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2007.12.31

速報→「あなぱ年の瀬夜会」あなんじゅぱすnano

2007.12.30 19:30

正岡子規から谷川俊太郎までの「ことば」に旋律を重ねるというスタイルで、ひらたよーこが続けるユニット、「あなんじゅぱす」のポップ版の「あなんじゅぱす"nano"」のコンサート。マリンバとドラム・打ち込みを使って聞きやすい構成になっています。120分、MANDA-LA2。

二部構成で、第二部は詩人・藤井貞和と、司会に多田淳之介を迎えての構成。

反面、音楽に乗ってしまってアタシは言葉に対する集中力が少しおそろかになってしまった感じがしないでもありません。というか、まあ、コロナビールをハイピッチで空けてしまうのがイケナイ、ってkとなのかもしれませんが。

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速報→「スチュワーデスデス」クロムモリブデン

2007.12.30 15:30

音楽とスピード感とテンション。どこかビデオドラッグのような魅力の劇団。90分。大阪を経て、年内の東京公演は終了。1月は4日から8日まで駅前劇場。

女子高生3人を襲い、その2人を殺した犯罪者。極刑の判決を受けた日から眠り続けているために刑が執行されない。怒りの収まらない遺族は、殺し屋を雇い犯人を盗み出すが、目を覚まさないまま殺すことにためらいを覚え、脳内の探索を始める。

凶悪犯罪とその遺族たちという構図は日常のワイドショーで目にしていて、悪と善というステロタイプに思考停止しそうな題材。作家はそこにずいずいと踏み込んでいって、バランス危うくシーソーしていく感覚。こんな題材の取り上げ方はイマドキのテレビでは到底出来ないだろう、危なさギリギリの感覚ゆえに芝居のダイナミックさを。

王子小劇場やサンモールスタジオといった地下の劇場に比べて、隣の劇場と接近している駅前劇場では、どうしても音の洪水となるほどの大音量というわけにはいかないし、タッパの低さが終盤ではちょっと窮屈に見えてしまうのは物足りないところ。反面、横に大きく広がった舞台はのワイドビュー感覚や、役者の身体の大きさに対してのほど良さ。駅前に「昇ってきた」劇団が持つイキオイのようなものに溢れています。そういえば遊気舎もこんな雰囲気じゃなかったかと思ったりも。

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速報→「fractale ~村から東京そして村~」8millions club

2007.12.30 13:00

アタシは未見です。105100分(だそうです。ご指摘感謝)。30日までシアターシャイン。

田舎の町、電気工事店の作業場兼ガレージ。幼なじみたちがまだ住んでいるような他愛ない日常。社員のうちの一人の男。男には東京で芸人をやっている兄が居るが、なかなか顔を見せない。ある日、兄弟の父親が急逝し兄も里帰りしてくる。兄は東京に戻り何事もない日常に戻ったかに見えたが、弟は突然何かの糸が切れたかのように、完全に無気力になってしまう。

すこしばかりがさつで人情的な男たち。親戚でもないのにわりと面倒見よかったりといういい雰囲気の場所。

どういう成り立ちで作り上げられた芝居かはよくわかりません。なぜだかうまく説明出来ないのですが、普通に脚本で作られた感じがしないのです。むしろ、アタシの印象は無言劇のような感じすら受けます。言葉そのものを信用していないというか。小さな声でぼそぼそ喋ったり、あるいは無言で言いよどむ時間がやたらに長かったりと、確かにリアルと云えばリアルな空気感。その雰囲気も間も大事にしたいという意図はわかるものの、見てる側にとっては意外に体力を消耗する感じ。個人的にはもっと圧縮して見せて欲しいと思ってしまうけれども、それでは意図した感じにならないだろうしなぁ。通る声で張った発声があると、目が覚める、という感じ。

物語は病気になった弟、渋ったけれど結局は戻ってくる兄、献身的ともいえる周囲の人々と、びっくりするぐらいにピュアで純朴で優しい感じ。エンディングすらも大団円。それが悪いわけじゃないわけですが、もちょっとどこかに辛みとかえぐみが残って欲しい感じも。

役者は割と全体に安定を感じます。伊藤毅は劇中でも自由だ、という云われようですが、たしかにどこまでが演技か素かわからないような不思議な魅力があります。

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2007.12.30

速報→「年末ジャンボ」チャリT企画

2007.12.29 20:30

チャリT企画の新作。年末をモチーフにしてるのかしらん。60分、30日まで新宿村LIVE

年末押し迫ったとき。同じ家に同居している兄妹。兄は部屋に敷いた布団の上でなんとしても寝続けようとしている。まわりで片付けているのは妹なのだけど、兄はその掃除をじゃましようとし、枕の下のものを数えている。その布団のまわりにいろんな人が入れ替わり立ち替わり。

歌を強く意識している感じがします。昭和の歌謡曲の感じなのだけど。あるいはかけそばの話とかの時代の空気を描写しています。

が、正直に言うと、よくわかりません。小難しい話ではないけれど、何かのバックがあるのだろうなと想像力を巡らせても思い当たるモチーフがよくわからないのです。

クリスマスケーキと賞味期限切れを組み合わせるのは巧い感じ。今年のニュースを織り込むことの強さがあるのです。

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【芝居】「屋上のオフィス」あひるなんちゃら

2007.12.29 18:30

あひるなんちゃらがゴールデンウィークに行った三人芝居を、スクランブルキャストで三通り(つまり全ての入れ替え)で上演。30日まで新宿村ライブ。

実際のところ、特定の何カ所かをのぞいてびっくりするぐらいそのままのセリフ立てで上演。あひるなんちゃら、という劇団はボケ役とかツッコミ役のように役者についた特性があると思うのですが、その役割が変わったとしても変わったなりの違和感のない見え方をするというのはたいしたものなのです。劇団という形で力の揃った役者たちの安心感というのはあるのです。

隣に坐った女性はかなりツボにはまったようで、それはよくわかります。まったく正しい反応。が、アタシはどこかで泣きそうになったりもするのです。劇団という形をとり、それを続け、関係を強固に築くということの意味が結実するのです。

関係だけではありません。入れ替わった役者が発する言葉にも違和感がないのです。役者の身体のなかから出てくる言葉になっていると思うのです。

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速報→「ハリケーン嬢」SUPER☆GRAPPLER

2007.12.29 15:00

スパグラの新作。110分。30日まで東京芸術劇場小ホール2。

高校生の男、楽だからと入った文芸部だが顧問は冬休みの課題として小説を一本仕上げてくるよう命じる。男はネットで探した文章を丸写ししようと考える。見つけたのは、超能力で荒稼ぎする賞金稼ぎの少女の物語だった。

当日パンフによれば、作家の心情の変化の一歩目なのだといいます。確かに今までとは違う何かを描くのです。ずっと役者として出ていたのに、それを封印したのもその現れなのでしょう。

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2007.12.29

速報→「小指値の忘年会」小指値

2007.12.28 18:30

忘年会と銘打ち、パーティと合間の余興を楽しむ指向。公式ページにもひっそり告知して28日一回限り、STスポット。全体で約2時間弱。出し物自体15分ほどか。

R時の話のSTスポット公演の時に一回だけ設定された企画モノの「ヘベレケ女学院」や、クレージーで奇跡の素人芸を謳う「紅白歌合戦」。乱痴気騒ぎ、と言う言葉がぴったりくるような、歌と踊り(だんすというか)とカラオケのバカエンタメ。持ち込み・差し入れや、彼ら自身が用意した食べ物と酒で、こちらもヘベレケになりながら楽しむのが吉。仕事納めの日に、気楽に楽しめるのです。

見方によっちゃえらくアットホームな感じでもあって、音響ブースと舞台との大声でのやりとりというかかけ声のシンクロ感も楽しい。STスポットという小さな空間とあいまって、ある種の物作りの現場に立ち会ってる感じにアタシ自身も包まれていきます。

こういう短い時間での余興的なものを、わりと限られた観客の中で続けていくのは、ともすれば内輪ウケだけになってしまう危険をはらみます。彼らはカラオケ芸で、しかも役者自身じゃなくてその外側に「ヘベレケ女学院」というキャラクタをかぶせることで、絶妙の距離感を残していて、それが巧いなぁと思うのです。

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2007.12.28

速報→「わが闇」NYLON 100℃

2007.12.27 19:00

ナイロンに対しての2年ぶり新作。200分ほど。気がつけば前売り完売、当日券で潜り込みました。30日まで本多劇場。そのあと大阪、札幌、広島、北九州、新潟で1月末まで。

小さな村、作家の父が家族で引っ越してきた。三人姉妹と妻。妻は命を断ち、長女は作家に、次女は結婚し、三女は都会へ。2007年、寝たきりになった作家をドキュメント映画にするためにとり続ける男二人。

馬鹿馬鹿しい芝居を書いたかと思えば、こんな手触り。どちらかというと、フローズンビーチから消失の延長線上の印象。笑いはほとんどありません。乏しいアタシの印象ではチェーホフ劇の手触り。かといって、「消失」のときのような強いイデオロギーというか主張というのとは違う、作家自身の「気持ち」に向かっていく、という印象があります。

