてしまうのです。 終わり間際も気が効いていて。

「フェルマータ」は老人ホームのロビーを舞台。いくつかあるベンチ、待っていたり、会話してたり、二つの家族の会話は少しリンクはするものの、混じり合いません。老いていくこと、それが必ずしも悲しいことばかりではないこと。思い出は味だったり、音だったり。終盤のバタバタ感の理由は明らかにされませんが、場所故に他の理由はあまり感じないのです。物語は全く違うのだけど、高齢化の時代の「東京ノート」という感じもします。終幕の背中、その向こうでされている会話は聞こえているけれど、もっと大きいことが起きていて混乱している気持ちを整理している感じ、と勝手に思い入れてしまうのだけど、この絵柄も東京ノート的で。

青☆組「MillionBlue#01」
2007.12.6 - 12.11 アトリエ春風舎
作・演出 吉田小夏
出演 小笠原大 木下祐子 藤川修二 松本享子 猿田モンキー 大谷由梨佳 木村香織(演劇集団ふれる〜じゅ) 小松留美 多賀友紀 野中さやか 花澤豊孝 林竜三

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