【芝居】「ロマンス」シスカンパニー+こまつ座
2007.9.8 18:30
チェーホフの評伝というよりある視点で描いたチェーホフの物語。芸達者な役者も含め飽きない210分(休憩15分)。30日まで世田谷パブリックシアター。
ロシアの港町で生まれたチェーホフは、医者になる勉学の傍ら、少年の頃から芝居、とくにボードビル(ヨーロッパの。Wikipedia)に傾倒する。ボードビル芝居を大量に書き、「かもめ」の初演失敗を超えての再演で大評判になり、もっとも売れっ子の作家になるが...
静かに進むチェーホフ芝居の作家という世間の見方と裏腹に、作家として本当に書きたいもの、書いたはずのものが全く意図しない方向で大評判になっていく落差と違和感。どこまでが史実に基づいたものかわからないし、どこからが創作かはよくわかりません。そもそもチェーホフ芝居も殆どみてないアタシです。
なんせ6人に主役級役者を揃えたドリームチーム的な編成は圧巻。このキャストの芝居を観るというだけでも価値を感じます。松たか子の歌の通り具合に度肝を抜かれ、生瀬勝久のコメディとしての振れ幅の高さに唸り、大竹しのぶのコミカルから老女までのさまざまを演じる迫力に圧倒されます。
「三人姉妹」の作家の意図(ボードビル芝居)と、成功した公演の演出(スタニスラフスキー)の意図(静かな人間の芝居)の差異を議論する終盤のシーンが圧巻。コミカルさを並行して持たせつつ、二人の確執を迫力を伴ってみせるのです。遠い未来に戦略もなく漠然と希望を託してしまうことを馬鹿者のすることと切り捨て、今日。明日のことを確実に積み上げていくことが重要だと語るあたり、アタシは好きなシーンです。
シスカンパニー+こまつ座「ロマンス」
2007.8.3 - 9.30 世田谷パブリックシアター
作 井上ひさし 演出 栗山民也
出演 大竹しのぶ 松たか子 段田安則 生瀬勝久 井上芳雄 木場勝己
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