面白いと思ってみているのだけれど、アタシ自身は何処が面白いのか、ということを言葉として伝える方法がわからずに思案します。芝居を観ている最中に感想の書き方というかある種の定型文を考えるってのはよくないなぁともうのだけど、そのどれとも違う感じがこの芝居には感じるのです。

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2007.12.27

いよいよ押し詰まる

年末ですねー。たぶん金曜日まで仕事はありますが、休日配列のおかげで、来週はどーんと一週間のお休みがとれそうでちょっと嬉しいのです。

年末と言えば総括なわけですが、CoRichも舞台芸術アワード2007を開始(投票は7日まで)。副賞はまあ現金というわけにはいきませんが、一位取れれば、チラシで謳ったりできるしねぇ。が、「観てきた」に登録してないところには投票できないのかー。んー、サボってたツケがこんなところに。自分の所のベストテン企画 (1, 2, 3)。も決めないと。

今年は30日が観劇納め。新年は3日ぐらいからかなぁ。さて、大掃除をいつやるか、だ。せめて窓拭きぐらいは(泣)

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2007.12.26

【イベント】「末井昭 責任編集 ~愛のドロドロ金のボロボロ~」ASAGAYA/LOFT A

2007.12.25 19:30

新宿ロフトプラスワン系列として今月1日にオープンした阿佐ヶ谷店でのオープニングシリーズ。白夜書房社長の末井昭の来年発行の本の前宣伝イベントの役割も。むしろゲストの西原理恵子人気が色濃いことは想像どおり。180分。

ロフトプラスワンはさまざまなイベントが伝説のように。その一部は東京カルチャーカルチャーになり。その新店は、バーが付設されていたり、アメニティ設備が綺麗だったりと新しさをもち、ロフトっぽい丸テーブルも、効率的とはあまり思えない精算システムも受け継いでいます。イベントもホールもまだこなれていない感じはしますし、ゲスト楽屋にスタッフが挨拶をしにいったりするのが見えてしまうのもあまりいい印象ではありません。が、まあオープン当初ですからですかね。

金と女のドロドロなさまざまを語るというのは引きのある題材です。が、全体の真ん中にいるのは西原理恵子なのです。話は(漫画で見ていたとしても)ちゃんと面白いし、客席の空気に応じてはなし分けてもいます。責任編集、というわりにはホストがコントロールしていない感じで、どちらがゲストなんだか。

金の話はFXからはじまり、借金とか慰謝料の話に。戦う漫画家のキャラクタにかてるものはそうそうありません。もう一つの話は女、とはいっていますが風俗周りの話と妻との離婚のはなしがほとんど。客席は徐々にあたたまりますし、受けてはいますが、女性の立場からみてどうなんだろう、という話も多く。西原理恵子のたぐいまれなるバランスとナビゲーターと、珍しい体験の数々はたしかにキャッチーなのです。

まるでセット営業のようなペーソスのライブも。舞台をトーク用とライブ用で切り替えるってのは、まあ最適化かもしれないけど、ちょっともたついた感じ。「もつ焼き小唄」「連帯保証人」「ワーキングプア」「女々しい男の子守唄」「女偏」「霧雨の北沢緑道」をラインナップ。

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2007.12.25

速報→「Crossing2(Bプロ)」風琴工房

2007.12.24 20:00

不条理劇をフィーチャーする企画公演のBプログラム。「命を弄ぶ男ふたり」(岸田國士)と「授業」(イヨネスコ)。110分とのアナウンスでしたが初日は120分。30日まで、ルデコ5。クリスマスイブの24日のみ、終演後に10分のショー。

線路のすぐ横、居る男と後から来る男。命を絶とうとしているふたりは偶然同じ飛び込みポイントではち合わせる。列車が通る合間で会話をするうち「命を〜」。個人授業を受けに来た女生徒。学位をとるというやけに大きな目標のわりに、ほとんどの部分で判っていない。その希望を叶えるべく、数学というか算数を教え始めるが「授業」。

「命」は 男ふたりが実のあるような無いような会話を繰り広げるといえばゴドーですが、日本の作家の手による同じテイストの芝居、もしかしてインスパイア(便利な言葉だ)されたのかしらんと思うような仕上がり。物語がすすむうちに、感情が変化していくことはよく見えますが、クリスマスらしく未来に向かう希望がで終わるのがちょっといいのです。

ふたりの男の会話は熱を帯び、距離をとったり近づいたりしながら。役者としての扇田拓也の底力。線路をどう処理するかが難しいと思うのですが、あっさり青いレールをひいてしまうのは潔い。

「授業」はちゃんと見たのは初めてなのですが、圧巻の80分。ついこのまえまでに出ていた役者のこのセリフ量と熱気のすごさに当てられ、序盤の数学の授業の奥深さに唸り、終盤の女優のあれこれに脳が溶けながらも物語。

アタシは数学の授業の言葉のすごさに打ちのめされるのです。ここだけ切り出してみたいと思わせるテキストの力。数学は決して得意じゃなかった(理系の筈なのに)アタシですが、計数法の原理原則の言葉、そして足し算とかけ算は理解できても引き算が全く理解できない、たった一人の生徒にその根底のたった一つのことを理解させることの途方もなさを芝居で感じることに打ち震えるのです。アタシは知りませんが、たぶんそれは、大多数ではないけ学校の教室で起こっている、今この瞬間のリアルなのではないかと思うのです。

それに比べると、 言語学のパートは、ことばはますますわからなくなります。それを見越したように肢体がまぶしく、その教師の葛藤に身悶えすることを観客(たぶん、男性限定で)も体験するのです。

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速報→「Crossing2(Aプロ)」風琴工房

2007.12.24 17:00

風琴工房が既存戯曲を使って行う企画公演。Aプロは「鞄」(安部公房)と、「受付」(別役実)。二つあわせて80分ほど。A/Bプロ構成で30日までルデコ5。これからご覧になるならば、役者の顔が見やすいよう、後ろでもなるべく正面を、あるいは下手側を。客席の段差にも気をつけて。

友人らしい二人の女性の茶飲み話。一人が開かずの鞄を持ってきて相談を持ちかける。夫の持ち物なのだが、中身について夫は教えてくれない、気になって仕方がないが、どうしたらいいだろう.「鞄」。
受付に座る女。男がやってくる。肝心の受付はできないのに無駄な話ばかり「受付」。

「鞄」は30分ほどの短いもの。鞄を挟んでの女たちのバランスオブパワーを楽しむ一本。鞄を俳優が演じるというのは、戯曲の指定のようです。当日パンフによれば、男を取り合うサブテキストを当てたのだといいます。おそらく二人の女性のテキストはいじってないのだと思います。 家庭の中、二人の間にある、暗部というか触れられたくない部分、ということが実にシンボリックな感じになっていると読めます。 鞄の中からする音、という設定は算盤から始まりさまざまな音をさせます。ダブルキャストなので日によって違うとは思いますが、初日の漫画の音読は、ちょっとやりすぎな感触があります。バランスオブパワーの緊張感に対して、わりと声量のある役者が、イキオイのあるストーリーを読んでしまうと、メインの会話が聞き取れないということはなくても、緊張感のあるはずの会話なのに、聴いている側のテンションは明らかにゆるんでしまうのが勿体ない。

「受付」は数年前にナイロン100℃が「吉田神経クリニックの場合」として上演したものの原作戯曲。電柱こそありませんが、男が巻き込まれていく型の別役実らしい一本。

わりと柔らかく、会話の速度も現代風の早さで演出されてはいますし、この演出なら笑えてもいいはずなのだけど、アタシはあまり笑うことができません。当日パンフにありますが、戯曲がかかれた当時でこそ不条理ですが、この会話のような、「かみ合うことを当初から放棄した会話」というのはそれこそ巷にあふれています。会社にかかってくる不動産だのなんだのの迷惑電話の類でなされる会話は、まさにこれがリアルなのです。その現実のときの嫌な感情が沸いてきてしまって、ねぇ。戯曲のせいでも、役者や演出のせいでも、もちろんないわけですが。

後半で「あなたは受け付けられたのです」というあたりがちょっと好き。それは私という人間が受け付けられた訳ではなくて、私のある属性の記号が受け付けられただけ、というアタシがもつ感覚によくあっています。

どちらも、今のアタシの感覚によくあったリズムで進む会話は気持ちがいいのです。反面、やはり腕力のある戯曲ゆえに難しくて、役者が戯曲を制圧して会話している、という域には達していない感じもあります。どうみても45歳には見えないだろう、というのも役者のせいではありませんが、たとえばナイロンの「病気」(これも別役戯曲で、中年男性巻き込まれ型)では小林克也が演じたのを見ていると、あの年齢ゆえの何かがあったのだなぁと思うのです。 特に時間の長い「受付」ではやはり大変だという感じで、テンションをあげればあげただけ平板になっていくというジレンマもあって。徐々に巻き込まれている男の傾斜と、平板に言い放つ受付の対比が欲しいと思ってしまうのです。

