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2007.09.08

【芝居】「最愛」宝船

2007.9.7 19:30

新井友香の描く面倒な恋愛世界が炸裂。110分、11日まで駅前劇場。

学生時代の同級生が久しぶりに再会してつきあい始めた。女はなかなか男に縁がない日々だったし、男は男で学生時代は輝いていたはずなのに定職にもつかないままだった。それでも女は男に心底惚れていたが、男には、他に女が居て...

ダメな男とわかっていても別れられない、いわゆる「だめんず」な女。見たら他の女とか何かあるとわかっているのに、携帯やパソコンをなど覗かずには居られない女。男は平気で浮気をするし、女も負けじと気持ちが揺れ動いたりもする。愛情というにはあまりに複雑というよりねじれた想い。端から見ていればわけのわからない男女。blogやら宝船を見続けていると感じる、面倒くさい恋愛をしていそう、という作家のイメージにぴったりくるような話(もちろん、アタシは作家のプライベートは知らないというか、知り合いですらない)。それなのに、乙女どころか少女のような気持ちも垣間見え、かとおもえば処女当ての迷信などさまざまにアソート。彼女らしい、というのはそれこそiOJO!やミンシン(処女作、というウリだったはず)から、静かに追い続けて居るアタシの一方的な想いのせい、という気がしないでもありませんが。

そんなこととは関係なく、単に面倒くさい女や男や三角関係の話としても気楽に笑える(ヒくかもしれないけど)、仕上がり。腑に落ちるのは圧倒的に女性たちの側のさまざま。が、ダメ男の側の煮え切らなさや、理屈をこねて両方とも持っていたいという身勝手さも、皮膚感覚として理解できるのです。

一途な女を演じる高木珠里は開演早々から急峻なテンション上昇、もうほんとに一途で。猫田直はほぼ主役、不細工でも美人でもない冴えない女という役への説得力は、役者の地ではなく、演技としての力。後藤あすか演ずる体温が低そうな女、これもある意味面倒くさい女の形を示していて、このバランスも面白いのです。作演でもある新井友香が演ずる年増のママ、というのも、独特な味があって。メインの舞台でやってることを眺める「わかりやすい」リアクション表情芸というのも持ち味で。

宝船「最愛」
2007.9.6 - 9.11 駅前劇場
作・演出 新井友香
出演 猫田直(tsumazuki no ishi) 瓜生和成(東京タンバリン) 後藤飛鳥(五反田団)
中村たかし(宇宙レコード) 加藤雅人(ラブリーヨーヨー) 中島徹 斉木茉奈
新井友香 高木珠里

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