« 夏の終わりか | トップページ | 【芝居】「エンジェルアイズ」M.O.P. »

2007.09.01

【芝居】「SFドラマシアター」ワールドコン・Nippon2007

20070831

SF大会(46回日本、65回世界)。世界中から集まっているこのイベントでの演劇企画。9月2日まで、パシフィコ横浜。朝から観る人は、なるべく早く。下手すると受付の行列で1時間かかります。横浜市民割引も用紙に住所を書くので、何か用意を。(証明書不要)。

パシフィコ横浜は結構広い場所で、受付(登録)は展示ホールAの1F。芝居は少し離れた会議室棟4F(受付から15分ぐらい)。ビッグサイトの企業展示会とか、特に午前中は、芝居の受付のホスピタリティだと考えているとかなり時間がかかります。そもそもイベント全体がボランタリベースのお祭りですから、そもそもの成り立ちが違います。どうか、時間に余裕を持って。

制限など数々あれど、こういう場所での露出というのはいいことだと思うのです。コンパクトに作られた芝居というのはいっぱいあるので、もっと機会があれば、とも思うのです。芝居慣れしてない人も多い、という状況を考えると、どれか一本、と言われれば、アカシア(神様プロデュース60分。9/1 16:30, 9/2 12:30)を。

アタシが観たのは、31日。なぜか芝居好きが会社休んだりして居る日(あたしだ)。その順番で。

2007.8.31 11:00

◆「他人の気持ちがわかりません」箱庭円舞曲(初見)。60分。

刑務所の受刑者、人の心が読み、看守の殺人をしたというし、現場状況もよく知っているが、監獄からの脱出はほぼ不可能だったはず。心理捜査官が呼ばれる....

心理ホラー的な仕上がりの四人芝居。看守殺しの奇妙な笑い声をあげる犯人、という造形は少々ステロタイプにすぎる感じはしますが、少し抜けた感じのする日常に近いコミカルなシーンもはさみ、テンポのいい仕上がりです。心が読めることのつらさの裏表。ごくシンプルに机と椅子だけ、音もほとんどなくて静かめの会話で見せる芝居は時間の短さと相まって楽しめます。

箱庭円舞曲 「他人の気持ちがわかりません」
作・演出 古川貴義
出演 五十嵐祭旅 爺隠才蔵 田保圭一 阿部恭子(多少婦人)

2007.8.31 12:30

◆「アカシア」神様プロデュース。約1年前の実験公演の改訂再演。60分。

部屋に閉じこめられた一組の男女、交互に出し合うクイズで勝ち抜けば助かるが、負ければ処刑が待つ。天才的な知性を持つ二人は、やがてこのシステム自体に疑問を持ち...

ともかく膨大な台詞の量とテンポが命の芝居。芝居慣れしていなくてもむしろ、芝居のダイナミックさを感じられるという意味ではこういう場所には向いた芝居だと思います。初演の時のもっと低い天井の閉塞感が捨てがたいのだけれど、大きな問題ではありません。初演では黒いスーツ姿だった女性が白くカジュアルに振った衣装に変わったのはコントラストがついて見やすくなった印象があります。初日に関していえば、問題に一瞬言いよどむ箇所があったりして、芝居自体が致命的なダメージを受けかねないところもあったのだけど、何とか立て直したのはたいしたもの。もっとも、あそこまで天才を引っ張っておいて、オチがそれかよ、という感じがしないこともないのだけど、それさえも台詞の物量で圧倒してしまう迫力があります。

神様プロデュース「アカシア」
作・演出 森達也
出演 野口雄介 高橋沙織

2007.8.31 14:30

◆「ソラリス」東京デスロック。70分。

最近再演されたばかりの作品。あたしは初見です。先日の再演では、プールのような圧巻の美術が評判になりましたが、会議室での今回は、床に寝ころんだ状態でははけていることにして、水の中から「それ」がたちあがる感じに演出されています。

あたしの好みは別にしても、かなり癖のある仕上がりになっている、ということは多分誰にでも同意してもらえるのではないかと思います。もちろん意図はあるようですが。確かにソラリスのある切り口にそった物語なのだけど、棒読みに近かったり、抑揚が唐突な印象だったりと、かなり違和感があります。芝居を見慣れていればある種のバリエーションとして認識できたとしても、今回のような芝居好きだけが集まるのではない状況で、しかもこの場所で4本中最も目を引く「ソラリス」というタイトルを掲げているだけに、バランスがよくない感じ。SF大会なのでソラリスそのものは周知のものと扱ってもいい気はしますが、演出の癖とのギャップは埋めがたい感じはします。

東京デスロック「ソラリス」
作・演出 多田淳之介
出演 夏目慎也 佐山和泉 石橋亜希子 大竹直 永井秀樹

2007.8.31 16:00

◆「孤独の惑星」G.com東京ファンタスチカ。劇団自体もアタシは初見です。90分。

同じ「ソラリス」をもとにしたものだけれど、こちらは一転、かなりわかりやすく作られた一本。役名こそ日本人になってたりしますが、かなり原作に沿った作り。演出もわかりやすくて、少々食い足りない感じなのは、まあ、アタシが続けて4本も見てしまうからかも知れません。

会議室、という照明などにもあまり凝りすぎるわけにはいかない環境で、プロジェクターと、その前に立つ役者の影をうまく生かしたシーンは美しくて目をひきます。こちらは原作を知らなかったとしても楽しめる一本。

G.com東京ファンタスチカ「孤独の惑星」
作・演出 三浦剛
出演 浦川拓海 佐藤晃子 内藤羊吉 星野祐介 田谷淳 水谷渚子 袴塚真実 重盛玲架

SFドラマシアター
2007.8.31 - 9.2 パシフィコ横浜

|

« 夏の終わりか | トップページ | 【芝居】「エンジェルアイズ」M.O.P. »

演劇・芝居」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【芝居】「SFドラマシアター」ワールドコン・Nippon2007:

« 夏の終わりか | トップページ | 【芝居】「エンジェルアイズ」M.O.P. »