とはいえ、手慣れた座付き作家ではないテキストと定期的に格闘していく、というのは特に役者の底力をあげていくわけですし、アタシのようにちゃんと読んでない戯曲が多いいい加減な観客にはバラエティのある戯曲との出会いにもなるので、見慣れた劇団でそれがなされると結構うれしいわけですが。

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速報→「人間フィルハーモニー」マンション・マンション

2007.12.24 14:00

横畠愛希子のマンションマンション、久しぶりの三回目公演。一回目から続くピチチ5の福原充則の作演出の100分。26日まで駅前劇場。

三つのものがたり。◆売れない作家ととうに愛情の冷めた妻。すべての仕事が切られそうになり、編集部に乗り込んで、売り込んだ文章は。 ◆中学生の男子と女子の委員長。惹かれあっているが、自分たちのその感情を愛という陳腐な言葉で表したくないなどといいながら、それでも二人は惹かれあい、逃避行へ。 ◆編集者の男とその恋人。それぞれの家の無茶苦茶を乗り越えながら、婚姻届けに判をおそうというその瞬間、二人は離ればなれになってしまう。

三つの愛にまつわる物語。中学生の初恋、結婚直前の緊張感、離婚直前の倦怠感。それぞれのステロタイプな場面を、時にナンセンス芝居風だったり、時にテンション芝居的だったり、ときに少年少女小説的だったりしながら徐々に描いていきます。

うち二つの物語はかなり終盤になって収束するものの、もうひとつの作家の物語は他の二つからは編集部という小さな接点でつながっているだけで、物語の上では独立している感じ。 終幕までは物語の到達点がなかなか見えずに、ちょっと不安になるところもあるのですが、終盤のテンション芝居はたいしたもので、結構大がかりな仕掛けもあってかなり見せるのです。もちろん多い仕掛けも好きですが、京王線のネタもちょっと面白い。

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2007.12.24

速報→「2Pコントローラー」北京蝶々

2007.12.23 20:30

北京蝶々の11月公演を別サイドから描く外伝的つくり。60分。新宿村LIVEの公演は終了。

ピアノ教室を開いていた女は生徒の親からのクレームで教室をたたむしかなくなっている。掲示板に不満を書き、収入がなくなることを嘆いていると、高価な謝礼を得られるあるゲームのモニターへの応募を勧められる。

過去を正確に画面上で再現し、未来を予測できるシミュレーションゲームによって過去の友人との関係を利用して自分の思い通りにことを進めようとする女を描いている前作から、その女がそのシステムを知り、同棲している男との関係を描くように補完する物語。

前作では過去と現在を舞台に並べてみせるつくりだったのですが。舞台は現在の部屋に限定し、パソコン上に再現されている過去や未来を映像で見せるようになっています。同じ話を核にしてすこしの補完をした結果、前作で見たシーン、しかも映像がかなりの部分を占めてしまっています。舞台としてみるとどうなのか、と思わないことはありません。

確かに同棲相手の男との関係や、結末を知っていながら現場にくる男の想いなどのいくつかの補完はされています。物語の大筋には大差なく、ほかの場面で何が起こっているかが見えるおもしろさはあります。

旗揚げメンバーでありながら、脇を固めることの多い鈴木麻美がメインというのもちょっと嬉しいアタシなのです。

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速報→「宇宙ノ正体・メロス編」タテヨコ企画

2007.12.23 17:00

タテヨコ企画の修行僧シリーズ。普段通りのものを肩肘張らずにちゃんとみせる確かなチカラを感じる70分、27日までフジテレビマルチシアター。

住職が亡くなり四十九日の前日の寺。別の寺の修行僧何人か、書状を探しに来ている。小さいころずっと遊んでいて尼僧となった女も葬儀に凝られなかったことを詫びながら帰国し、法事に訪れている。近所の居酒屋の主人が、家の中のことも詳しく。見慣れない男が出入りのない奥の部屋から出てきたりして...

行ってみれば実感しますが、クリスマス連休のお台場は、祝祭の空間というよりは良くも悪くも浮かれた空間。人出は多く、道路もかなり混雑しています。劇場の中は外の喧噪が聞こえたりはしませんが、どうしてもイキオイ、少しばかり浮かれた感じのモノが有利になりがちです。

が、彼らは違います。短縮版とはいえ、どちらかといえば静かな芝居をするタテヨコ企画がこの空間で、いつも通りの芝居の空気を確かに作り上げているというのは、彼らの底力を思い知るのです。

静かな芝居の系列でもちゃんと存在感を示せて、それがちゃんと面白いということは、この演劇祭においては貴重な体験だと思うのです。

若い修行僧がモヤモヤ感じていることをベースに、寺の住職が死んだそのあとに起こるだろうさまざまを小気味よく気楽に見せる感じ。謎の男の存在もあれこれ観客に想像させる存在感があります。それを大部分劇団員でちゃんとまかなうというのも好感なのです。

散らかった遺品の中から見つかった思い出の品を手に取る娘のシーンは、ごく小さなシーンなのだけど、気持ちを一気に揺り動かす力があって、アタシは不覚にもちょっと涙。

アタシの友人が云っていた「四十九日前、つまり納骨前なのに墓に謝りにいくとはどういうことだろう」とか謎めいたクマンバチとは何だろうとか、疑問を感じないことはないのですが、まあ、短編なのでそこはまあそれとして。

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速報→「ハリウッド」劇団上田

2007.12.23 15:30

教会で育った孤児は、勘違いから教会のてっぺんにある十字架を引っこ抜いてしまうが、大津波に巻き込まれれる。流れ着いた先、森の中化け物たちが住む工場で暮らし始めるうち..

テンションと役者の魅力で見せる印象。客席に向けたライトの使い方など、スタイリッシュさと、笑わせるテンションも併せ持っています。前向きさを持っている物語。ファンタジーテイストを持っている感じもしますが、たとえば後藤ひろひとのように、強い物語には至りません。

アタシが持っている劇団に対するイメージよりは、ちょっと空回りしてる感じがするのが勿体ない。しかし、このショーケースイベントというアウェイの環境の中でも、ちゃんと客席を沸かせているのはたいしたものだとも思うのです。

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速報→「ワスレモノ」クロカミショウネン18

2007.12.23 13:30

クロカミショウネンの今年6月公演の改訂短縮版。70分弱。25日までフジテレビマルチシアター。

認知症の妻の記憶を取り戻すために思い出のホテルにやってきた夫婦。追いつめられベランダから飛び降りると、過去の同じ部屋にたどりついた。かつての妻の姿を見て、何か出来ないかと考えるが。

時間とフロアを行き来する、本公演でもかなり混乱しがちな物語。短縮版にあたり人物も話もかなりばっさり切り落としてシンプルにはなっていますし、丁寧に描かれていますが、一回で頭に入る感じではありません。本公演にはなかったのですが、終演後にネタバレ解説パンフが配られます。嬉しい配慮ですが、できればこれに頼らないでいってほしいところ。エレベーター自体も話には出てこないのにフロア表示だけあるものだから、初めて見ると意味が分からない恐れすらあります。いっそのこと時間軸だけににしてフロアの移動を伴わないようにしたほうが、と考えてしまうのはアタシの理解力不足ですかそうですか。

複雑な話を丁寧に、優しい気持ちで描こうという持ち味は変わらず。6月はハッピーエンドではなかった結末は、ハッピーエンドな仕上がりに。そんなオチはないだろうとひっくり返りそうになりましたが、さすがにそうはせずに踏みとどまります。

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2007.12.23

速報→「トリツカレ男」キャラメルボックス

2007.12.22 19:00

キャラメルボックスのクリスマスツアーに相応しい絵本のようなファンタジー。本編125分。25日までサンシャイン劇場。土曜夜はかなりの満員。

街の人々からトリツカレ男とよばれ笑われている男。興味をもってしまったものに突き進み、他に目がいかなくなってしまう。語学や祭りやスポーツや。ある日、公園で風船売りが飛ばしてしまった風船をキャッチする。その売り子に。

たぶんキャラメル史上初の赤毛モノ的な役名、外国が舞台、ネズミだのインコだのを演じる役者たち。ファンタジーが得意なキャラメルですが群を抜いて絵本を繰るように進む物語。辻褄というよりは違和感を感じさせないことはないのですが、そこはあまり大きな問題ではありません。

ラテンな、口説くことが美徳というその世界の文脈の芝居も初めてな感じがします。そのなかで言い出せないということが物語に厚みを感じます。

原作を読んでいませんから、場面の文脈や理由が判らないところが惜しい。あたしにとっての一番の違和感は、終幕ちかく、ハシゴに上った彼に「彼はなにをしなきゃいけないかはわかっている」という直後。それが意志なのか事故なのかがわからないのです。あとから落ち着いて考えればそれは事故なのだろうとは思いますが、芝居の最中はそうは思わず、意志でそうなったということ以外には感じられず、そこの解釈をぶれさせてしまうような演出という気もします。

正直に云えば泣く気満々で行ったあたしには泣けませんでした。昼に聴いたラジオで「泣ける映画が流行っている」というのを聴いていて、逆に緊張してしまったからかもしれませんが。

