夏の終わりか
急な雷雨のおかげかどうか、涼しい夜ってのはずいぶんと久し振りな感じがします。これで徐々にあ秋に向かってくれるのかなぁ。でも、裸足にサンダル、短いズボンの出で立ちで過ごす休日の「ゆるさ」も捨てがたいのだよなぁ。と思いつつ。
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急な雷雨のおかげかどうか、涼しい夜ってのはずいぶんと久し振りな感じがします。これで徐々にあ秋に向かってくれるのかなぁ。でも、裸足にサンダル、短いズボンの出で立ちで過ごす休日の「ゆるさ」も捨てがたいのだよなぁ。と思いつつ。
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2007.8.26 17:30
アタシは初見の小指侍の新作。蟻地獄の巣の中で暮らす蟻たちの物語はなかなか深みがあります。95分。pit北/区域での公演は終了。
蟻地獄に落ちてきたメス蟻二匹、蟻地獄は毎夜面白い話を聞かせ続ければ、生かし続けるという。意を決して語った物語は蟻地獄の気に入り、生き続けることができるが、実はその物語は。
蟻地獄の巣という設定らしく、全編を通して薄暗い感じ。この劇場の地下二層構造はその穴蔵感覚を更に増幅させます。二つある階段通路の音が、その効果をもりたてます。
生き続けること、を物語のベースに置いている気がします。生き続けるために必死に物語を考え続けるし、やたらに多い喘ぎ声のシーンも、雄たちは自分ではなく遺伝子を、と考えれば物語の奥底は一貫していると思うのです。
時間で1時間ほど、2/3のところで語られる親友と彼氏の関係がポイント。 目に前に居る親友の彼氏の話を、実は自分の話として語っている、というシーンは重要な結節点だとおもいます。思えば序盤で、「どんな話でも」といっているし、彼女がそれを先に語ってしまったがために、本来その物語の主人公であるはずの親友が語るべき物語を失ってしまう、という構造になっていて、秀逸です。
あるいは終盤に羽化したウスバカゲロウが蟻たちに襲われるが、それをひとり背負うメス蟻のシーン。蟻が身体よりもはるかに大きな虫を運ぶ姿というのは良く目にするものなのだけど、身長差のある役者を当てて、その風景を再現し、そこまでの物語を背負わせるってのはなかなか巧いやりかたという気はします。
反面、そこまでの前半は夢語りが幾重にも入れ子になっていて少々長く感じるのも事実。観客の側から見ると入れ子の深さが見えず、どの話が夢でどの話がツクリモノで、どの話が現実かの区別が付きづらく(狙いかも知れませんが)、少々ついて行くのに苦労します。が、確かにいろんな関係を説明するかのように、土台をくみ上げているという感じはあります。
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2007.8.26 14:30
早稲田の劇団の学外での初公演。トレンディードラマ風の物語をひたすら押しているのにちゃんとおもしろい85分。28日まで王子小劇場。
高校の臨時教員だった男が、研究のために一学期だけで渡米してしまう。教え子の一人の女生徒と惹かれあっていたが、男は別れを告げて渡米してしまう。予定よりも1年延び、3年後に帰国した男は、上京し妹と二人暮らししている女に電話をかける。
待ち続けていた女、待たせ続けていた男のラブストーリーというかトレンディドラマ風の仕上がり。そのドラマ風の物語をひたすら押し進める感じで、あっと驚く展開だのということはほとんどありません。が、まさにかつてのトレンディドラマがそうであったように、美男美女ばかりでわりと都合よく運ぶ物語を、わずか80分に凝縮しています。結果、濃密な迫力を持ち、実に巧みで丁寧に構成された仕上がりになっています。たぶん作演の興味は、ドラマにおけるいくつかのシーン、たとえば女の心が揺れる瞬間というようなほんのひと部分にあるのだと思います。その部分をクローズアップして、他を丁寧にそぎ落としている感じの濃縮というのでしょうか。
その意味で、そぎ落としかたの巧さは、舞台上手のホテルのシーンや、結婚式、放送局あたりのシーンにあるような気がします。この場所でのシーンはどこか過剰にコミカルに作っているところもあるのだけど、感情吐露のような多くの「クサミ」をここに集中することで、リズムを失わないままに必要な情報や感情観客に伝えることに成功しているような気がします。複数の舞台で複数の時間を行き来する見せ方も、今作においては丁寧で、観客が視点を見失うことはなくてわかりやすくなっています。これら含めて、物語そのものよりも、構成の緻密さで見せ続けられてしまう、という感じはあります。
どこから見つけてくるのだ、というぐらいに美男美女そろいの役者たちもたいしたもので、さらにそれがちゃんと芝居をしてしまうのも観客をいい意味で裏切ります。男にとってはどこかあこがれというか夢みたいな話のところもあるし、女性主体視点が多い最近のドラマに比べると少し古い感じがしないことはありません。が、それも含めて、恋のゆくえにはらはらしてしまうのです。予想通りなのに。
姉妹の姉を演じた川村沙也は恋に関しては寡黙がちで待つ女風、しかもかわいらしいというキャラクタで目を引きます。妹はまだ子供なところはあっても、恋に関してはむしろもっと大人で冷静な視点で自立してるという立場のねじれ具合もおもしろい。女教師を演じた細野今日子は、いったい見た目の可愛らしさが強すぎて何歳の設定なのだろうという疑問は感じないことはないのだけど、コミカルさも含めて、安定しています。
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2007.8.25 19:00
キャラメルボックスの新しい試みを行う、チャレンジシアターの中でも異色な一本。恩田陸の初戯曲としても前評判が高いのです。100分。9月9日まで俳優座劇場。前売りは完売しているようですが、前日予約や当日券も出ているようです。その後福岡。
同窓生の葬式帰りらしい喪服姿の男女5人。会うのは随分久し振りで同窓会のような状態で、酒も少し入ったり、同窓生たちのうわさ話に花が咲いたりする。このメンバーを集めたのは、それとは別の意図があった一人が...
