【芝居】「ライン」青年団若手自主企画
2007.11.3 15:00
saladball( 1, 2) の西村和宏と鈴木大介の、なぜか青年団若手自主の企画。「罪と罰」を根っこにした11編の短編アソート。モチーフを知ってればもっと楽しめたかなぁな95分。6日までアトリエ春風舎。
囚人二人の会話やら、女子高生たちの使い物にならないタイムマシーンやら、ドストエフスキー的芝居やら、パンクな老人ホームやら。日本人には親しまれている物語(wikipediaによれば)らしいので、読んでないアタシのほうがたぶん普通じゃないのでしょう。あとからwikipediaで手っ取り早く細くするアタシです。
「選ばれた非凡人は、社会道徳を踏み外す権利を持つ」のような無茶な論理展開はそのモチーフからもってきたものなのでしょう、気がつけば根拠のない自信を持つ若者、それは今の時代だとも、若者はいつもそういうものだともいえるのだけど、そんな根拠のなさ加減が実にぴったりモチーフにあいます。「老人ホーム」で未来予知をできるといいながらカード当てをすべてはずす(赤黒なのだから、それは当ててるのと確率としては同じ事なのだけど)老人やら、「放課後」での自転車の鍵をあけられるといいながら驟雨注力がみじんもないようなそれぞれの根拠のなさと強気。「兄弟」はむしろ「三人姉妹」に重なる感じがして、これも根拠ないのにいつかは選ばれるだろうと根拠なく思ってる人々に重なります。
モチーフにあってるかどうかわからないのは「タイムマシーン」。タイムマシーンがあるのだけどわずか65秒前後にしか移動できないという制約で、そのわずかな未来をのぞき見て告白を自己完結してあきらめてしまう女子高生。制約の強烈さをうまくはめ込んでいるとは思うのだけど、わずか65秒の違いなので出捌けの場所だけで未来か現在かをというのが少々せわしい。
わずか10分ばかりの短編の積み重ねはしかし、モチーフの中で何かを見せているという点で手腕は見事だなぁと思うのです。罪と罰の登場人物をタイトルにして台詞もおそらく罪と罰から引いて演出で見せるタイプのよりもむしろ、現在の光景の中にエッセンスをはめ込んでみせる何本かのほうが、あたしの好みにははまります。
青年団若手公演「ライン」
2007.10.31 - 11.6 アトリエ春風舎
作 鈴木大介(サラダボール) 演出 西村和宏(青年団演出部)
出演 鈴木智香子 村井まどか 宇田川千珠子 近藤強 伊澤勉(客演)
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