【芝居】「演劇LOVE〜『LOVE』」東京デスロック
2007.10.5 20:00
東京デスロックの歴史をたどる60分の芝居を3本連続上演する企画、新作となる一本。追加公演が入り10日まで原宿・リトルモア地下。
物語は明確に示されません。前半はほぼ言葉すらなく、徐々に舞台に出てくる人々、一人が二人、二人が三人というながれのうち関係のようなものが出来上がる過程。強烈な音楽の洪水の中で徐々に踊り始める彼女たちは、やがて爛漫とピークに達し、あるきっかけが、そのコミュニティーから笑顔を奪う。再び鳴り出した音楽にも前のようにはグルーヴにならない。一人の男が現れ、彼女たちはまったく違う顔を見せる。
愛情を描く演劇なのだといいます。当日パンフによれば、観客にはイマジネーションが求められるが無限の広がりがあるということなのでしょう。芝居としてみると、あたしはイマジネーションにゆだねられるよりは揺るぎない物語が欲しいと個人的に思います。
が、60分の時間、全体としてみればアタシは思ったよりも飽きずに観られたとも思うのです。 関係の出来る過程や、喧嘩している女たちが男が現れることで、「見られることを意識して」仲良く見えるよう関係を作り出すこと、あるいはそのあとしばらく続く、まるで合コンかのような頻繁だけど溝の埋まらない会話のあたりは面白い。
もっとも、明確に物語は示されませんから、これはアタシが感じたもので、人それぞれに違うし、観客が積極的に、多分な思いこみも入れて見なければ行けないとは思います。そういう意味ではアタシにとってはダンスや無言劇に近い、良くも悪くもアートな感じを受けます。
女優たちがめいっぱいの汗をかき、上気した顔色と強い照明で光る瞳は確かに美しい。が、それは状況を描写し、印象として削りだした美しい断片であって、物語ではないのです。作家の目に見えている世界の地層断面ではあっても、あたしがエンゲキにloveであるところの、物語がアタシは欲しいとも思うのです。
東京デスロックunlock #4 演劇LOVE〜愛の3本立て「LOVE」
2007.9.30 - 10.9 リトルモア地下
作・演出 多田淳之介
出演 佐山和泉 坂本絢 白神ももこ(モモンガ・コンプレックス) 髙橋智子 石橋亜希子 宮嶋美子(風琴工房) 夏目慎也
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