【芝居】「夢顔」ジェットラグプロデュース
2007.8.24 19:00
毎回違うテイストのプロデュースを続けるジェットラグの初日。作演もキャストも方向がばらばら、と思いきや、このキャスト以外では考えられないぐらいにしっくりした世界を。105分ぐらい。9月2日までTHEATER/TOPS。
冷えきった夫婦が訪れたのは福岡の山の中。夫の兄がやっている蜂蜜をとる「牧場」にやってくる。
作演は桟敷童子( 1, 2) の東憲司。アングラのテイストでダイナミックな印象が強い劇団ですが、今作は表には現れないけれど内面で激しく想う気持ちの物語、という仕上がりになっています。観客に伝えるべき情報を確実に置いていくという着実さは物語の持つ深刻さの一面とは別に、きちんと物語に向き合える感じがします。
男が拘泥わる妻の浮気。男の嫉妬する気持ちの小ささ加減。一方で妻は云われ続けているのに天真爛漫で一貫性が無い明るさに違和感はありますが、その違和感は終わり近くになってきちんと説明されます。奇天烈な感じではなく、置かれたコマから予想される着地点ではあるのだけど、感じるのは底が浅いというよりは、むしろ深く人間に向き合う視線。
「ミツバチ」をめぐる物語なのだけど、巣の中の出来事や説明もさり気なく置かれていて、たとえば、トウキョ(逃去)という言葉を知らなくても、何回かみてるうちにうっすらどういうことか判かります。
桑原裕子はヒロインの位置、ワンピースの可愛らしさ、健康な感じ、色っぽさなどさまざまに見せます。鈴木めぐみの演ずる「おばさん」は、このコミュニティの外の唯一の人物としてのポジションという役の上での強みもありますが、それゆえの優しさを体現している感じ。鉄平を演じた松田賢二の声の良さとアンバランスなコミカルさも楽しい。兄を演じた青山勝は観客の気持ちの視座にある役だと思うのだけど、その期待を裏切らない安定。
ネタバレかも
実はセットがとても素敵。大きな窓とその向こう側の花。さまざまに色が変わったり、照明の効果で雲のように見えたりと、一目見た瞬間にため息の出るような美しい場所が、そこにあります。
ジェットラグプロデュース「夢顔」
2007.8.24 - 9.2 THEATER/TOPS
作・演出 東憲司(劇団桟敷童子)
出演 青山勝(道学先生) 桑原裕子(KAKUTA) 鈴木歩己(グリング) 松田賢二 原口健太郎(劇団桟敷童子) 池下重大(劇団桟敷童子) 鈴木めぐみ(劇団桟敷童子) 外山博美(劇団桟敷童子)
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