【芝居】「傾城反魂香」山の手事情社
2007.10.26 19:30
山の手事情社の「和モノ」を三本立てする企画。99年の「平成・近松・反魂香」(未見)の再演。90分、28日までレッドシアター。そのあとに「道成寺」「摂州合邦辻」を順に11/6まで。
近松門左衛門の浄瑠璃をもとにしたおそらくは全体を通した形。歌舞伎ではごく一部、俗に言う「吃又」のくだりのみが上演される事が多いようですが今作はそこをむしろあっさりと、秘本の松の絵を写し取らせてくれた遊女と夫婦の約束を交わしたはずの男はそれを裏切り、姫との婚約に走ってしまう、その悲恋の物語を骨格に据えているように見えます。
和モノ古典を取り入れた初期らしく、笑いなどはあまりなくてごくストイックに長い物語を濃縮して語るという語り口。いくつものものがたりを描くが為に点描的なぶつ切りを感じるところもあるのだけど、見終わって、googleで検索しながらつらつら筋書き(たとえばここ)を読んでみたりすると、エッセンスをこのコンパクトな中に絶妙に詰め込んでいることに今さらながら驚かされます。
女性を切り口にした三本。裏切られ、それでも深い想いが結実した奇跡は、もとの物語を知らないで観たあたしには、ベタではあるとは思いますが、物語の面白さがアタシを掴んで離しません。
けっこうな人数が出ている今作においてはレッドシアターという舞台は狭くも感じる反面、それぞれのシーンの人数はすくなく、四畳半という手法にとっては舞台の一部で芝居をしているという印象もあったりします。でもバランスはいいかな、とも思うのです。
山の手事情社「傾城反魂香」
2007.10.25 - 10.28 RED/THEATER
原作 近松門左衛門 構成・演出 安田雅弘
出演 山本芳郎 山口笑美 鴫島隆文 倉品淳子 浦弘毅 斉木和洋 川村岳 植田麻里絵 久保村牧子 高橋智子 越谷真美 柿本亜紀 岩淵吉能 野々下孝 大浦孝明 名久井守 櫻井千恵 山田宏平 水寄真弓 大久保美智子 小栗永里子 三村聡
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