【芝居】「キャバレー」パルコ劇場
2007.10.7 17:30
映画やブロードウェイミュージカルとしても有名な作品に松尾スズキの手を加えた評判作。15分の休憩を挟んで165分。21日まで青山劇場。
ナチス台頭直前のベルリン。駆け出しアメリカ人作家が次作の題材を求めて訪れ、列車で出会ったドイツ人の紹介で老女が営む安い下宿を借りる。キャバレー「キット・カット・クラブ」を訪れた作家は店の歌姫に目を奪われる。その夜、歌姫は作家の家に転がり込んで来る。その恋と時を同じくして下宿の家主もユダヤ人の果物商のプロポーズを受けるが...
恥ずかしい話なのですが、開演10分ぐらいまでの間、やはりミュージカルの「シカゴ」と完全に勘違いしていました。とはいえまあ、退廃的で爛熟した大人の場所を舞台にしているという点では同じところもあって。
爛熟した時代の空気を描く前半。ドイツという場所はそのままにしているものの、日本向けの笑いの方向にそこかしこに手を加えている感じはします。歌詞にしても、わりとこなれた言葉で作り込まれていて、キャバレーという場所を設定しているおかげでミュージカルの違和感も少なめです。前半の方に重点はあるようで、後半のメッセージ性の強い部分はごくあっさりとしている感じもします。それでも、政治への無関心が時代を暗闇に向かわせてしまったり、あるいは美しいという耳に心地よい言葉の胡散臭さなんてものも見え隠れして、毒は感じさせてもらえます。
アタシはハーケンクロイツが出てきて、少々コミカルに見えるシーンでは、コミカルな者にハーケンクロイツ、というとらえ方をして、どうしても笑いが引きつるのだけど、過剰反応ですかね。わりと客席は普通に受けているのが、アタシの違和感。
MCを演じた阿部サダヲはあっというまに客席を暖める凄さがやはり、こういう物語を背負うのとは別のところを持つと実に強い。松雪泰子はおもったよりはずっと魅力的なヒロインですが、このキャストの中だと立場はつらいかも。森山未來はスーツ姿に実に大人を感じていて魅力があります。平岩紙の力強さにびっくり。小松和重の自由さは強い。
映画も今までの舞台化も見ていないのだけど、楽しめる作りになっているのはまちがいありません。とはいえ、それが12000円となるとまた複雑な気持ちでもあるのですが。
パルコ劇場「キャバレー」
2007.10.6 - 10.21 青山劇場
2007.10.26 - 10.28 愛知厚生年金会館
2007.11.2 - 11.4 大阪厚生年金会館 大ホール
作 ジョー・マステロフ 演出 松尾スズキ
出演 松雪泰子 阿部サダヲ 森山未來 小松和重 村杉蝉之介 平岩紙 秋山菜津子 星野源 花井京乃助 羽田謙治 大川聖一郎 長田典之 川島啓介 小林遼介 町田正明 安田栄徳 康本雅子 安藤由紀 宇野まり絵 坂上真倫 西林泰子 久積絵夢 宮本えりか
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