写真スタジオにあるような白ホリゾント(でいいんだよな..名前良く知りませんが)と椅子が数脚、喪服姿の役者達で、白と黒の強いコントラストが美しいのです。音楽はチェロの生演奏だけ、派手な演出のない、淡々と静かに進む会話劇ですが、適度な間隔で本筋には関係なくてもちょっとした笑いを生むように構成されているおかげで全体が平板にならず、心地よいリズムがあります。戯曲の指示には影響を与えない範囲で演出によって付加されている笑いもある感じがして、実力のある役者揃いであることも含めて、魅力のある舞台に仕上がっています。確かにキャラメルのテイストとはまったく異質だといえますが、それは大きな問題ではありません。
ネタバレかも
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200708251530
元・発砲B-ZINのタケウチヤスコが始めているショートムービーを核にして一人芝居を挟む構成。60分。25日まで、麻布・アトリエ・ジム
喧嘩の耐えない長女・次女、無口な三女の三姉妹。三人とも父親の違う姉妹の子供の頃の母親との(ライブ)と、大人になって同居して男だのでまだ喧嘩して(映像)。
現在と思われる映像と、過去と思われる一人芝居を交互に構成。うっすらとは繋がっているものの、あまり関係が見える感じではありません。映像は現在エピソード2まで配信されているのだけど、未配信のものも含めての構成。映像の方だけだと、なんか姉妹達が騒いだり喧嘩したりしてるだけに見えてよく方向性がわからないのだけど、全話を通してみるとそれなりに見えてくる物語。配信は分割しないほうがいいんじゃないのか、と余計なこと思ったり。
映像の方には一切出てこない、母親の姿を、しかも三人姉妹の子どもの頃の話として一人芝居で深みをつけるというのはちょっと巧いやり方かもしれません。正直な話、映像も一人芝居も、どこか「ショートムービー臭さ」のようなものがあって、少しばかり違和感がないこともないのですが。一番の問題は、映像の方の音声でしょうか。聞こえない声は聞こえず、少しの大声は割れてしまうので、実はセリフ全てを聞き取れている感じがしません。機材の問題もありましょうが、ここは大切にしたいところ。映像のことはよくわかりませんが、何かすべき処理があるんじゃないかしら、と思います。
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2007.8.24 19:00
毎回違うテイストのプロデュースを続けるジェットラグの初日。作演もキャストも方向がばらばら、と思いきや、このキャスト以外では考えられないぐらいにしっくりした世界を。105分ぐらい。9月2日までTHEATER/TOPS。
冷えきった夫婦が訪れたのは福岡の山の中。夫の兄がやっている蜂蜜をとる「牧場」にやってくる。
作演は桟敷童子( 1, 2) の東憲司。アングラのテイストでダイナミックな印象が強い劇団ですが、今作は表には現れないけれど内面で激しく想う気持ちの物語、という仕上がりになっています。観客に伝えるべき情報を確実に置いていくという着実さは物語の持つ深刻さの一面とは別に、きちんと物語に向き合える感じがします。
男が拘泥わる妻の浮気。男の嫉妬する気持ちの小ささ加減。一方で妻は云われ続けているのに天真爛漫で一貫性が無い明るさに違和感はありますが、その違和感は終わり近くになってきちんと説明されます。奇天烈な感じではなく、置かれたコマから予想される着地点ではあるのだけど、感じるのは底が浅いというよりは、むしろ深く人間に向き合う視線。
「ミツバチ」をめぐる物語なのだけど、巣の中の出来事や説明もさり気なく置かれていて、たとえば、トウキョ(逃去)という言葉を知らなくても、何回かみてるうちにうっすらどういうことか判かります。
桑原裕子はヒロインの位置、ワンピースの可愛らしさ、健康な感じ、色っぽさなどさまざまに見せます。鈴木めぐみの演ずる「おばさん」は、このコミュニティの外の唯一の人物としてのポジションという役の上での強みもありますが、それゆえの優しさを体現している感じ。鉄平を演じた松田賢二の声の良さとアンバランスなコミカルさも楽しい。兄を演じた青山勝は観客の気持ちの視座にある役だと思うのだけど、その期待を裏切らない安定。
ネタバレかも
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2007.8.21 19:00
Mrs.fictionsが主催したショーケーススタイルの企画公演。23日までザムザ阿佐谷。一劇団15分、全体で100分、終わりの会というトークセッション+劇場解放を30分の意図のようですが、初日は開演押しに加えて運営面が回ってなかった印象があります。
「102〜」は劇団が得意とするパロディキャラクタ芝居なのだけど、枠組みをオリジナルに頼りすぎている感があるのと、「またか感」は否めません。
「お父さん〜」は二人の関係のアイディア一本勝負勝ちというところもあるのだけど、相手の言質とったり微妙なパワーゲームのシーソー感があって楽しめます。時々現れて鋭い言葉を投げ込む女性のポジションも巧い。
「わたしの〜」は青年団の役者をそろえての。舞台の外ではとっても妙なことが起きているし、特別な日のはずなのに、ぬるく緩いという意味では「東京ノート」のブートレッグ感、というのは嘘だけど。役者はさすがに安心感もある上に、コスプレのようでもあり。二人の女子高生のともだちの会話の距離感も楽しい。
「希望〜」は台詞がほとんどないある種大人のファンタジー。舞台のタッパを生かした演出は目を引きます。
「エスパーさん」は舞台中央にしつらえた箱の中をめぐる二人のたくましい想像が楽しいのだけれど、これも二人の会話の濃密さが楽しい。客席最後列だとオチがみえづらいのが残念。想定される感じのわかりやすさではあるのだけど、15分ならむしろ正しい選択。
「R時〜」はver.0と銘打つだけあってちょっと荒削りにすぎる感じも。それでも、役者のパフォーマンスとテキストの不思議な落差が楽しい。客席最後列では、下手側の電球は見えず、そもそも電球の意図がいまひとつよくわからない感じもします。
「紙の上〜」は舞台に広げた紙の上に広がる話がわかりやすく、ちょっと洒落た感じもします。オチにあたる部分の俯瞰した感じや、すてきに見える感ともよくできていて、さすがに主催しただけあって特性を知り尽くしている感じ。
芝居それぞれに関していえば圧倒的に、という感じではないのが少し残念な反面、そこそこに粒は揃っている感じもします。それより圧倒的に問題なのは制作や運営の見積もりの甘さだと思います。個々の担当者は頑張っている人も居ますが、うまく回っていない。開演が押すのは受付の列が長蛇だからだし、列がさばききれないのはこの規模で受付・料金を一人でまわそうとしているから。この長さの公演で15分も休憩を入れたためにさらに時間通りにはまわらなくなるし、予定していた「おわりの会」(夜中に住宅街に客をだしてうるさくなるのを防ぐためだと想像しますが)はやらず、でも後からトークショーをやることにすると混乱した上に、ロビー面会も同時にやろうとするものだから、トークショーが全く聞こえなかったりとかなり問題を含んでいます。場所をはっきり分けて指示するか、マイクの音量をかなり大きめにすべきでしょう。第一回の初日、ですから仕方のないところもありますが、時間をかなり超過する劇団があっても歯止めをかけられないのも問題。これを皮切りに2ヶ月に一回開いていくつもりなら改善されるものとは思いますが。
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2007.8.19 19:00
「あなざ」ーわーくすの、わたなべなおこと、山の手「事情」社の倉品淳子、青年「団」の松田弘子の3人によるユニット。「観客参加型」で楽しめる体験です。前回の「三人姉妹」は大阪のツアーもあるようです。21日までアトリエ春風舎。80分ほど。
サミュエル・ベケット愛好者学会の定例会。ベケットシアターの取材で得られた、今明かされる秘密やら..