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速報→「メリー」国分寺大人倶楽部

2007.12.22 15:00

アタシは初見です。105分。24日まで王子小劇場。

福岡のあまり程度のよくない予備校。なぜか多い、多浪生も結構幅を利かせていたり。その休憩室らしい場所、予備校主催のクリスマスパーティの日。一浪の男は12月なりの焦りを感じているが、多浪や自分より成績が悪い同級生たちが焦ってないことに苛つき、成績が自分より良かったりする生徒に不安で。東京の大学に進学した同級生と電話をしても、気持ちが離れていて更に気持ちは鬱々となる。 メリーと呼ばれるかわいらしい講師とつきあってたりもするが。

一人の視点から、周りの喧噪がまるで絵空事のように実感を感じられないままに走馬燈。あそこまで深刻に思ったことはないけれど、たとえば会社辞めてやるとキチガイのように考え続けてしまうような感覚でしょうか。彼の気持ちはおそらく芝居のはじめから動かないまま、ずっと抱えているのだろうと思うのです。

その絵空事のような中にみえるいくつかの会話は確かに軸となる物語にはからまず、まるで書き割りのように、ただそこにあるだけなのですが、会話自体は結構面白く見せるところもあります。

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2007.12.21

チェーン店じゃない場所は嬉しい。

いえね、知らない土地に行ったときに気力も尽き果ててるような時は失敗が許されませんから、コンビニでもファーストフードでもいいから見知った所に行きます。いつでもどこでも同じ安心感。

でも街の中がぜんぶそんな店、ってのは嬉しくないなぁと思うのです。下北沢の魅力はそのほどよい混合ぶりだったりしますが、いろんなことが起きていて心配だったりも。劇場もさることながら、さまざまに小さな店がある魅力。

新宿駅の中で頑張っている店があります。新宿東口改札を出て左、パン屋の先、地下鉄を降りる手前にあるベルク。一人でも気楽に入れて、ゴハンもビールもいつでも立ち飲みやテーブルで楽しめて、しかもさっと呑んでさっと出ていく感じの楽しみ方が出来る場所。いつでも大混雑で、芝居帰りに寄ろうとおもったのに入れないことも。

そんな店が、ちょっと戦っています。なぜかオフィシャルの声明ページが消えているので、ファンサイトから。駅ビルのマイシティ改めルミネエスト(JRやね)が、テナントを戦略的にリフレッシュ出来るようにしよう、ということをやっているその一環に立ち向かっているというか議論を続けているとか。企業の論理としてはわかる。まったく正しい。が、アタシはあの場所が好きなんだよなぁ。あそこがなくなった新宿駅はキレイで機能的かもしれないけど、ちょっと寂しい。

連休でコマはあるはずなのにいよいよもって身動きのとれない週末。

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2007.12.18

速報→「Hula-Hooperの忘年会」Hula-Hooper

2007.12.17 20:00

今回の公演で唯一設定された、通常演目を止めてのスペシャル企画。やはり押し気味で160分ほど。

前回の超短縮再演、「鱈。の(ふ)思い出し早送り興行」。オペラ座に観光できたおばちゃんたちが迷い込んだ先の「レクリエーション版オペラ座の怪人」(あなざーわーくす)。「くものすカルテットライブ」。

「鱈。の(ふ)」は脳溶はそのままに、濃密度アップ、なのだけど前回を見てない人には物語が追えたかしらんという不安はちょっと感じます。通路側の席に座った幸運も手伝って、まあもちろん喜ぶオヤジなあたしですが。

語りかける対象以上にはストイックなまでに客いじりをしないHula-Hooperに対して、あなざーわくすは全員に仮面かぶせたり、観客の何人かを引っ張り出してオペラ座の怪人させたりと多才にいじり倒す趣向が対照的。最初からのって楽しむのが吉で楽しんだし、そもそもいじられて喜びもするのだけど、おばちゃんネタと、短縮版とはいえオペラ座の怪人を通してやろうというのは少々盛り込み過ぎなのに濃密さがいまひとつで緩い印象も。Hulaの濃密さと並べて見てしまうからかもしれません。

くものすカルテットは最初こそちょっと客席の暖まらなさがありましたが、わずか3曲だか4曲で初見であろう客も巻き込むぐらいのちから。ライブで聞くのはおそらく初めてですが、にぎやか目の曲をおおく選択しているようでかっちりもりあがります。アタシの印象では、もう2,3曲あっても楽しいなあと思うけど押したせいかどうか、あっさりとおしまいなのがもったいない。

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2007.12.17

速報→「happiness!!!」猫☆魂

2007.12.16 19:30

この日見た四本の中では、唯一アタシ未見の劇団。テレビドラマ脚本も手がける作家で、主催者(フジテレビ)推薦枠の中のひとつ。音楽や映像をかなり入れて60分弱。第一期は21日まで。

実業団野球チームのライバルの二人、相手が海外プロからの誘いを受けたことを知るが、同時に最愛の人を事故で失う..

これに受験ノイローゼに悩む男やら、父親との関係やら、立ち退きを迫られるスーパーやらを絡めながらの話。

唯一四劇団が観られる日曜日、フジテレビのロビーは他のイベントも多くて大混雑。短い合間でお茶するところにも困りそうなのもちょっと困ったところだけど、まあ、アタシが合間にビール呑んだりしないのはいいことなのかもしれませんが、はい。

短いショーケースだから静かめの芝居というのは不利だと言うことは差し引いても、少々厳しい印象。あるいは初見ゆえに劇団本来の力が見えなかった、ということもあるのかもしれません。ナイロン100℃の「ちょっといい話」的つぶやきで芝居を作った、という印象を持ってしまいます。

フジテレビの枠での出場、テレビの脚本も書いている彼らなのですが、派手な映像、歌い手という役の二人の巧さを持っていても、あたしの気持ちに踏み込んで来ない感じがします。歌い手という役どころのふたりは確かに聴かせるのですが、この短い時間の「芝居の」ショーケースで分散させてしまうのがいいことかどうか。フジテレビの番組、SPとかグータンヌーボは、アタシも結構好きな番組ですが、ちょっと無理矢理押し込んでいて媚びてる印象を持ってしまうのです。もしかしてスーパー「ハナマル」ってのは..いやいや、考え過ぎですね、きっと。

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速報→「親兄弟にバレる」柿喰う客

2007.12.16 17:30

柿喰う客のこれも再演版。アタシは初見です。毎月のように公演を重ねる彼らは好き嫌いは別れそうだけれど、この密度でこの人数。たいしたものだと思うのです。65分。第一期は21日まで、フジテレビマルチシアター。

性技による格闘技、二つの流派。長い間敵同士だったが今や片側のみが隆盛を極め、片方は没落していた。この国が国際競技で勝てないことに業を煮やし、オリンピックの正式種目にしようと考える男が現れ天覧試合を企てる。が、それは初めてのことではなく、かつて二つの流派の間での天覧試合があったことがあって。

性技主体の格闘技なんていう大嘘を持ち出してるし、全編を通してやけに性的に下品な感じのセリフや設定も多く、ここを超えられるかが一つ目。たしかに相当に薄っぺらな下ネタで両刃の剣なのですが、これにのることさえ出来れば、一足飛びにこの世界に引き込んで貰えるのです。

さらに、つか芝居を彷彿とさせるテンションの芝居が役者のレベルがさまざまにばらけていたりして、好みは別れるところかもしれません。このテンション芝居ってのは必ずしもレベルの揃わない役者の見せ方としては常套だ、とアタシは個人的に思っているのですが。

対立する二つの家の間の話のロミジュリをベースにしてシンプルで強固な構造を作った上で、膨大に書き込まれたセリフを隙間無くつめこんでいます。この手法自体は彼らの得意技であることはわかっていても、こうして並べてみると、他の芝居との差は際だっていると感じていて、この日の4本の中ではかなり好きな感じでした。

そもそも設定からして嫌悪感をもってしまう人が居ても不思議ではないのですが、それをわかってかどうか、入り口からいくつか「この芝居は下品だからね」という張り紙をしてるのがちょっと面白い。芝居が始まる前にこれを言ってしまう、というのもあれですか、シェイクスピアの夏の夜の夢、っぽさですかね。

このくせ者の役者達に対して、わりと若手の筈の小指値・中林舞が対等に渡り合ってるってのも、ちょっと凄い。

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速報→「センチメンタル☆草津」ブラジル

2007.12.16 15:30

ブラジルのわりと昔の作品の改訂短縮再演。あたしは初見です。75分。第一期は21日までフジテレビマルチシアター。

草津の近くの小さな村を舞台にした映画を企画しロケハンで何度も訪れてきた映画制作会社のスタッフたち。が、資金集めがままならず、その映画は頓挫してしまう。全面協力を決めていた村の青年団長にそれを伝えようと訪れる。

エロ・グロ・ナンセンスと云っていた頃のブラジルの色合いを色濃く残した感じ。こういう場所、特に休日のお台場フジテレビというだけでそうとう祝祭の場ですから、この浮かれようの場所にはこのタイプの芝居は実によくあっています。基本的にはコント芝居というか、笑いを取るようなところを中心に構成したようで、「とんでもない郷土料理」やそこから派生した料理たちに生理的な嫌悪感さえ抱かなければ、気楽に楽しめる感じはします。

