【芝居】「陰漏(劇場版)」乞局
2007.10.27 19:00
台風の近づく駅から遠い劇場でもちゃんと埋まり、開演もそれほど遅れないというのはたいしたもの。初演とあまり変わらない再演90分。28日までアトリエヘリコプター。
自分の部屋で死んだ男、兄夫婦が部屋を訪れるが唯一の身内だからという嫌々。同棲していた女、恋人だった女、毎日のように通ってくる男、ほぼ不法占拠している「塾」の人々。
死んだ男をめぐるミステリーっぽい展開を枠組みに。その中で自殺志願者を集めて仕事をさせることで結果的に自殺させないという団体を縦軸、死んだ男の兄夫婦を横軸。恋人たちがその間を埋めつつ進みます。死ぬ直前に男が何を考えていたのか、終幕直前の一言、上手の扉を閉める瞬間に語られる一言にすべての収束点がありますが大音量の音楽にかき消されます。それまでの間に種明かしを示唆するアイテムは数々ありますから、まあわかる気もしますが、確信は持ちづらいので、バランスが難しいところではあります。
自分を消してしまいたいという気持ち、おりのように溜まってしまった人間関係も面倒だと思う気持ち。楽しい語り口ではありませんが、そんな気持ち、あたしにはすとんとはまります。
劇場版に関していえば、舞台ほぼ目一杯に立て込んだことで、やけにがらんと広い空間にアタシは多少の違和感があります。一間のアパートなのだけど、その部屋がやけに広い。もっとも、床に散乱する衣類をわざと点在させることで、むしろそのスカスカな感じを強調しているようにも思えますから確信犯なのかもしれません。画廊版の方はもうすこし狭いところでしょうし、立て込まないシンプルな作りになるらしいので、こちらの方が違和感はないのかもしれません。
いい人、巻き込まれキャラが多い根津茂尚は力を抜かない怒りのテンションを持続させる役が珍しいけどきっちり。家によく来るバンバを演じた竹岡真悟は静かでも恐怖を感じさせるすごみと、語ることばに説得力もたせる力量が圧倒的。
乞局「陰漏(かげろう)」(劇場版)
2007.10.24 - 10.28 アトリエヘリコプター
作・演出 下西啓正
出演 秋吉孝倫 下西啓正 竹岡真悟 根津茂尚(あひるなんちゃら) 三橋良平 宮崎圭史 岩本えり 北村延子(蜻蛉玉) 木引優子(青年団) 墨井鯨子 田上智那 中川知子
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「安心して狂いなさい」中野坂上デーモンズ(2022.05.13)
- 【芝居】「グレーな十人の娘」競泳水着(2022.05.17)
- 【芝居】「秘密」劇団普通(2022.05.11)
- 【芝居】「未明の世界」GHOST NOTE THEATER(2022.05.05)
- 【芝居】「明日のハナコ」『明日のハナコ』上演実行委員会東京神奈川(2022.04.17)
コメント