コタツを中央に。それを囲むようにした客席。「ゴドーを待ちながら」ではなく、ベケットをめぐるさまざまを描写しながら、不条理さや、時間を潰して生きて行かなきゃいけない感の点描という印象。終演後のトークショーによれば、ゴドーを待ちながら自体の権利処理が難しく、このような形式になっているよう。前回の「三人姉妹」では三人姉妹から物語を抽出して見せるというやりかたがうまく回りましたし、トークショーでわたなべなおこ自身が語るように、コアとなるわかりやすい物語にこのフォーマットを肉付けしていく方が、このスタイルに合っている気がします。
とはいえ、山の手事情社・青年団という強力な劇団の主演級の役者二人という濃さは半端ではなく、絶妙な間や身体のこなし、観客にさせるアドリブの拾い方など絶妙に楽しめるのです。これもトークショーの話題ですが、観客を参加させる部分以外はほとんどが台本にきっちり指定されているようで、このフォーマットを台本に縛っているということの凄さを感じます。アドリブは所詮アドリブで、一定の水準を保つという意味ではむしろ台本の指定の方が優れている感じはします。
日曜夜には終演後にトークショー。(有料だけどビール付き。真ん中に三人というわけではなく、客席側に坐るという面白いやりかたで、打ち上げっぽい雰囲気も◎)
ベケット自身の生き様を何かを拾っているという雰囲気は感じるのですが、それにアタシの知識は追いついていません。が、そんなことはどうでもよくちゃんと作られているという点は安心なのです。
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2007.8.19 14:00
場所から発想して物語を紡ぐ、トリのマークの新作。下北沢のザ・スズナリという劇場そのものを題材にした物語を90分。公演は終了。「SHMOKITA VOICE」関連公演のようですがSHIMOKITA VOICE側の公式ページには一言もないのは、残念。
貸し部屋を見に来た人と、説明している人や貸し主たちのはなし、と理解しました。
物語のわかりやすさ、という点では決して優しくはない彼らですが、今作に関して云えば実際のところ、トリのマークとしてもかなりわかりにくい印象があります。結構彼らを見続けていると勝手に自負してるアタシの印象も、この方の印象に近いです。雑然とした場所の人々の話を点描していく感じで、人物達がなかなか繋がらず、個別に存在しているだけという感じがしてしまいます。
普段ならば、この役者ならこういう位置づけのひと、という役割分担みたいなものがあったり、人数もこれほど多くありません。ギャグやキャラクタを頼りして見ることも多いアタシです。今作は初登場の役者も多いのと、それぞれが無対象的な一人芝居のようなところが多く、スズナリや下北沢という場所から発想して作り上げた芝居だということを知っていても、作ろうとしている世界がなかなか見えてこない歯がゆさがあります。
土地をもっていかれる、というあたりで、これからの下北沢の姿を語ろうとしているのかと思いましたが、終演後に配られる冊子にスズナリという場所の過去の姿をコラージュしているということがわかります。
山中、柳澤という二枚看板の掛け合いは少な目。ロボットのようなものを演じる柳澤明子はあるいみ盤石のキャラクタ。原田優理子の笑わせる役は珍しい感じ。藤田早織の演じる「ふみこ」のキャラクタはちょっと気になる。シマリスを飼う少年を演じた大畑麻衣子が冊子にある働く少年か。金沢涼恵の演じる引っ越しすると、「みどり」(火を吐いたりするらしい)の物語はかなり異質ですが、今回に関していえば芝居のリズムを作り出したり、見ていておもしろいシーンをつくるという意味で貴重で、楽しんで拝見しました。
役者がこの感じに慣れていけば、もっと安心して見られる感じはしますので、これからなのかなあと想ったりもします。
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2007.8.18 16:00
プロバイダーのニフティが開設したイベントスペース・TCCのこけら落とし3DAYSの2日目。ロフトプラスワン時代もたった2回しか開かれなかった、漫画家・西原理恵子のイベント。20時終了予定は大幅に超えて21時近い時間までの3部構成。
全体は八巻和弘(小学館)、中瀬ゆかり(新潮社)を司会に立てての構成。
画力対決というのは盛り上がります。描く過程も含めて、そこにライブで居合わせることの幸せ。「鴨ちゃん」は避けて通れない話題だけど、その想いの唄であっさりと。「知らなくていいんだ/見なくていいんだ/そのために撮るんだ」というカメラマンとしての言葉の重さ。
藤子不二雄(A)はさすがの大御所、あっという間にかっさらっていきます(まわりももりたてるし)。単なる酔っぱらいオヤジではないのは、「怪物くん」をマジックで描く過程をスクリーンにリアルタイムで見せるあたり。当たり前だけど、迷いのない線があのキャラクタを描き出す瞬間は、客席全体が息を呑み、盛り上がるのです。編集者のあたりは漫画に出てくる何人かを見せるあたり。まあ、それはそれとして。