わりと自然体が印象的な、こいけけいこという役者をこんな使い方、というのも異論のあるところかもしれません。が、背の高い彼女に少々「暴力的な彼女」的なキャラクタというのは見た目的にもコミカルさが強調されて印象に残ります。

ネタバレかも

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速報→「お願い放課後」ハイバイ

2007.12.16 13:30

三週にわたる企画、お台場SHOW-GEKI城の一週目。ハイバイのお願い放課後、の65分バージョン。おおまかな流れは本編( 1, 2 )と同じ。キャストはかなり入れ替わっていますというかほとんど違います。凝縮感はたしかにある感じで。アタシの坐った下手端(E15)の席からでは完全に下手壁の芝居がみえません。扉や壁などいくつかの重要なシーンが全く見えませんから、言い訳はさまざまありましょうが、横の壁をもう少しなんとかするか、席を売らないか、あるいは奥の壁を使うとかの選択が必要だと思います。この日みた他の芝居も上手・下手端が多かった(ぴあの配券がそうなっていたようですが)のですが、これほど壁際に依存した芝居は他にはありませんでしたから、結果としてこの一本だけがやけに不満を感じることになりました。

岩井秀人の品川幸雄役は、妙なテンション感も楽しく圧倒的で客席の空気をさらいます。今年の上演をプレビュー、本公演と見たあとのアタシの印象では、今作、志賀君という役そのものの魅力が薄くなりがちなのです。苦悩する主人公、暗闇の大人なシーン。終幕の薄暗いシーンなど人生全体をみせるようでありながら主人公よりもまわりのキャラクタに目を奪われてしまうというか。

劇中劇の見せ方は前もこうだったかの記憶が曖昧です。カットバックで見せるやりかたは意外にスマートで、印象的です。

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2007.12.16

速報→「ぷりずむてん」prism

2007.12.15 19:30

山の手事情社の水寄真弓の企画公演。小さなバーを貸し切って10分ほどの出し物を6つぐらい、おなじくらいの休憩時間トークをまじえつつ120分。16日まで渋谷のBASE(ふたつあるらしいですが)

メイド服をきたイイ歳の女優三人たちの短編あれこれ。チヨコの「前説」。アニメの物語から発想した「ヘボゲキ」。メイド喫茶に変わる〜喫茶の候補三択、ほめちぎり+全否定+劇団員の「3つの部屋」。 静かでまじめな会話劇、邦画風の仕上がりは黒い服の三人の女の「別れの冬」。 スタートレック好きの松田弘子が熱意をもって語る「マチコとスタートレック」。 男女の会話を観客も交えてワークショップ風につくる「グッとくる瞬間」。 水寄真弓のキャラ勝負「まゆたりん」の新曲発表。 チヨコが再び解説する超大作。

「3つの部屋」の土曜夜の選択は「ほめちぎり」+「劇団員」。ひっぱりあげられた観客がノリノリでなかなかに。「グッと〜」の土曜夜は、待ち合わせに遅れた女の言い訳というテーマで、高校生がおしゃれしてオペラに+ツンデレ風+別の相手と歩く姿をショッピングセンターで観たあと、という3チーム対抗で倉品チームの勝ち。

アゴラ劇場からコクーンに抜ける道の途中あたり、ほどよい遠さも含めて心地よさげな寄り道どころ。店長が小劇場の役者、というのも店の雰囲気を作っているのかも知れません。PRISMが今まで使っていたレインボーやKANNNAではカウンターの内側を舞台にしていたのだけど、今回は店内の構成もあってカウンターはそのまま、店内を舞台にしています。メイド姿などの全身をちゃんと見られるのはメリットですが、反面出捌けを明示的にはしずらかったり、カウンター越しの絶妙な距離感というのも捨て難い感じもします。

ア・ラ・カルト風の飲み食い演劇ってのは特にこの季節数あれど、大空間を制圧できる訓練された役者たちがこの小さな空間で、というのは結構貴重な気もします。単にギャグやはやりモノという意味ではない旬のネタをどう選んで、観客をどう巻き込んでいくかというのを役者達でつくりあげていくというのを楽しむのがこのシリーズなのだけど、それは一種、寿司屋のカウンターの向こう側の板前との対峙に似てるのかもしれません、とは云ったもののカウンター寿司なんて食べたことあったか、あたし。

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速報→「偏路」劇団、本谷有希子

2007.12.15 14:00

本谷有希子の新作。都落ちから始まる父と娘の物語。130分。23日まで紀伊國屋ホール。

親と喧嘩してまで東京に出てきて女優をやっていた女。劇団の解散をきっかけに実家に戻ろうと考えたものの、父親に言い出せず、毎正月に行く父親の遍路に同行して親戚の家に行く。お遍路さんへの「ご接待」をするようなアットホームを絵に描いたようなその家は、彼女にとっての克服できていない苦手なもので...

東京から離れたところで生まれ、東京に出て行く、のし上がっていくという意気込みというのは実際のところよくわからないアタシです。「都落ち」から始まるという話は数あれど、田舎がイヤだと思う気持ちの強い話は、「腑抜けども〜」に通じる感じの本谷節。

田舎に帰ろうとか出て行こうとか考える娘の行動が完全に自分中心、ふりまわし過ぎでなかなかアタシの感情を投影することが出来ない感じ。父親は父親でいいなりだったり、何かを解決に向かわせようと的外れなことをするのも彼女らしくはありますが、ここの視点もアタシとは違います。

むしろアタシが感じるのは、作家自身もあちこちで云ってる「田舎が嫌い、東京に出たい」という物語に見せておきながら、その土地にずっと行て出て行こうなどということを微塵も考えないような人々にたいするある種の嫉妬というか畏敬を感じてならないのです。なんてことを考えるのはアタシだけですかね。

体調というか飲み過ぎかジムのせいか、ちょっと睡魔もあったりしますが、当日パンフには対談から劇団年表、作家の父親の文章やら戯曲までのてんこ盛りで、アタシの睡魔の補完もできてかなりお得な感じ。

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2007.12.15

速報→「Good Morning Everything」elePHANTMoon

2007.12.14 19:30

当日パンフによれば、作風らしきものを壊してみたい、のだというエレファントムーンの5本目。90分、18日まで王子小劇場。

地方の小さな飲み屋というか小料理屋というか。町長選が近くて新人候補は、姉の持っているこの店を事務所代わりに使って選挙演説の練習をしてたりする。原発のおかげで町は道路が整備されおおきな商業施設ができたりしているが、この候補は地元密着で商店街や農業の活性化を訴えるのだが..

小さいコミュニティの中でのすれ違う気持ちとか、拘る点の違いが気持ち揺さぶる前半。もちろん静かな会話劇で終わるはずもなく、例によって生理的に嫌悪されるひとにはされそうなシーンも後半には多くて、結果的に観る人を選んでしまうというのも変わりません。舞台が高めになっていることもあって、後方からの方がむしろ見やすい気がします。

個人的には前半の静かにずれていく感覚を丁寧に描いているのに後半の爆発的な部分が印象に残ってしまうというのが勿体ない気が。たしかに一種の群像劇なので、そのまま終わらせてしまうと収集がつかないというのもよくわかります。シーンとしての派手さは勿体ないと思っても、それぞれの悪意が幾重にも重なっていく終盤の構成は好きだったりもします。

飲み屋のセットはキレイではあるけれど、どこか微妙に垢抜けない感がリアルな感じで、美味しいというよりは、落ち着く感じ。畳敷きの部分が妙に高い気がするのは、仕掛けがあるわけではないのでちょっと違和感があったりもしますが、まあ大きな問題ではありません。店をやっているわりにグラスなどを運ぶタイミングや、客が入ってきてからビール瓶をかたづける時に布巾を持って行かなかったりと細かい違和感があるのも事実。大きな問題ではないのだけど、この世界のものすごく大きな無茶苦茶さは、本筋に関係ないところをいかに「普通に、リアルな」人と見せるかどうかで説得力が違ってくる気がします。今まで考えたこともなかったけど。もっとも、細かいところの説得力ってのは、苦労する割に効果が薄いからとんでもなく大変な作業だとも思うのですが。

ネタバレかも

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2007.12.14

更に大変なことに

世間はクリスマスの三連休がかき入れ時なのですが。

小劇場好きなアタシとしては今週末が山場。もちろん三連休も観きれないのですが。

来年から何しようかなぁと考える冬の夜。

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2007.12.13

速報→「ドリームダン#2」散歩道楽プロデュース

2007.12.12 19:30

散歩道楽の女優・川原万季のプロデュース、彼女の作演による「5という名の3」と、太田善也による「松下ロボ殺人事件」の二本立て。16日までアートスペース・プロット。105分。

大昔にその土地で死んだ人の幽霊がまだ居る、その後の長い時間のあと、アパートが建つ。年上の女、ヒモ同然だけど一緒に暮らしてはいない男、突き止める人とか「5という〜」。
松下ロボという女が殺された。容疑者は6人。刑事はそれぞれの取り調べをする「〜殺人事件」

