【芝居】「うそつきとよばないで」タテヨコ企画
2007.11.11 19:00
一ヶ月に渡るギャラリー公演三本のうち唯一の新作。気がついたら売り切れていて、最終日に追加された追加公演に潜り込みました。公演は終了。85分、ギャラリーカタカタ。
ギャラリーを建てた男がなくなった。追悼展をしようとあつまる人々。オーナーの女は長い間このギャラリーを支えてきて。ギャラリーは男の友人に譲られることになるし、男の家族はギャラリーもそこに集う得体の知れない人々も快くはおもってなくて。
ギャラリーと外への借景をつかった場所へのあてがきとでもいう一本。居なくなった男をめぐるまわりの人々の話、というのはまあ珍しくないベースではあります。が、新作らしく年齢を重ねた作家の描く物語。男も女も大人のほろ苦さを併せ持った語り口になっていて歯ごたえがあります。
たとえば、オーナーの女と男の関係。何かあるかのように周囲は見ていて腫れ物のように話題に触れていない。男の家族も同様に考えていて女に手切れ金を渡そうとする。この手切れ金のシーンはぞくぞくするぐらい凄くて、男の娘とのヒールさ加減も凄いし、それを表だっては刃向かわずに「いなす」感じの「大人の対応」の見えない火花の凄さ。
あるいはその少し前、ギャラリーを引き取ろうとする金持ちらしい男と、オーナーに心寄せる近所の男。オーナーの女に仕事を続けさせようとあれこれ云うのだけど、「本当にやりたいなら、自分でここを持てばいい」という正論の前に手も足も出ない。この手も足も出ないという苦さがいいなぁとか。
突き抜けた華やかさというのはないのだけれど、会場時間で口上を述べる作演の人柄が見え隠れする優しいタッチ。登場する人々がみな実にまっすぐでだれひとりとしていい加減なものの考え方をしない、というのも同じ雰囲気。タッチは優しくても、年を重ねればさまざまにある現実、若者の先にいくらでも広がりそう感とか、迫られた選択でやはりそれを選べない現実の厳しさを知っている感じとか、そことはまったく別の路線に突き抜けてしまった感じとか。アタシにとっては若者の突っ張り感は、どこかまぶしい感じすらして、それはそれだアタシ的にほろ苦さを倍増させたりもして。
タテヨコ企画「うそつきと呼ばないで」
2007.10.17 - 11.11 ギャラリ・カタカタ
作・演出 横田修
出演 青木亜希子 舘智子 ちゅうり
荻野友里(青年団) 佐藤幾優(boku-makuhari) 佐藤滋(KAKUTA) 代田正彦(北区つかこうへい劇団) 藤田貴大 向原徹 召田実子
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