出版社のあれこれが多く出演しているように、小学館の総力をあげて、ぐらいのイキオイ。いわゆるぎょーかいの人も多いのでしょうが、着席させず楽屋近くの場所にはっきり判る形で見えるようにしておくというのはある意味気持ちがいい感じがします。最後のプレゼントでもうっかり賞品を貰いそうになった業界人を「あんたはダメ」とちゃんと仕切るあたり、じつにちゃんとしています。一般の客とそうでない人を分けるというのは、逆に言えば一般の客が入れない領域というのを線引きしているわけで、昨今では珍しいとはおもいますが、実に正しく線引きされています。
ロフトプラスワンに比べると天井も高く、ずいぶんとゆったりとしたスペース。整理番号なら好きなところに座れるかと思うとさにあらず、座席が指定され案内される流れ。流れからするとスイートベイジルに雰囲気もよく似ています。まあ、結果としてはかなり見やすい場所だったので満足ですし、見づらい席にはすべてモニタを配置するなど気を遣っているのはよくわかりますが、文句も来るだろうなぁとおもいつつ、まあ、このイベントに限って云えば仕方ない気もします。ファーストドリンクだけは客が取りに行くというシステムもまあ、確かに必要な措置という気がします。このあとのイベントは、デイリーポータルZを交えつつも、それだけにとどまらない多彩な顔ぶれ。新宿なら夜遅くても大丈夫という気持ちもありますが、電車なら都心からそれほど離れてるわけでもないわけで、ちゃんとまわって、ここで定常的にイベントが開かれて欲しい、と切に願うのです。
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2007.08.17 18:00
松竹と組んでいる最近では少なくなっている、新感線の「おポンチ路線」の新作。宮藤官九郎や木野花などの客演も豪華で、結構意外なことに劇団の主要な役者も揃う180分(休憩20分込)。大阪から始まってサンシャイン劇場は9月9日まで。
犬顔家に呼ばれて来た探偵、金田。死んだばかりの当主が残した遺言は、一族の間に争いをまきおこす。関係する人間も次々と殺されていき。。
おポンチ、という路線らしく深みみたいなものは一切ない物語。最初から明言されてるわけですから、そういうものだと割り切ります。役者それぞれの個人技というか、「この役者が、こんなばかばかしいことを」ということを気楽に楽しむのが吉。
物語の何かは求めてないのですが、そこには世界があって欲しい気がします。轟天はアタシ好みではありませんがなにかが全体を貫いている感じがしまし、紅天狗には間違いなく世界があります。これらに比べると、今作に関しては、役者それぞれの面白さは出ていても、全体としてみると場当たり的な感じを受けます。3時間も新感線のおポンチ見てれば胸焼けしそうだなぁ、胃腸薬飲んで万全の体制で臨もうと思ったら意外にもあっさり上品な味付けだった、というか、わかりにくいたとえですねすみません。
アドリブ的に見えるいくつかのシーンや、ちょっとしたあたりでも吹き出す役者の立ち位置。リピートしていればそれが毎回異なるものなのかどうかはわかりましょうが、アドリブに見えてかっちり演出されている、ということもある最近ですし、それを確実に見せられる役者たちですから、アタシは疑心暗鬼になるのです。
とはいえ、3時間がっちり走りきるし誰でも気楽に楽しめるようになっているのは間違いなくて、いい時間を過ごしました。半透過のスクリーンを多用した場面の転換は映画的な見せ方がうまくできていて巧い感じがします。もっともキャスト紹介の所は発砲B-ZINの手法に近いわけですが。冒頭のミュージカルパロディが実は結構気合い入っていて好き。金田一シリーズについてアタシほとんど知らないので、そこの面白さとかがあるのかなぁ、あんまりそういう気もしないのですがどうですかね。
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2007081714001700
芝居をしたことがなく、勉強するという立場でも捕らえたことがないアタシは、スタニスなんとかとか、マイズナーというのは単語として知っているだけなのです。稽古場自体が珍しい体験ですし、大部分の稽古場公開は通しを見せる形ですから、エクセサイズや演出の現場を見ることはかなり希有な体験です。深呼吸ができる、という立場を貫く黒澤世莉の現場を一週間公開するシリーズは、門外漢にも気楽に、芝居をしたことがなくてもエキサイティングな場所なのです。18日までは14時から稽古、19時から通し、最終日の19日は14時からゲネプロ、19時から公演という流れになっています。出入り自由で、何回見ても値段は一緒dす。
とはいえ、アタシは実は予定がどうにもあわなくて、この一回だけ、14時から17時までを拝見しただけ。全体で見られないのがとても残念。4人芝居、どいう物語かはわかりません。「おやつ置き場」に実は台本が閲覧できるようになっているのですが、一冊だけですし、客席に持ち込まれて占有されてしまうと、見ることができません、ので台本も読んでいません。
アタシが見た回の流れ(印象で書きますので、正しい表現になっているかは怪しいものですが)
(1)鬼ごっこのいくつかのバリエーション(匍匐前進とか暗闇とか)から始まり、
(2)自分の身体と対話しながら、空間を埋めるように自由に歩き回り、演出家の指示で7段階で設定されたさまざまな速度に対応。終わったらそのときの自分を言葉にしてみる(「共有」と呼ばれていました)。
(3) 「ラジコン」 目をつぶった一人の後ろに立ったもう一人が左右の肩を触りながらお互いに「したいこと」を交換しながら空間を歩き回ること