劇団の作家である太田善也と、基本は役者で作家としてはこれが二本目になる川原万季では、作演としての力量に開きがあるのは歴然。が、川原万季も前作に比べれば数段見応えがあって、続けることの効果というものを確実に感じます。その成長を見るのも楽しみの一つで。今の段階をみれば、まるで「かわいがり」稽古状態なことは否めませんが、この環境を継続出来るのは劇団の強みだなぁと思うのです。

「5という名の3」は、作家の頭のなかで考えるというか夢想というか妄想のあれこれな感じ。個々のシーンの繋がりは弱いのだけど一人の作家の頭のなか、という感じはたしかにする仕上がり。寂しいと思う気持ちに端を発して発想し、そこに向かって物語を編んでいる感じ。女性の妄想話がすきなあたしだからですかそうですか。終幕の壁と飲み物の使い方は少しばかりの派手さもあってちょっと巧い。

「松下ロボ殺人事件」は、劇団員は一人。ほかは若い俳優たちで演じられていて、一人多役で演じられますが、単にそれだけにとどまりません。犯人を捜すミステリー仕立てで始まりながら、物語が進むにつれて緻密に寄せ木細工のように組み立てられていく構成に舌を巻きます。6人の容疑者のそれぞれの供述はそれなりに面白く見せ、一人の小劇場女優のさまざまな横顔を点描していくのもちょっといい。圧巻なのはそのあと、物語がするすると収束していく感覚はさすがだなぁと思わせます。

その主役に据えられた彼女は人間的に酷い描かれようで、しかも下手なわりに強気な女優、という役ですから、本人はどう思っているかは知りません。が、彼女は確かに舞台の確かに真ん中に位置していて。観るだけのアタシは眼福なシーンも多くてよろこんでるのは、まあオヤジだからですが。

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2007.12.11

速報→「鱈。のへ」Hula-Hooper

2007.12.10 20:00

Hula-Hooperの「部活動」と称して、ライブの出来るダイニングバーで、ライブと芝居を。平日のみ、10,11,19,20日。同じ枠組みで17日は別イベント。7th floor。初日は予約客を待って15分押しで約150分。休憩も多めに挟みながら、ドリンクも食べ物も楽しみながら気楽に楽しむのが吉。全体をみたいなら、下手側の壁、包まれたいなら真ん中ブロック、まあどこでもちゃんとみえます。

ライブや店で見いだされた新人アイドルが入った事務所は、最大の大塚本舗。たくさんのアイドルたちは時に友達、時にライバル、だけではない気持ちも渦巻き。

女優ばかり、踊りや音楽をてんこ盛り。安田奈加(ex. feeedily)という歌い手の曲がきちんと力を持っていて、更に芝居に関しても歌がたくさん、アタシのようなおやじ世代こそ楽しめそうな。当日パンフにあるとおり、詳細に語らないのがナマモノを観るたしなみだとおもうのです、大人の事情とかありそうだしと勝手に思って。

通路も舞台もそれ以外にも店を使い切るてんこもり。物語は個々に観ていけば、ありがちなものなのですが、むしろステロタイプを見せて笑わせるようになっています。声も見た目も「 可愛く、かっこよく見える瞬間を切り取るのが圧倒的に巧い彼女たちですから、濃密に楽しめるのです。それぞれを切れ目無くカットバックのように繋ぐのも巧い感じ。

脳が溶けるような、と思うのはオヤジなアタシですかが、今作に関して云えば物語も緻密に組み立てられています。この凄い構成を組み立てる作というか演出家の頭の中はどうなってるんだろうと思うのです。裏切りや失恋や一方的で迷惑な想いやらでうねらせながらも、ちゃんと収束させるのもこういう場所の芝居としては楽しい。

劇中に挟まれるライブはシンプルで乗りやすい曲が多く、酔っぱらってノリノリで楽しむのが吉。10日のオープニングゲストは「キャプテンクーコッチ」。テンション高く音もでかいイキオイで突っ走るけど、「よせば(寄席ば)いいのに」はちょっといい。

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2007.12.10

【芝居】「キル」NODA MAP

2007.12.9 19:00

ある意味スタンダードなNODA MAPの名作がキャスト一新、若い二人役者に対する不安は、少なくとも芝居全体に対しては杞憂でした。ちゃんと立っています。休憩を挟み、150分、シアターコクーン。

服をつくる騎馬民族、父親を越え、妻をめとり、子供ができ、仕事で駆け上がり、地図の外の世界に目を向け、セイフクに血道を上げ、自分のブランドのニセモノが出てきて。

舞台経験のあるヒロスエはともかく、妻夫木という役者は堤真一に比べれば迫力に欠けるだロウとかってい思っていたのです。が、これだけの迫力を見せるだけでもたいしたものだと思うのです。

父親を越え、息子に越えられるというつながる関係、当日パンフで作家が云ってるとおりに、等身大の演劇なんてくそくらえという圧倒させるパワーというのがここにはあるのです。

舞台の色合いが以前よりもシンプルな感じがします。白と黒と赤が基本。そこに青い色が印象的なシーンを作るのです。これに限らず美しいシーンがいくつも。万里の長城を模した白いのぼり(?垂れ幕?)も美しいし。

広末涼子は実に可愛らしい。顔も小さく声も印象的で力を感じさせます。妻夫木聡は幕開きの一言目こそ不安で一杯になりましたが、その次のシーンからはきちんと芝居のテンションになっていて巧いなと思わせる確かなものを感じるのです。

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【芝居】「DogEatDog」JACROW

2007.12.9 16:00

アタシは初見です。9日まで新宿村LIVE。65分。

小売業の七十歳の社長と若い秘書の結婚式。だれもが金目当てだろうと思ったりする結婚式の隣り合う出席者控え室。社長の解任動議をねらう専務と乗務は、株式を抑えるために副社長夫婦を取り込もうとする...

ハードボイルド風味はあるけれど、短い時間に押し込む為かどうか、結局は卒業のパロディーシーンのような展開。男が花嫁奪取を決心するのが、花嫁と社長の間で子供が出来ては居ない、妻の居るはずの副社長の子供だったらしい、ということのようなあたりが終盤に出てきて。そもそも「卒業」を結婚式で歌うってことがネタバレ全開なのですが、その二人の男がサングラスをして歌うシーンはちょっと好きだったりもします。

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【芝居】「この世界にはない音楽」空想組曲

2007.12.9 14:30

新宿村LIVEで4週間、8劇団に渡って行われるフェスティバルの一本。9日まで。

朝起きたら部屋に女がいた。悪魔なのだと名乗る彼女は、死にたいと考えている人にしか見えないと言う。業界からは干されている作曲家で、そこに久しぶりの仕事が入ってくるが。

1時間、椅子二つとテーブルで向きを変えるだけの転換。悪魔なるものの存在と、彼らは楽器にさわることが出来ずに音楽が珍しく、地上に来る最大の楽しみが音楽だったりするという枠組みが実に「芝居」という感じで、一時間の短い枠組みの中には実によくあっています。時間が短いがために、この設定のなかに引き込むためにはもたつかせないということなのだと思います。

作詞家が一晩で書いてきた詩はやっつけ仕事の予想に反して、自分の手には負えないぐらいのレベルの高さだったという終幕近く、一言のセリフもなく表情だけで「感動していること」を伝えながらも、その後の会話は裏腹で、「こんなモノには曲を作り出せないということ。

四人の役者は不安もありません。女優を楽しみで観たりするあたしのような向きには、音楽ではしゃぐテンションの高いあたりもありそうで意外に少ないので楽しいのです。

おもちゃのピアノという小道具にシンプルな曲というのも気が利いています。もろびことぞりてを、悪魔がうれしがるのかという根本的は疑問はあるのですが、まあそういうものだと。ピアノがろくに弾けないアタシとしちゃ、あれだけで旋律が弾けることがわかったのも、また楽しいのですが。

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2007.12.09

【芝居】「監視カメラが忘れたアリア」虚構の劇団

2007.12.8 18:00

鴻上尚史が新しい出会いを求めて劇団を立ち上げる、という旗揚げ準備の公演。彼の考え方や言葉に久し振りに触れられる110分。手書きコピーの「ごあいさつ」もちゃんと配られます。9日までザ・ポケット。

おおきく三つの場所の話がやがて。
警官の男の仕事は町中に張り巡らされた監視(防犯)カメラ映像の監視、男は婚約者の姿を見つける。が、妻はそのことを話さない。
大学のサークル広場、大学によって取り付けられた監視カメラに反対して「監視カメラを監視する会」なるサークルを立ち上げてから8年目、カメラに見つからないで行く経路を示すすり抜けマップをつくり。
中学校の教室に監視カメラが取り付けられ、同時に毎週斉唱を強いられた女。カメラはいじめをなくすことはできず更に。

監視(防犯)カメラというもので監視され続けるということの違和感から端を発し、見る(監視する)側、見られる側の想いの揺れが幾重にも描かれます。警官や恋人が「実は見ている」ということを言い出せない立場で、しかし見ていた映像にはしっかりと恋する人の行動が映し出されていて、嘘をついていることが小さな闇になっていく感覚。

