【芝居】「ツーアウト」自転車キンクリートSTORE
2007.10.21 19:00
自転車キンクリートの飯島早苗のテキストも久しぶり、演出も彼女の手によるというのはアタシの記憶では初めて。ユルユルさも含めて楽しむのが吉の110分。28日までTHEATER/TOPS。
川原の休日、草野球のベンチ、攻撃の回に残る監督とスコアラー。一回の裏からやらっれぱなしだが、監督もまるでやる気がない。妻が朝から家出してしまったのだという。監督を訪ねて来る若い女、若い男。そしてユニホームの違う男も現れて。
ヘタレ草野球チームのベンチ、守備で人が少ない時を舞台に「隙間の時間」に見えてくる、「人生のツーアウトどん詰まり」の男の話。他の人物もそれぞれにどん詰まり感はあるけれど、まあ樋渡真司の演じる監督が話の軸になります。たしかに野球の描写はかなり薄くて、試合そのものは刺身のツマ、スパイスぐらいの効き具合。 それでも、その場所から離れられないリアルを持たせたり、会話をしていても試合次第でわりと寸断されぶつ切りにされる場所を作り出すために、かなり細かく音声を入れていたりして、狭い劇場の中で草野球のベンチ感とでもいうものは良く出ています。
見せ方という点では、演出に慣れがない感じは確かにあります。役者のキャラクタに頼ったドタバタやある種の泣かせをしている感じもします。反面、2週間の公演期間の中で進歩していきそうな感じも受けます。
アタシが好きなタイプの芝居である「トランクス」やら「休むに似たり」など作家や役者の年齢なりの地に足をつけたリアルタイム感をもって描かれる飯島早苗が得意とする方向のひとつの形だとも思うのです。ついに受験期の息子なんてのが出てくるってのは、自分も含めて歳取ったなあとも思うのです。終演後に聞こえてきた観客の話し声のなかに「自分の息子に重なって切実に見えた」ってのがあって、ああ、そうなのだなあと思うのです。
自転車キンクリートSTORE「ツーアウト」
2007.10.17 - 10.28 THEATER/TOPS
作・演出 飯島早苗
出演 樋渡真司 岡田正 太田志津香 鹿野良太 瀧川英次
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