(4) 「質問」 今回の公演の役を入れ、(相談しないで)幕・場を想定した二人の役者が役のキャラクタを自分の中に入れて(台本の台詞とは別に)質問し合うような会話。
(5) 「キス」 7分という時間を決め、「キスしたい一人」と「拒む一人」で会話をしないままに、決められた時間でキスに至るようにしていく。
(6) 「おやつの時間」という、まあ休憩。おやつ置き場があって(客も持ち込んでよくて、持ち込んだら食べられる、というようなルールのようです)。
(7) 手をつないで輪になり、ウェーブのようにして足が動いたプレイヤーが負け、というゲーム
(8) ある場を出しての稽古。2幕1場、と云っていた気がします。
どういう背景があってやっていることかはわかりません。質問は他のスタッフに対して自由にできるのですが、アタシの感じたのは、こんな感じです。(2)で自分の身体のコンディションを把握し、自覚して動く。(3)や(5)で会話の外での場や感情の共有。(4)で台本の外でのキャラクタを把握して役を理解し、役者の自発的な動きが役を体現するようにする流れ。
結果として(8)の演出の方法も(台詞は入っている前提で)、台詞を役者が自分の中に「入れ」て、役者の動きや台詞の間合いを役者の自発的な動きから作り上げるような感じになっています。この演出家の芝居が、無理のない間合いで言葉が発せられるのは、この作り方故なのだと云うことがよくわかります。「覚え、訓練する」のではなく「役者の中に沈殿したものが、役者をそう突き動かす」ようになるのを指示を出しながら、辛抱強く待つ方法、だと感じました。
スタッフ達が異なる見解や理解をしている場所もちゃんと見せています。
役者達への指示は口頭で行われますが、いわゆるダメだしの形ではありません。役者がメモをとることもないのですが、指示が伝わり、定着するってのは凄いことだと思うのです。どこかに記録があるのかなぁ。
一般の客に公開する、ということを目的とするとすれば、いくつか気がつくこともあります。台本は閲覧できるようになっているけど、今回のようなわりとマイナーな芝居では手元に置いて読みたいのです(でも著作権とかあって無料配布はできないのだろうなx。この間の横濱リーディングでもそうでしたが)。エクセサイズの意図とかルールは木曜日にもなると口頭では解説されませんが、何か解説がどっかに貼ってあってもいいかなと思います。質問すればいいのはわかっているのだけど、なかなか、ね。
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2007.8.15 19:30
ハセガワユムのMuの短編集。あたしはB版しか見られませんが、2バージョンを20日まで。120分(B)初日の印象は、初日らしいバタバタもありつつ、もう少し凝縮できそうですが楽しめます。
コミューンから出てきて編集で働く女のもとに、脱走した別の女を追ってくる男二人と、編集の女の痛い恋人の「きみは死んでいる(女×女」。高校の軽音楽部、先生達が好きなミスチルだのJ-walkだのはとても聞けないという尖った女子高生ギタリストが「90% VIRGIN」。起死回生を狙って戦場に赴いたカメラマンは人質にされて他の二人とともに帰国したが、反戦団体を作る。彼らが反戦歌を依頼したガールズバンドの曲があまりに酷くて地元まで出向いて深夜のファミレスで..「戦争に行って来た」。
「きみは〜」はA版と対になる形で男女入れ替えの女主役バージョン。mixiだの日記だのに、付き合っている彼氏のことをこっそり書くというあたりがイマ的で少し楽しい。男視点で書かれている話ではありますが、男は弱く、絶望寸前という感じ。
「90%〜」はセンセイ達の年代と、パンキッシュな女子高生達の埋めがたい溝。「ミスチル」をキーワードにしながら、その溝をあからさまにしていくのは多分とっても巧い方法なのだけど、実はアタシがミスチルを殆ど知らないというのがちょっとつらいところ。女子高生も中学生もかなり無茶なキャラクタになっていて、笑いというよりは痛いところ寸前になっているのだけど、年代の溝という感じは良く出ていて、完全にセンセイの側(よりももっと上)の世代としては絶望的な気になります。バンドの3人はそれぞれが個性的でそれがパンクさを生んでいる感じがします。
「戦争に〜」もキャラ勝負なところはあるものの、内包しているのはとても微妙で凄みのある話。「反戦」とその「周辺」をあれこれこねくり回して、うさんくささもパンクさも、傍観者の無責任さも皮肉も全部フラットに広げている感じがあって、うむむと考え込ませる迫力があります。二本目に出てきた女子高生たちの何年後かの姿もあわせてちょっと楽しいゆるやかなつながり。本当に戦争はなくなると思っているのかというセリフをこの日初日に設定するのも何かの縁。あるいは、その「お題目」に対する現実のなんてちっぽけで、しかし立ちつくすアタシの姿も唸らせます。中川智明演じるカメラマンの終盤での説得力というか聞く者をねじ伏せる力。
当日パンフは物語のあらすじからキャラクタたちの属性まで細かく書いているおかげで見た後に思い出す助けにはなります。が、芝居を観る前にここまで説明してしまうのはすこし過剰な感じがして、驚きがない分、勿体ないなぁと思うのです(夏の夜の夢の町人達の芝居、みたいな感じですかね)。
パンクというか皮肉の効いた話はそれぞれにちゃんと見せます。物語の運びが荒削りにすぎる感じがしたり、キャラクタがステロタイプだったり役者に頼っている感じはあります。あるいはこの分量なら90分で見たいというワガママな気持ちはありますが、楽しめる短編集なのです。