警察や大学という権力の側のもの、というカメラのあり方は技術の低廉化にともなって誰にでも手に入るものになる、というあたりを見せるのは周到な感じ。覗きの道具という側面だけではなくて、積極的に公開するというライブカメラという形でプラス面を見せます。「一握りの人だけが見ている監視カメラよりみんなが見られるライブカメラのほうがずっといい」というのは、ネットに楽観的なアタシの立場に近い感じ。 作家はそこに理解をみせながらも違和感を隠さず、やはり「隠したいもの」があるのだと云っている気がします。「全ての場所に監視カメラが付き、心にも監視カメラが付くまで」というのは巧い言い方だよなぁと。

劇中劇として挟まれる「天使は瞳を閉じたら負け」(でしたっけ)はもちろん、鴻上作品の「天使は瞳を閉じて」からなのでしょう。天使は見守ることしかできない、ということを監視カメラに結びつける当たりもちょっと巧い感じ。

そんなに古くから第三舞台を見ているわけではありませんから偉そうなことを云えるわけではありません。が、作家に見えている今の世界の少し先に見えている危うさや希望の萌芽をベースにしながら、オンナノコと寝たいだの恋したいだのとか暗く思い悩む個々人に引きつけて物語を運ぶというのはほんとに昔のまま、という印象を受けます。全体として描いていることは一貫しているというか変わらないという感じなのですが、それが実に濃密で、アタシの気持ちを引きつけて離さないのです。映像もそうだけど、テキストとして音として繰り返し何度も聞いて噛みしめたい感じがします。

オーディションで選ばれた若者たち。不勉強にしてあたしはあまり知らない役者ばかり。(大久保綾乃は鴻上尚史のPodCastのアシスタントでしたが)。さすがに2年にもわたるオーディションを経て来ただけあって、若いなとは思わせても不安な感じは微塵もありません。もっとも、まだ線は細く、個性というところまでは云っていない印象がありますが、期待はさせる感じ。渡辺芳博という役者が大高洋夫の声に実に良く似ていて、声だけ聴いていると錯覚しそう。これに拘泥すると難しそうですが今回に関して言うとプラスに働いている感じがします。

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【芝居】「7の椅子EX」7の椅子

2007.12.8 14:00

劇団員だけで短編集を上演している彼らが初めての客演を呼んでの再演集。11日までMOMO。110分

父親の葬式に集まった兄弟たち。顔も見せなかったのに揃ったのは、遺産の目当て。遺言で悪巧みをするものもいて「しおれた樹木」。 彼女の友達に手をだしただらしない男と、女友達たちの痴話喧嘩でふと見上げた先には飛び降りようとする男が居て。「CAN-AM THUNDER」。 彼女を家に呼んでプロポーズしようとしている気合い十分の男のところに来たのは、彼女の女友達と名乗る女で、伝言があるといい「美的でベストなエンゲージ」。

わりと彼らを観ているつもりなのだけど、記憶力がザルなアタシはどれも新鮮な気持ちで。笑いとスタイリッシュ、安定している役者というのはいつもの印象と同じ。客演を呼んではいるけれども自然にとけ込んでいて、役者自体には何の不安もない感じ。少々オーバーアクションというか、コントに近い色合いの演出になっていることが違うといえば違うかもしれません。

が、物語の印象はというと少々薄い印象。笑いもイイ話も今ひとつ不発な感じを受けます。 役者はほんとに安定していて不安がありません。井口千穂のコメディエンヌぶりはいつものことですが実にすごい感じ。福田英和はコミカルさもシリアスさもバランスがよく全体で印象に残ります。

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2007.12.08

速報→「Million Blue#01」青☆組

2007.12.7 20:00

普段は長編主体の青☆組の短編アソート、90分。気楽でちょっと素敵な5つの物語。11日までアトリエ春風舎。

保険を勧めにきた営業、初老の男の妻が実は三人いて「恋女房」。新聞屋が置いていった景品は「あいボ」。男に見知らぬ女が一目惚れのように愛を語り「恋するバス停」。老女二人、海の見える公演で紅茶を飲みながら、どうしても思い出せないことについて「夕焼けの名前」。老人ホームのロビー、見学に訪れた父親と娘の一組と、ショートステイしている父親を迎えにきた子供たちの一組と「フェルマータ」

細かに笑いを生みつつも、それほど派手ではなく、静か目にラインナップ。その割にオープニングのサーカスのような騒々しさもちょっと楽しい。

全体を通してみると、愛ではなく恋をしようとする心があふれまくる感じ。作家は若い女性なのですが、年寄りの男との老いらくの恋を書かせたら巧いし、「観られることを意識している女性の可愛さセルフプロデュース感」も。

「恋女房」は、多妻の家での話。アタシは多妻が法制化されようかという、まだすこし珍しい時期を舞台に。年齢のいった男のまわり、チクリとはしても、基本的に仲むつまじいある意味理想郷。しかし、オチが若い女性というよりは、手練れの貫禄さえ。

「あいボ」。男の妄想話といわば言え。見た目や仕草で脳が溶けそう。もう脳が喜んでしまうのです。三つのパートに別れていて、それぞれに物語をもっています。全体の流れとしては想像できるようなところもあるのだけど、絵本とか唄とか、「こぼす」の使い方など細かに気が効いている真ん中のパートが巧い感じ。それを受けての三本目は予想どおりではあるけど、二本目のさまざまが効いていていい感じです。

「〜バス停」は不条理感満載で笑わせる感じで。芝居の構成としてはワークショップに向いてそうな感じがします。さまざまにバリエーションが作れそうな期待。役者はもっともっとはじけていい気がします。しかし、悲しいねえ、男って。

「夕焼け〜」。老女ふたり、静かな会話は笑わせることもなく、座ったままでゆっくりとされる会話。昔からの友達で記憶が危うくなっているひとりを助けるかのようなゆったりとした、しかし言い合える女友達の距離感が絶妙。ひとことが空気を一変させるあたり、その一言にその台詞を選び取ることのすごさなのだけど、そのあとの会話がまたすごくて。全部呑み込んだ会話ってのも。二人が続けてきたであろう長い会話の繰り返しにアタシは凄みさえ感じてしまうのです。 終わり間際も気が効いていて。

「フェルマータ」は老人ホームのロビーを舞台。いくつかあるベンチ、待っていたり、会話してたり、二つの家族の会話は少しリンクはするものの、混じり合いません。老いていくこと、それが必ずしも悲しいことばかりではないこと。思い出は味だったり、音だったり。終盤のバタバタ感の理由は明らかにされませんが、場所故に他の理由はあまり感じないのです。物語は全く違うのだけど、高齢化の時代の「東京ノート」という感じもします。終幕の背中、その向こうでされている会話は聞こえているけれど、もっと大きいことが起きていて混乱している気持ちを整理している感じ、と勝手に思い入れてしまうのだけど、この絵柄も東京ノート的で。

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2007.12.07

年末の足音。

気がつけばそろそろの年末。今年の12月、小劇場通いのアタシは何時にも増して悩まされるのです。原因ははっきりしています。ただでさえ多い12月に、こんなものと、こんなものを重ねてぶつけてくるからなのです。いやね、嬉しいんです、嬉しいんですが、ここでやらんでも、つぶし合わないでもと思うのです。そして、望むべくは、定期的に、ぜひ。

年末と言えば、電子チケットぴあが年末にシステムを入れ替えるためにかなり長期にわたって完全に停止します。たとえば紙発券は25日から元旦まで。サイトの閲覧すら25日から年末一杯できなくなっています。これ意外に周知されていなくて、これはどうなのだ。年末年始の公演の所は大丈夫だろうか。

もう一つ、デジポケのチケットを電子的に友人に送るというサービスがとても便利だったのだけど、これも何かの温床なのでしょう、完全にサービスを終了してしまうようです。んー。ローテクに戻るか。それもこれも分け判らないことをする人がいるから、なのだけど。

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【芝居】「夜のジオラマ」SPIRAL MOON

2007.12.6 19:30

スパイラルムーンの十周年記念シリーズのひとつ。ジャブジャブサーキットのはせひろいちの手によるSF風味。9日まで「劇」小劇場。120分。

煉瓦づくり、少しわかりにくいところにある隠れ家風情。逃れるように引っ越してくるルポライター作家の女。離婚し娘とも息子とも離れて。謎めいた不動産屋は、契約の条件として、部屋にある調度品はそのまま使い続けることと、退去の時には何か一つ、物を残していくことを求める。

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2007.12.06

【芝居】「未来ルルルルルルル」あひるなんちゃら

2007.12.5 20:00

緩すぎる笑いなのだけど、言葉が緻密で。70分、10日まで王子小劇場。

冷凍睡眠で一万年ぐらい未来に目覚めた男友達、三人。荒野かと思っていれば、人影が見え、そっちに行くと。

全体としては三つの場所。もっとも、みんな行き来するので、中心点とか収束点がある感じではありません。未来は今とあまり変わらないけれど、おかしなところがユビキタス(遍在)している感じ。未来に来てしまったことの高揚感と何も変わらないというがっかり感と、でもそこかしこオカシイ感じの違和感と、ある種の絶望感と希望が、ごちゃまぜになっていて、そこを漂うのが吉。

