【芝居】「アインシュタイン・ショック」ジャブジャブサーキット
2007.9.23 14:00
北村想が原案、はせひろいちが構成・演出。とはいえ、もともとのアイディアは、クレジットにある岩波文庫二分冊(amazon→1,2 )にあるようです。アインシュタインをめぐる話はやがてファンタジーに着地します。120分、24日までザ・スズナリ。
アインシュタインが来日した大正時代の京都大学の研究室。日本各地での公開講義をこなす日々の中で堅苦しいパーティーはキャンセルしたり、学生や観光はまめにこなす日々を支える学者たちや学生たち。思うように話ができない学生たちはある計画を思いついて...
アインシュタインの来日の日々をを裏で支えた学者や学生たちのプロジェクトXとドタバタの話かと思っていると、終幕20分ぐらいで急旋回、大正という同時代の作家の話と、現在に繋がるアインシュタインの軌跡を急速にくみ上げていきます。北村想もはせひろいちもこの路線というかイデオロギーに近いことはわかるし、あたしもそれに近い感覚でいると思うのですが、物語のために寄せ集めた感じは否めません。というか、どうもamazonのページで見る限り、この構成自体がもともとの本から出てきているようです。どうにも説明的な前半が本当にこれだけ必要なのかもわからないのですが、原作があるというのなら、それは正しいのかもしれません。が、日本でのあの歓迎ぶりとその数年後、アインシュタインを軸にして繋げるという発想はともかく、あの出来事を天才科学者一人の何かに帰結させている感じのする物語の語り口には、あたし個人は違和感があります。技術と生活や生命は不可分であるというのはもちろん正しいけれど。もちろん、彼のことを責めているというのではなくて、苦悩していること自体を描いているのだけど、もっと語らなくてはいけないことがあるんじゃないかと、アタシは思ってしまうのです。
照明のアテ方による演劇のお約束を逆手にとったある種の楽屋落ちや、やけにアインシュタインに似ている役者の存在など、芝居故の楽しさをさまざまに足していて、舞台化に際しての丁寧さはこの劇団としての誠意を見せていて、印象的です。また、日本で市井の人々に見せたであろう茶目っ気と真摯さを持った、科学者の素顔の一端を感じ取れたというのも、アタシにとっては嬉しい点なのです。
ジャブジャブサーキット「アインシュタイン・ショック」
2007.5.16 - 5.20 七ツ寺共同スタジオ
2007.6.27 - 7.1 ウイングフィールド
2007.9.20 - 9.24 ザ・スズナリ
作・演出 はせひろいち
出演 栗木己義 小山広明 はしぐちしん(コンブリ団) 岡浩之 咲田とばこ 小関道代 中杉真弓 岩木淳子 荘加真美☆ 江川由紀◎ 千頭麻衣★ 鳥岡寿江◎ くまのてつこ☆ 鈴木愛子★ なかさこあきこ◎ 蒲公仁(東京のみ・個人企画集団*ガマ発動期)(/土居辰男(名古屋のみ) 杉山寿弥(大阪のみ・あうん堂))
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