【芝居】「スルー」あさかめ
2007.9.17 16:00
あさかめの新作。どこか闇を抱えた感じに見応えの90分。24日まで新宿眼科画廊space:0。劇団のwebでアンケートに答えて予約すると割引があります。
仲のあまりよくない二人暮らしの姉妹。妹は家では愛想悪く、しかしバイト先のコンビニでは同じシフトのあまり要領のよくない男とは普通にはなしていて。姉は結婚するのだという、その相手との会食の日に...全体を11のパートに分けて、殺されること殺すことという生き死にをめぐるさまざま。幽霊のような存在をひたすらに明るいキャラクタに造形して早い段階で見せることで、ファンタジーっぽさを持たせてはいますし、ことさらに暗い感じでもないのだけど、どこかに深い闇を感じずにはいられません。地下鉄を運転席後ろから眺めているときにアタシが感じる、トンネルに吸い込まれそうな感じにすこし似ています。
後半、死んだ者に対する想いが薄れていく過程を語る川原安紀子のシーンが好きです。その過程を「折り返す」という言葉の選び方が実に良くて。35歳で初めて派遣登録という、倉本恵理といしいせつこのシーンは、アタシは未経験の領域ですが、何かのリアルがある感じ。コンビニのシーンを演じるあさかめの二人も押し引きのタイミングに安心感。
何が彼女をそうさせているのか、地下鉄車内での、言葉になった最後の語りは迫力があります。それに続く姉妹の会話も緊張感と弛緩があります。もっとも、すこし思わせぶりなのに、そこに腑に落ちる感じの物語がアタシはもっと欲しい、と思ってしまうのですが。
眼科、と名前がついても画廊というスペースなのです。改装してから初めて訪れました。路面に面したエリアが増設され、二つのスペースになっています。今作は建物奥側の、かつての眼科画廊ほぼそのままのスペース。それでも路面側があるおかげで格段に見つけやすく、入りやすくなっています。
あさかめ「スルー」
2007.9.15 - 9.24 新宿眼科画廊 space:0
作・演出 児玉洋平
出演 ヒザイミズキ(あさかめ) 川原安紀子 いしいせつこ(散歩道楽) 倉本恵理 児玉洋平(あさかめ)
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