【芝居】「サロン」げんこつ団
2007.11.18 14:00
女性ばかりで独特で毒のある喜劇というよりはコント的なものを上演し続けるげんこつ団の新作。130分、18日まで駅前劇場。
◆山中の洋館での殺人事件とその解決のための探偵たちの話から子供の頃に職業をきめられ、その実現のために親が影に日向に支え続け、できてないこともできたように見せてきて、実は身代わりになっていたり。◆あるいは、引きこもりの部屋に引き籠もり続ける子孫たち。神話のように外の世界を語る神話の言葉、そこから出ていく子孫の一人の物語。◆夢と希望だけとか信仰だけでささえられているマンション。◆プラスマイナスの人が居て引き合ったり反発したりのオフィス、NSの女は北しか向けず、どこにも同調しない男の背中には取っ手がついていて、誰にでもついていく性格で。◆漫画家とハリウッド、俺専用。◆実家住まいの女、奴隷のように親を鞭でこき使い。そこに男がやってきて。◆団結とか信じ合うとかメタな言葉だけで何一つ具体的なことをしない教師。◆銀行の窓口にやってきた女。ナイフを持っている。見かけだけで判断するなんて。など。
Corichあたりを見てると、戸惑う声が多いのですが、見続けているアタシにとっては、これこそ、げんこつ団の味。今回に関して言えば、全体を通してみると、子供と親、パラサイトな関係を強く意識しているネタが多い印象。引きこもりも、実家住まいも、なんかそんな流れのネタ。どこか社会的な毒ネタという感じのセレクションなのだけど、何かの批判的な視点というよりは、ひたすらに、しかし少し意地悪な角度で描写しているという感じがします。もちろん荒唐無稽なコントではあるのだけど、どこか今いる世界のずれたパラレルワールドな感じを作っているのです。全体はゆるやかにパラレルワールドに繋がっているのですが、実はそんなに重要なつながりというわけではありません。
あたしが好きなのは、「引きこもりの部屋の神話」とでも呼べる話。カーテンの閉まった暗い部屋で過ごすスエット姿の人々。扉の向こうには行ってはいけない世界が広がる。かつて一人の男がそこにいて、酔っぱらった女を引っ張り込んで子孫が出来ている、という神話が語り継がれて。扉の向こうには母親という魔物が居て、時折ノックして、扉を開けて攻め込んできたら「こんどリビングに出ていくから」という呪文で撃退しようとする。引きこもりネタは数あれど、こういう形で神話みたいな枠組みをこんな短時間で作り上げてしまうあたりが好きで。
これもいつもの事なのだけど、強烈な冷房もいつもの印象。なぜかわからなくて、ポリシーなんじゃないかと思ったりもするのですが。毛布を配ったりして自覚はあるようなのですが。暑いよりは芝居を観るためには嬉しいんですが、それがちょっと厳しく感じて来たのはアタシが歳を取りましたか。
げんこつ団「サロン」
2007.11.15 - 11.18 駅前劇場
作・演出 吉田衣里
出演 植木早苗 春原久子 大庭智子 大場靖子 河野美菜 高園陽子(SPARKO) 加島愛(ハラホロシャングリラ) 望月文 松本雅子 吉田衣里
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