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14日連続の真夏日の東京、でも人は少なめ、会社も人はやや少なめ。今日が上り車線渋滞のピークってことは明日とか明後日あたりから戻ってくるのでしょうか。
芝居が好きなアタシですが、今週末一番楽しみにしているのは「東京カルチャー・カルチャー(TCC)」のこけら落とし。さすがに全てのイベントはいけませんが、なんとか西原理恵子だけは手に入れて。プロバイダーのニフティが開く常設のイベントスペース、お台場のZepp TOKYO(行ったことないけど)のすぐ上とかで、元レストランだから料理も出せちゃう。トークイベント中心を考えているようで、そういわれると思い出すロフトプラスワンの雰囲気があるのかとおもうと、今後のイベントも楽しみです(デイリーポータルZのライター陣のイベントも多そうです)。ネット企業がリアルなモノを一過性のイベントとは別にやる、というあたりが実に感慨深い感じがします。
折角blogもあるのに、TBエントリ出来ないのか...ちえ。
そんなイベントを優先するから、コマ不足にあえぐ週末。
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2007.0812 18:00
葛木英と板倉チヒロの二人芝居のユニットの旗揚げ。違う作家の四本を100分で。公演は終了。
飲み屋のトイレの前で悶絶する男、出てきた女はかつてひどい別れ方をした恋人。障壁が高いほど燃える女は..「たちはだかるもの」(池田鉄洋・作) 12年ぶりに月にから戻ってきた男、地球で待っていた女。本当に久し振りの再会、コンビニ袋を下げて女の家に歩き始める「月とルチオ」(山中隆次郎・作) 月に一度、ホテルでカラダを重ねるだけの関係を続けている男女。いつもに比べて豪華なホテルを予約した男が切り出したのは、別の女と結婚するのでこれを最後にしたいと切り出す..「月に一度だけ〜Only Once a Month」(渡邊一功・作)。 介護とホステスを昼夜働きづめの女、その家のユニットバスにつかったまま居るのは人魚だった。ある日、女のバッグから母子手帳を見つけてしまった人魚は..「泡-ユニットバスの人魚」(葛木英・作)。
男女二人をめぐる話を4つ。役者二人の特性をさまざまに生かすようなバラエティがあって、笑いもびっくりもあって濃密で楽しめるのです。シリーズ化されるかどうかはわかりませんが、また見続けたいと思ってしまう楽しさなのです。
「たちはだかるもの」のあまりにエキセントリックな女と翻弄される男がスピーディーでテンション芝居が楽しく。扉を挟んだ二人がそれぞれ思い出語りをするというスタイルもリズムを生んでいます。夢遊病者や歯ぎしり、なぜかラジオ電波を受信してしまうってあたりの無茶苦茶さ加減も楽しい。
「月とルチオ」は、実に不思議な手触り。一度見ただけでは物語を掴み切れてない感じがしますが、気弱な男が地球に居られず、逃げるように月に移住し、そこも追われて戻ってきた時の芝居がベースだと思うのですが、その別れる瞬間や月と地球に離れている電話の会話を通しながら、時間の経過を見せた上で、もう40歳にもなる、というセリフを喋った二人が互いに若い頃の姿のままに「見えている」という当たりが素敵。そういう話なのか、もっと深い仕掛けがあるのかちょっと計りかねるところはあるんですが。
「月に一度〜」は、リュカ.ではあまり見られない、ドロドロ濃密な男女の話。別な女との結婚を切り出した男はそれでもこれが最後だとカラダを求めるが、女は納得できないあたりの描写がアタシは好きです。今までだって恋人同士ではなかったのだから、その関係を続ける提案を女がするが男はそれを断り、じゃあ一年近く前から付き合っていたのになぜ云ってくれなかったのかと、すれ違ってしまう男女の立場の差が鮮やか。冒頭は女がこれから会う男の話をしていて、終幕では男がカラダの感触をどうしても忘れられない女の話をするという対称さも美しいのです。
「泡」は、人魚を男に設定し、彼一人では生きていけないし、子どもを作ることさえできない、という想っているのに交われない関係がもどかしく、きちんと描かれています。設定自体はファンタジーだけど、そういう気持ちの関係もある、というところのエッセンスはいろいろに応用がききそうですが、この設定で見せているのがちょっと面白いのです。
幕間はヘタウマ的なアニメというか映像をそれぞれに。引きこもり男が自分に絶対服従な、女の姿をした「フェロえもん」を作るが、てんで相手にもされないし、無茶苦茶な目にあう、というほぼギャグの話。たしかにいろんな物語を繋いでいるので、その幕間にこういう小ネタを挟むのは巧い方法かも知れません。
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2007.8.12 14:30
女優の宝積有香と川田希によるユニットの旗揚げ公演。去年、ブラジルが初演したパワーゲーム三人芝居を。約60分。12日までギャラリールデコ4。
保険を勧めに来た保険会社の男。男の知り合いの女。その女の紹介で後輩に保険を勧めに来ている。自分の夫の自殺の体験をもとに勧めたりするが、薦められた後輩はあっさり大幅な増額に応じるが代わりに出してきた条件は...