初日ゆえの堅さとか、慣れている役者ばかりではないとかということはありますが、それでも「緩い笑い」が確実に。だらだらと笑わせるスタイルではあるのだけど、言葉のひとつひとつが実は緻密に可笑しさを作り上げている感じがして、何度も「聴きたい」感じがします。CDかなんかにしてくれないものかと思ったりはしますが、そう思うのはアタシだけですかね。

ちょっと慣れが必要な感じもあります。となれば、年末の別公演もあるので、短い間隔で慣れる、ある意味ブートキャンプでいいタイミングなのかもしれません。

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2007.12.03

【芝居】「マイルドにしぬ」プロペラ犬

2007.12.2 17:30

女優・水野美紀と作家・楠野一郎のユニット。河原雅彦との二人芝居というよりコント仕立てで、しかし物語っぽくもあって。東京公演は2日で終了、そのあと大阪、川崎。105分。

(1)街角で路地に挟まれている「はさみ女」。(2)夫婦らしい男女、作家の書いているものと書きたいものは「Writing Boy, Working Girl」。(3)女優とマネージャー、オーディションを前に「くされもの」。(4)郊外で見かけた女の突飛な行動が「湖の女神」。(5)男の前に現れた女の謎の言葉「ぽこ」。(6)追われて来た男女が逃げ込んだ先の光景。
このほかに、ラジオドラマとかDJとかアニメーションとかを転換に挟んでいきます。

テレビの女優、というポジションなのですがアドリブに見せてきっちり作り込んでいる感じがします。舞台としては少々無茶な発声をしていたりして、ちょっとはらはらするところもあるのですが、全体としては河原雅彦の力も意外に(失礼)発揮されていて、気楽に楽しめます。

見ている間のアタシの印象としては、ドリフの番組で女優やアイドルがきちんとコントをしていたころ、という感じ。今から思えば、あれは相当に稽古を積んでいたし、アドリブや素に頼らないものとして相当にレベルが高かったのです。今だと辛うじて志村けんの番組という感じでしょうか。あの時代はテレビがちゃんと人を育てるということをしていたのだなぁと思うのです。今はどうなんだろう。この舞台は、そういう意味で「育てる場」になっています。それを女優自身のユニットとしてやっている、ということの心意気にアタシは賛同するのです。

小指値の手による美術。写真っぽい背景、小さなビル群、わざと影を作ることによる照明の効果など、らしい感じで、効果を生みます。シルバニアファミリーのクレイ・人形アニメはどちらの手によるものかなあ。

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【芝居】「東京裁判」パラドックス定数

2007.12.2 14:00

今年、他ユニットでの再演( 1, 2, 3) の多かった野木萌葱の新作、劇団化しての一本目は本家の力を見せつける迫力。90分。2日までpit北/区域。

東京裁判の主任弁護人席、起訴状の朗読が終わり、罪状認否にさしかかるところ。

黒スーツ姿、メガネの男、暗めの照明、ほとんど動かない人々。パラドックス定数の「らしい」フォーマットに乗せられた題材の東京裁判は、この形式にぴたりとあっていて、これが史実なのではないかと思わせてしまうほどの説得力があります。歴史の表舞台の中心とは少しはずれた場所にスポットをあてて、さまざまな発言や背景をコラージュしながら丁寧に創作された舞台は、それ自身が圧倒的な迫力を持ちます。

実際のところアタシ自身はそれほどの知識も持ち合わせないし、イデオロギーとか捉え方もさまざまなこの題材自体が史実なのかどうかにはあまり興味はありません。そこに人がいること、それぞれの想いがあり、目的があること、一枚岩ではないということさまざまな「生きている人間」がそこに浮かび上がることが、アタシにとってのこの舞台の価値なのです。

以前に比べれば、和ませ笑わせる場面を細かく用意し、しかもすぐに本線に戻す緩急のつけかたが圧倒的に巧くなっていて舞台としてみやすく構成されています。訳の分からなくなりがちな法律用語も実にうまく説明していて「わかった気にさせる」のです。枝葉の取捨選択が見事なのでしょう。以前は当日パンフに解説文のようなものが入っていたのですが、それすら無くてもきちんと見せています。

あるいは素人のような人物を置いて自然に説明する場面とすること、英語が判る人物と得意でない仁斑を置くこと、あるいは「腹が減っている」ということから、それぞれの人物の信条まで浮かび上がらせてしまうのも見事。

上演台本には、舞台上には現れない検察や判事たちの発言や、机を飛び交うメモも表現されています。が、現れない舞台のほうが、タイトな感じがよくでていて強みを感じます。映像では見せないわけにはいきませんものね、こういう場合。

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2007.12.01

【芝居】「ときめき都内」チャリT企画

2007.12.1 19:00

社会ネタを軽妙な切り口でイキオイもあって気楽に楽しめます。どう考えてもテレビ中継はなさそうな75分。2日までOFF OFFシアター。

事件を起こしてしまって社会からも芸能界からも締め出されてしまったアイドルは自爆テロを企てる。デジタル団とアナログ団の抗争や、貧しい家庭でやっとの思いで買い換えたテレビが映らなかったりといったさまざまなことが。

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【芝居】「Get Back!」グリング

2007.12.1 15:00

グリング、久しぶりの新作。奥行きの深さにどっぷりの110分。9日までスズナリ。

都会から越してきて民泊をしている家。妻の弟は結婚しないままいい歳になり、モデルガンが唯一の趣味で。ある日、親戚の漫画家一行が次回作を前にした保養に訪れる。原作者と作画担当の二人の女は古いつきあい。男のアシスタントはその地域のゼロ磁場なるミステリースポットに興味しんしんで。原作者は小説も始めているが、漫画の原作は正直ネタ切れで互いにも不満が鬱積していて。

物語を作る人、それを求める人。生み出す苦しみと作る側ではあるのだけど待つ苦しさ。劇中に出てくる「(物語を)怯えつつ、ねだる」という関係が目に浮かぶよう。 そこに男のアシスタントという間を取り持とうとする人を置きます。その土地の人として、独り身で一目惚れする男などを配置して、「旅行先ゆえに刺激を受けて浮かび上がる」三人の関係。

演出や役者や各種の効果というのももちろん重要なのだけど、「物語を作り出す人」というのはやはり特別な存在なのだろうと思います。誰にでも出来ることではないから、観客は作られた物語に敬意を払いたいし、作り手だってその物語を切望しているのでしょう。産み出す方の苦労は並大抵ではないのでしょう、劇中の「雑巾を絞ってやっとの思いで絞り出す一滴」という言葉は、重みを感じさせるのです。

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【芝居】「ア・ラ・カルト」青山円形劇場プロデュース

2007.11.30 18:30

遊◎機械全自動シアターのころから続く年末の風物詩イベント。今年で19年目。初日に拝見しました。休憩を15分はさみ3時間ちょうど。去年の公演期間前半まではあったワインサービスは飲酒運転撲滅キャンペーンのあおりで有料(300円)に、ソフトドリンクは相変わらず。26日まで青山円形劇場。そのあと大阪。

一人の女性がなにかを吹っ切るために「開店〜プッシーフット」。結婚5年目を迎えたタカハシと典子さんの話題はエコで「地球にやさしいおいしい関係」。待ち合わせる男女、家業を継ごうとか、二人のあれこれとか「料理と恋は始めてみなけりりゃわからない」。ショータイム。
休憩を挟んで、ゲストとのトーク「マダムとクリスマス」。夫婦らしい男女、子どもの話をしたり「カエルの王子はアイゼンヒュッテル王がお好き」。毎年の「ラストダンス」。最後に「閉店〜エンジェル・ティップス」。

良くも悪くも毎年ほとんど変わらないフォーマット。アタシも含め客の大部分が数年来のリピーターということなのでしょう。タカハシと典子の関係に笑い、ラストダンスに泣く、なんてことができればアタシは満足だし。多分大多数の客も同じなのでしょう。初日特有なのか、そうとうに硬い感じですし、そこかしこ不安なところもありますが、客席はあくまでもあたたかく。ヌルイといえばそうだけど、それは問題ではないのです。

音楽寄りのゲストがここ数年続いていたのですが、今年は筒井道隆がゲスト。多くを語らず、朴訥さそのままのキャラクタをそのまま役にした感じで、彼自身に興味がないと、正直盛り上がりという点では厳しいところがあります。ショータイムもまさかの(失礼)一曲。ちょっとした趣向が凝らされていて、これはこれでアリだけど、音楽畑のゲストの強みを知ってしまった今となってはちょっと厳しい。

今年のアタシはDブロック。バンドはEブロックを使います。正直な話、今年の演出はF・G・H・Aブロックを正面として作っている感じで、それがかなりあからさまな感じはあります。Fブロックが背面と感じた年もありますので、いろいろ変わっているところではあるのでしょう。初日時点の慣れなさも含めて、そういう意味ではちょっと残念。

トークショーのコーナーではスポンサー告知をやるってのも一つのフォーマット。ワインの無料提供ができなくなった背景の話とか、ワインの提供がキリンからメルシャンになったこととか。あからさまといえばあからさまだけど、アタシはこれぐらいのバランスで告知するのがいいな、とも思います。

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