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2007.09.30

【芝居】「月とテロル」神様プロデュース

2007.9.29 19:30

なんと総勢22名。150分は確かに長いですが描き続ける意志を感じて実時間ほどには時間を感じさせません。10月1日まで王子小劇場。

web小説で賞をとったものの、それでは食っていけない男。オフィスビルのバイト先での仕事も疎ましがられている感じで、どちらも行き止まり感。ある日、ファンの男から、手助けしたいという申し出があって....

看板役者の降板や、長い上演時間という前情報に覚悟して観たアタシには意外なほど(失礼)楽しめました。小劇場役者だけとは違う役者たちは見た目だったり、声の強みだったり、多彩に楽しめます。アニメっぽいというか強くデフォルメされた役が多く、人数が多くてもそれほど混乱することもありません。もっとも、これを描くのに、この時間がどうしても必要かというと、そうとも限らない気がしないでもありませんが。

断片が様々に描かれていくものが最後の30分で急激に収束していくというのも、雰囲気としてはいつものとおり。わりと派手な内容を扱っているようでいて、一人の内面から出てくる内向きな感情を描くために、どこか淡々とした感じがします。

作家を演じた小松君和は淡々とした(時にツッコミキャラでありながら)主役を安定して。会社同期を演じた片桐はづきの静かさとポップさの落差が楽しい。メイドを演じた二階堂裕美はひたすら静かなキャラクタで芝居での扱われ方としては珍しい感じ。

ネタバレかも

「奪われた言葉の替わりに行動で」とうたう石川啄木の「ココアのひと匙」を引きながら、表現することを奪われた作家が、狂気に巻き込まれていくという筋書きはすっきりはしていて、物語が回り始めてからは物語を見失う感じはありません。そこまでは断片のような細かな点描が続きます。

「手段だけを持っていて主張や目的を持たないテロリスト」の存在や、「ヒーローであるけど今ひとつ目的が明確でない」というのも、現代という感じを受けますし、「ともかく表現は続けていく」という意志のようなものを強く謳うのは嫌いな感じではありません。そこに30歳という年齢の区切りや、それでもフリーターでいくのか、田舎の両親や弟たちといったひどく卑近なというか地に足のついた肉付けをするのもいい感じです。

「表現を奪われた表現者」が「テロリストにくっついていく」というぐらいまではまあ何とかついていけたとしても、それが大量虐殺に繋がっていくことに自覚がないように(作家の台詞があまりない部分なので、よくはわかりませんが)見えるのは、ツクリモノの物語だということにしても、やりすぎ感があって、ちょっとついて行きかねるところはあります。

たとえばYouTubeのような動画配信サイトをずいぶんテロリストたちは使っているようですが、こんなに簡単にできることが、これだけ世間を席巻してしまうのならば、表現をネットでやればいいじゃん、ということにはならないのだろうかと思ったりも。それじゃ話が成り立ちませんから、まあ、こうなるのでしょうが。

小ネタとしては、「牛乳」にまつわるさまざまがちょっと面白い。牛乳の特性と酒の特性を意識的に混同させてつくられたいくつかのねたは結構応用が利きそうです。

神様プロデュース「月とテロル」
2007.9.27 - 10.1 王子小劇場
作・演出 森達也
出演 鈴木華菜 神野剛志 小松君和 高橋沙織
酒巻誉洋(elePHANTMoon) 中島真一(中島部屋) 吉長賢治(劇団Peek-a-Boo) 小泉豊(プロ・フィット) 二階堂裕美(元氣塾) 山内翔(箱庭円舞曲) 太田守信(ギリギリエリンギ) 加藤敦(ホチキス) 村上直子(ホチキス) 小玉久仁子(ホチキス) 江本和弘(ホチキス)
須貝英 片桐はづき 安達あいら 宮沢留衣 コバ・ジュン 猪島涼介

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