【芝居】「道成寺」山の手事情社
2007.10.31 19:30
山の手事情社の三本連続公演。前売りは売り切れ満員ですが、小さい劇場にあわせてしまった感じもします。1日までレッドシアター。90分。
道成寺の物語として語られる三本の物語をかみ合わせるようにつなげるのです。女の情念に対する男の恐れという骨子は、yamanote nipponという、女性を中心に据えたシリーズとしては正しい選択です。
初演のアサヒアートスクエアは、天井も、舞台もだだっ広い箱なのでした。その空間を埋めるのは並大抵ではないのですが、彼らはあっさり空間を制圧したのでした。再演の大隈講堂は見てません。
今作ではかなり小さい空間です。初演に見られたようなダイナミックな大蛇の迫力という意味では少し残念な感じもします。が、そのかわりにこの空間で見えるのは女性からの視点。裏切られたということを、裏切られそうということを色濃く匂い立たせるのです。
こんなに見ているのになんですが、山の手事情社の身体の表現や四畳半やハイパーコラージュという手法や、文語体の台詞回しは嫌いではありませんが、そこには思い入れはありません。道成寺という演目を傑作だと思うのは、想いを三つの物語としてすくい上げ、それを終幕で一つの場所に集合させたことではないかとおもうのです。
初演で印象的だった合間のシーンは健在。酔っぱらいのおもねる感じ、キャスリーヌの卑怯に笑いをとる語り部。卵のある種の気持ち悪さも。シールを張り合う女たちの、貼られた女の姿は、そうか、表情のなさといい、ウロコといい、蛇に変わる瞬間のモチーフかと、今日初めて気づくのも、この小さな劇場ゆえなのです。「逃げるのルパム」楽しい。
山の手事情社「道成寺」
2007.10.25 - 10.28 RED/THEATER
構成・演出 安田雅弘
原作 郡虎彦(清姫) 竹田小出雲+近松半二+北窓後一+竹本三郎兵衛(日高川入相花王) (今昔物語集) 出演 倉品淳子 大久保美智子 久保村牧子 三井穂高 山本芳郎 浦弘毅 川村岳 岩淵吉能 斉木和洋 野々下孝 名久井守 山田宏平 水寄真弓 山口笑美 太田真理子 高橋智子 鴫島隆文 越谷真美 大浦孝明
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