コンパクトに作られた芝居。ゆるい会話だと思っていると終盤で展開するパワーゲームな物語は変わらず楽しめます。美男子・美女揃いのキャストも魅力的なのですが、キリキリとした切迫感という点では少し薄い印象もあって、キャストを変えた再演てのは難しいもんだなあと思ってしまうのです。
狭いギャラリーの中にイントレを組み最後部席とし、椅子やベンチを置いての客席構成。真ん中に机、椅子が三つ。それをコの字型に囲むように客席。三つの椅子に座った役者はほぼ動きませんから、坐ってしまった場所でどの役者の表情を見ることになるかが決まるというある意味そのまま。下手側に宝積、奥に川田、上手側に大下。
プロダクションの役者らしく、関係者と呼ばれる客も多めで。開演前にその客と喋り続けてるスタッフ、というのは、終演後ならともかく、一般の客から見てそういい気分のものではありません。ちゃんとした劇場ならそんなことは見かけませんが、ギャラリーという狭い場所ならばもっと気を遣うべきところではないかと思います。せめて見えない場所でと望んでしまうのです。
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2007.8.11 18:00
リーディングシリーズ、女性演出二本のBプロは時間短めで合わせて90分もありません。「かんしゃく玉」と「紙風船」を。12日まで相鉄本多劇場。
専門学校だか劇団だか風、椅子が並ぶ中のリーディング、夫と妻、このままいけば家計がたち行かなくなると云って訪ねてくる多数の男たち、それが夫婦にはストレスで「かんしゃく玉」。休みの日の昼過ぎ、することなく、経済的にも余裕というわけではない新婚一年目の夫婦の会話はやがて...「紙風船」。
こちらもダイナミックな動きのある前半と、静かでフラットな後半の組み合わせ。短い作品を2つ繋げるというスタイルは、これぐらいの長さであればうまくまわっていますし、エンゲキジャンキー的にはコマが少しでも助かるわけで、正しい方法だと思います。
「かんしゃく玉」は、やり場のない気持ちをかんしゃく玉にぶつけるというベースがどこかシュールな感じで面白い。新婚夫婦を心配して入れ替わり立ち替わり来る夫の友人達の親切の行き先が妻だけに向いているというあたりの拗ね具合が楽しい。こんなにシュールなのに、それをダンスだの言動分離だの、華やかに作り上げていて、これはこれでアリな感じがします。配役表を見ると、読み手自体も役になっていて、それぞれのキャラクタをフェイクに作り上げていて、声優風とか、ブロードウェイ指向とかをテキスト以外のところであれこれ遊んでいて、見て飽きません。テキストと別のものを演出で見せているという点では、Shelf組に似ている所もあるのですが、フラフーパー組のほうは先にテキストや配役表を配ってしまうということと、劇中劇的な構造にすることで、ノイズにならずにすんなりとわかりやすくなっています。著作権は切れている筈のテキストを配っているけど終演後に回収するのは、版に対する権利がクリアできないからなのでしょう。青空文庫で、作業中とはなってるのだけど校正待ちのまま2年が経過していて、ちょっと残念。底本が高そうだものなあ。
ラス前の曲はあまりにベタで、よくぞ見つけてきた、という感じ。アレは何の曲だ。
「紙風船」の方はただひたすらフラットに見せていくので、観る側にも体力がいるところもありますが、 たった二人の名作戯曲を揺るぎなくみせるクオリティ。役者にも演出にもぶれも不安もないのですが、その意味ではドキドキはしずらいと思うのはちょっと贅沢な悩み。が、このコンパクトさで、何もなくてもちゃんと見せられるのは、どこにでも持って行けるポータビリティがいい感じもします。
横濱リーディングや、KAKUTAの朗読など、リーディングを名乗る公演でも、ほとんど通常の芝居と変わらないスタイルのものも増えていて、もともとリーディングと聞いてアタシが感じる「脚本のプロトタイピングと評価」という側面は、このスタイルでは薄くなって来ています。手にテキストを持ってるとか、ト書きを読む役者が居るというあたりが線引きかなと思っていたのですが、ト書きを読んでいない(もともと無いのかもしれません。アタシは読んでないのでわからないのですが)「紙風船」の方はそれでは少し境界を踏み越えている感じもあります。もちろん面白い芝居を見せてくれれば万々歳なので、不満はないのですが。 一応テキストのようなモノを手にしていますが、二人芝居の物語自体がほとんど動かなくても成立している、ということが大きく作用していると思うのですが。
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2007.8.11 14:00
横浜でのリーディングシリーズ、岸田國士を題材に得て。二本を一組にして。「動員挿話」と「顔」の二本。12日まで相鉄本多劇場。二本の間に10分の休憩を挟み、120分。
主人に仕える馬丁。主人が出征にあたり、連れて行きたいという。国を挙げて戦争に突き進むなか、その妻は頑固に「軍人でなく選べるなら行かないで欲しい」と主張する。結婚前に激情した過去もあり周りも少し気を使う女だが、男にも世間体があり「動員挿話」。 海の見えるホテル、夕刻。「太陽室」と呼ばれる見晴らしの場所。夫婦らしい男女や婦人、若い男が行き来する。ディナーの時間少し前、職員の老婆がレコードの番のために現れ、蓄音機の横に座る。婦人が話しかけると、老婆はかつて船に乗っていたころの昔話を始める。
リーディングとはいいながら、わりと演出をつけていて時には装置もあるような形態での公演シリーズ。チャリTの方は、「劇団がやるリーディング公演」という薄い皮をかぶせ、前幕・後幕の間とはじめにトークを挟む形にはしつつ、基本的には「読む」事に主眼。国のあり方とかを揶揄する彼ららしい題材なのだけど、テキスト自体が、おかしいな、と想う時代批判を持っていることの力。確かに演出していることの意味は薄まってるのかもしれないけれど、イデオロギー的に好きだという事もあって、あたしはこのテキストに出会えたことの幸福を感じます。
「国の利益」に向き合うのは「別れたくないという気持ち」。だからオンナの理屈はわからない、と云われがちな「大切だと思う軸の、埋めがたい違い」が主軸。物語の中で後者は決して勝つわけではないのだけど、時間を経た今、アタシはそちらを大切にしたいと思ってしまうのは、そうか、これがイデオロギーか。
一方のShelf組。こちらも女視点の物語。あからさまには何一つみせないのだけれど、男性の演出がこの二本を選んだというのはすこし面白いのです。ただ、こちらは演出が強すぎる印象。テキストと演出の間に乖離を感じがちなあたしです。激しく入れ替わる役や、テキストとは別に動きだけで役者がやっている何かの別の物語など、演出をしているということははっきりわかりますし、もちろんかっちり作り込まれていると思いますが、わざわざテキストから乖離させている動きに、アタシは有機的な相乗効果を感じ取ることができなかったのが残念な感じもします。
