【芝居】「穢れ知らず」空間ゼリー
2007.09.02 19:00
鶴女房伝説に着想した短編戯曲の再演(初演)。105分、ザムザ阿佐谷。
田舎の家。母親が家を出て、父親が亡くなったあと、長男が家業を継ぎ、娘たちが暮らしている。夏のある日、家を出て6年経った長女が突然現れる。
空間ゼリーが得意とする、「女性たち」を強く意識した語り口の芝居の一つ。作家が興味を持っていただろう民話・伝承ではもっとも有名な題材をもとに。日本人のフォークロアのごく狭い「家」をからませながら進む物語。穢れ、という見てはいけない物をみてしまったこととそここから出てくる軋轢を見せる構成になっています。その「見てはいけないもの」や「知られ方」がちょっとイマ的ではあります。
ごく細かい事をいうと、いくつかある食事のシーンが気になります。ちゃんとした食べ物を使うのは丁寧なつくりなのだけど、やけに残していたり、使った箸を洗えないカゴに戻すというあたり、大した問題ではないのですが繰り返されると、違和感を持ってしまいます。
全体としては丁寧に考えて作っているとは思いますし、初演を思えば数段グレードアップしていて見やすくはなっていると思います。ただ、戻ってきた長女を周辺が扱いかねている部分が長く、同じ事を繰り返して語っていると感じてしまいます。終盤20分ぐらいから話が転がり出す印象で、アタシの生理的な感覚ではもっとタイトに配分して欲しいなぁと思うのです。
通常の観客向けのアンケートとは別に、無記名のアンケート。大学院在学中の作家の研究に繋がる、という意味で、現場をきちんと重ねているのは強みだと思うのです。
空間ゼリーvol.8「穢れ知らず」
2007. 8.31 - 9.9 ザムザ阿佐谷
作 坪田文 演出 深寅芥
出演 岡田あがさ 下山夏子 佐藤けいこ 河野真衣 榎本万里子 細田喜加 冬月ちき 猿田瑛 豊永純子 大内結(FLOS) 篁薫 水谷一人 鈴木雄三 尾浜義男 宮原将護(Mademoiselle)
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