【芝居】「贋作・チロルの秋」危婦人
2007.11.24 14:30
危婦人の芝居と、ゲストの朗読、切り絵作家・タンタンの展示のコラボ企画「これも、愛。それも愛」の中の芝居部分。芝居部分は約50分。24日までギャラリールデコ3。他に切り絵展示や切り絵ワークショップ、トークショーなど盛りだくさん。
久しぶりに帰省した女、祖父の葬式には間に合わなかったが祖母とは久しぶりの再会。祖母から一冊の本を手渡される。祖母が祖父にプレゼントしたものが遺品の中から出て来たのだった。読み書きが出来なかったのに大事にしていたその本は「チロルの秋」という戯曲だった。
岸田國士の戯曲をベースに、その外側にもう一皮被せた構造。開演前に元の戯曲を配布(終演後回収)しているのでよくわかるのですが、企画のテーマである愛にまつわる骨子を抜き出し、その間を女優らしき女の帰省と、祖母や家族たちのゆるくて笑いに振った会話でつないでいて、実に見やすいのです。もとの物語と、現在の会話を実に鮮やかに行き来していて、確かな力を感じさせるのに十分なのです。夢かうつつか、という感じで進む1時間ほどの時間は浸ってしまうほどの「愛」に溢れていて、幸せな時間。
なんてことを云うのが照れくさいからこその外側の構造なのかもしれません。照れるということも、それを解決するためにこういう手法をとるということも、スマートな感じで、それでもストレートに想いが伝わってくる感じでアタシの好みにハマルのです。
終演後のトークショーでは、愛にまつわる話というテーマで、アタシの観た回は少年社中の次回公演、カゴツルベの原作となった歌舞伎の終幕の一こまの朗読。タンタンによる緻密な切り絵展示も、間近で眼にするとこれはこれでインパクトがあって、圧倒されます。
ネタバレかも
原作ではホテル逗留で知り合った男女が最後の日に恋人のごっこ遊びをする、という少々ひねった感じなのですが、抜き出した部分はシンプルに愛を語る部分がほとんどで、祖父母の出会った頃の二人の関係をあざやかに描き出します。ごくごく短編なのに、さらに大胆な抜き出した結果、物語が鮮やかに浮かび上がるのです。
これだけ語られているのに、岸田國士の戯曲を手にするのはものによっては結構困難で、こういう機会は嬉しいのです。頼みの青空文庫も戯曲はほとんどが作業中のまま数年止まっていてもどかしい。手伝いたいと思っても底本持ってないしなぁ。
危婦人「贋作・チロルの秋」
2007.11.21 - 11.25 ギャラリールデコ3
原作 岸田國士 脚本・演出 スギタクミ
出演 ザンヨウコ キキコロモ ヤビマーヤ ハルテロコ 春山剛
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