【芝居】「博多湾岸台風小僧」桟敷童子
2007.11.10 19:00
迫力ある舞台は吉祥寺シアターにもちゃんと立ち上がる120分。12日まで。二本連続上演の一本目にあたります。
博多の町を見下ろす山中の集落。彼岸花が咲き臭いのきつい土地だが川底をあさる「ガダロウ(河太郎)」で生計を立てるものたち。そこから見えるマッチ工場の女工たちが酷い生活に耐えかねて脱走し、この山に追いつめられるが、自分の身を守るために見て見ぬ振りをするのが通例だった。そんな生活や集落の暮らしに嫌気がさし、いつか出て行くと決心する男は、アイスクリームの商売をすることを思いつき、必要な冷凍機を手に入れようとしている。ある日、女工たちが集団で脱走してくる...
劇場に入った瞬間に度肝を抜かれるのが劇場の雰囲気を消し去ってしまうほどに作り込まれた美術。もうそれだけでワクワクしてしまうのです。桟敷童子らしく終盤のダイナミックなシーンももちろん健在ですが、頭から終わりまで細かく作り込まれた照明が効果的で花を強烈に印象づける舞台は実に美しいのです。
女工哀史だの、悪徳工場の雇われ追っ手だの、虐げられる集落だの、個々にみていくとステロタイプにすぎる登場人物たちだし、物語はたいがい思ったところに気持ちよくはまっていく感じ。しかし、丁寧にしかも美しく迫力のある物語の運び方は、アタシの心をがっしりつかんで粗々しくひっぱり回すのです。少々の荒唐無稽は気にならないというか、むしろその「濃ゆさ」こそが、舞台を観たなあと満腹な感じがするのです。
桟敷童子「博多湾岸台風小僧」
2007.11.6 - 11.12 吉祥寺シアター
作 サジキドウジ 演出 東憲司
出演 東憲司 原口健太郎 稲葉能敬 池下重大 桑原勝行 小野瀬弥彦 川田涼一 鈴木めぐみ 外山博美 川原洋子 小林ちさと 山本あさみ もりちえ 松本しゃこ 新井結香 中井理恵 板垣桃子 椎名りお 岡部和恵 大手忍 深津紀暁 田尾健介 星耕介(Oi-SCALE) 朱源実
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「ザ・ヒューマンズ ─人間たち」新国立劇場(2025.07.08)
- 【芝居】「いつだって窓際であたしたち」ロロ(2025.07.07)
- 【芝居】「骨と肉」JACROW(2025.07.05)
- 【芝居】「夏の日の陽炎」麦の会(2025.07.03)
- 【芝居】「ふぁいやホーム 淑」ボタタナエラー(2025.07.04)
コメント