善し悪しではなくて、アタシにどちらがあっていたかという点ではチャリTに軍配を上げるあたしですが、こればかりは見比べるたのしさ。是非とも4本を。
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2007.8.8 19:00
芝居に出ればほぼキチガイ演出家ポジションが似合い、サタデーライブ的ワンマンライブを続ける清水宏。日比谷野外音楽堂でのワンデー・ワンマンのライブ。暑苦しいと云われるけど気温も高い中ビールと一緒は楽しめます。100分強。
(0)前説的な「名古屋のおばちゃん」。(1)イラン人落語家・ハッサンの三題噺(ダルビッシュ・裸足の三等兵・平和。野音はボツ)、戦略なくタクシーに乗り..(2)無限地獄的な冒険トーク(体当たり的レポを一人語り、実は真骨頂)、ヒップホップダンスの大会に殴り込むために深夜の駅で踊る若者に殴り込み。(3)シンバル漫談(渋谷のロイホの会話で「自分に値段をつけなきゃ」という若者とか、オタ男三人の。ほか。) (4)勝手に映画予告編。(いーたゃぁ(ET)、13日の金八先生。) (5) 冒険トークの証拠VTR。 (6)エンディング。タイのロック、ジローズ・ブートキャンプなど
ホントに一人で舞台。着替えたりするために袖には引っ込むけど大した空白ではなくほぼ出ずっぱり。全てが大爆笑とは当然いきませんが、上下を切りながら、情けない41男の目線と挑戦するイキオイの(2)はさすがの力。(4)の予告編も、やったもん勝ちなところはありますが、ちゃんとそれらしく。(6)は客席中を走り回りスポットライトを奪い取り。さすがなものです。日比谷という場所を生かして某省庁に向かって「金返せ」と客席に大合唱させるねたもちょっとツボ(あの方向がその省庁なのかは知りませんが)
(2)は、「なぜ今さらそんな無茶な挑戦をするか」というあたりのつかみ。若い頃はエンゲキだったから青春を謳歌してないから、と始まり、アングラ劇団(どこだそれ)の経験なんてのをベースに敷くあたりもちょっと巧い。
ある意味客席も豪華。小劇場役者やら、噺家のグループやら、芸能人やら。なんだかんだ云って結構満員。かなり廉価なチケットも出ていたようですが、それでも楽しめましたとも。
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芝居をやる側になったことが無いアタシは、稽古場という空間をたまに覗かせてもらうとドキドキなのです。完成に近いぐらい芝居になってるモノとか、ワークショップ的なものとか、さまざま。公演という、直接お金にならないそういうベースをこつこつとやっている人々がちゃんと居るのです。いや、多分モノを作ったり、僅かでもクリエイティビティがあるってのはそういうことだと、自戒しつつ。
珍しく予定確定な感じの週末。
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2007.8.4 19:30
路上ライブと劇場公演の二本立てで名前の売れた鹿殺しの番外的公演の「オルタナティブ」。役者オレノグラフティの初脚本と丸尾丸一郎演出。7日まで、こまばアゴラ劇場。100分。
終電で職場から帰る女と男。女はずいぶん年上の男と結婚間近、会いたくて想いつづけながら。そんな電車の中で前にファンだった、かつてのインディーズスターに再会する。見かけた黒い服の女、彼女と永遠に「遊び続け」なければならないという都市伝説の女の乗った電車はやがて時間を超えた、昔の場所に停車しながら走り続ける。
舞台はほぼ黒一色。一段だけの少し高めの段を舞台中央に横切らせ、その段の部分にタッパ一杯の鎖が幕のように縦縞につり下がっています。その先に円い輪っか。これが全て。ほぼ電車の中や外の風景をさまざまに描くこの芝居にはシンプルで実に効果的な装置です。鎖の上げ下げの時の音も歌舞伎の花道の先のところにある幕の音に似て心地いいのです。
物語は深すぎる想いゆえの悲劇というかあまりに哀しい話。物語の枠組みが見えてくるまですこし時間がかかりますが、後半では時間を感じさせないテンションで見続けさせてしまう力があります。
たった5人の役者。それぞれがしっかりとしていて安心できるし、ロックな大音量も楽しめます。山本聡司を核に。びっくりするぐらいさまざまな変化をします。最初同じ人だとわかってなくて首かしげてたアタシです。(^^;)。丸尾丸一郎やオレノグラフティは笑いも含めて舞台のベース。高山奈央子は物語のなかでは異質な位置づけで迫力があります。カラダの使い方もずいぶんと他の役とは違っているしKAKUTAでの彼女とも違います。奥田ワレタは対比して可愛らしい位置づけは目を奪われます。オルタナティブは劇団にとって「型にはまらない」位置づけなのだけど、客演の二人にとっても、今まで見ている姿とは違う面が見られて楽しいのです。
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2007.8.4 15:00
神様プロデュースの増山千花の立ち上げたユニット。元・中野ガールスブラボー(未見だけどいい名前だなぁ)の旗揚げ。5日までタイニイアリス。120分。なぜか漫画付きで、物語の枠組みと後日談を。
女子プロレスラー、後輩との試合で骨折し、しばらくの休み。もともと弱くてあか抜けず、後輩が人気プロレスラーになってるのに。部屋で休んでいると、妙な男たちが現れて騒ぐ。事務所には新しい事務員がやって来るが、それはプロレスラーになった彼女の昔の大親友で。
基本的には女の子の自分探しの下敷き。一人で悩み続ける感じよりはむしろ、友人とか後輩とのある種の共依存関係が強めな感じ。今更という感じもしますが、アタシは嫌いじゃありません。
男たち三人はかなり賑やかしな要素ですが、パワーも笑わせるちからもしっかりあって、まあ微妙さも含めて楽しめます。もっとも、彼らにそれぞれにも物語の決着をつけさせようとするのは少々蛇足感もあって、メインがぼけてしまうのが勿体無い気も。
怪我した女子プロレスラーの部屋、事務所、夢や思い出と大きく3つの場所を設定してるのだけど、その切り分けが少々わかりにくく。彼女の部屋に特化する家具ばかりなので他の場面を想起しずらい感じがするのも少しもったいない。
ネタバレかも
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最近よく買ってるなぁというツッコミはスルーしつつ。
W-ZERO3の初代を買ってましたが、会社PCの予定表を同期して持ち歩くという使い方が殆どで、あまり上手に使ってる感じではありませんでした。二代目の[es]は見送っていたのですが、三代目のadvanced esを購入しました。
ちょっと大きな携帯電話、というぐらいには小さく薄くなって、画面がかなり高解像度になってるのに惹かれたのですが、けっこう軽快になってるのにびっくりします。最初は小さなマニア向け市場だと思われてても、継続して三代続けるってことの凄さを、ホントに感じます。
通勤電車も空いてきた夏休みあたり、週末。
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