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2007.08.12

【芝居】「クニヲと俺と。・紙風船」横濱リーディングコレクション#3 Bプロ

2007.8.11 18:00

リーディングシリーズ、女性演出二本のBプロは時間短めで合わせて90分もありません。「かんしゃく玉」と「紙風船」を。12日まで相鉄本多劇場。

専門学校だか劇団だか風、椅子が並ぶ中のリーディング、夫と妻、このままいけば家計がたち行かなくなると云って訪ねてくる多数の男たち、それが夫婦にはストレスで「かんしゃく玉」。休みの日の昼過ぎ、することなく、経済的にも余裕というわけではない新婚一年目の夫婦の会話はやがて...「紙風船」。

こちらもダイナミックな動きのある前半と、静かでフラットな後半の組み合わせ。短い作品を2つ繋げるというスタイルは、これぐらいの長さであればうまくまわっていますし、エンゲキジャンキー的にはコマが少しでも助かるわけで、正しい方法だと思います。

「かんしゃく玉」は、やり場のない気持ちをかんしゃく玉にぶつけるというベースがどこかシュールな感じで面白い。新婚夫婦を心配して入れ替わり立ち替わり来る夫の友人達の親切の行き先が妻だけに向いているというあたりの拗ね具合が楽しい。こんなにシュールなのに、それをダンスだの言動分離だの、華やかに作り上げていて、これはこれでアリな感じがします。配役表を見ると、読み手自体も役になっていて、それぞれのキャラクタをフェイクに作り上げていて、声優風とか、ブロードウェイ指向とかをテキスト以外のところであれこれ遊んでいて、見て飽きません。テキストと別のものを演出で見せているという点では、Shelf組に似ている所もあるのですが、フラフーパー組のほうは先にテキストや配役表を配ってしまうということと、劇中劇的な構造にすることで、ノイズにならずにすんなりとわかりやすくなっています。著作権は切れている筈のテキストを配っているけど終演後に回収するのは、版に対する権利がクリアできないからなのでしょう。青空文庫で、作業中とはなってるのだけど校正待ちのまま2年が経過していて、ちょっと残念。底本が高そうだものなあ。

ラス前の曲はあまりにベタで、よくぞ見つけてきた、という感じ。アレは何の曲だ。

「紙風船」の方はただひたすらフラットに見せていくので、観る側にも体力がいるところもありますが、 たった二人の名作戯曲を揺るぎなくみせるクオリティ。役者にも演出にもぶれも不安もないのですが、その意味ではドキドキはしずらいと思うのはちょっと贅沢な悩み。が、このコンパクトさで、何もなくてもちゃんと見せられるのは、どこにでも持って行けるポータビリティがいい感じもします。

横濱リーディングや、KAKUTAの朗読など、リーディングを名乗る公演でも、ほとんど通常の芝居と変わらないスタイルのものも増えていて、もともとリーディングと聞いてアタシが感じる「脚本のプロトタイピングと評価」という側面は、このスタイルでは薄くなって来ています。手にテキストを持ってるとか、ト書きを読む役者が居るというあたりが線引きかなと思っていたのですが、ト書きを読んでいない(もともと無いのかもしれません。アタシは読んでないのでわからないのですが)「紙風船」の方はそれでは少し境界を踏み越えている感じもあります。もちろん面白い芝居を見せてくれれば万々歳なので、不満はないのですが。 一応テキストのようなモノを手にしていますが、二人芝居の物語自体がほとんど動かなくても成立している、ということが大きく作用していると思うのですが。

横濱リーディングコレクション#4「岸田國士を読む」
2007.8.9 - 8.12 相鉄本多劇場
作 岸田國士
◆「クニヲと俺と。(入門編)」
演出 菊川朝子
出演 上枝鞠生(Hula-Hooper) 上田遥 大西智子(あなざーわーくす) 沖田愛(テアトル・エコー) 鯉沼トキ 杉岡阿希子(殿様ランチ) 平川道子 高橋美貴(あなざーわーくす) 吉田麻起子(双数姉妹) 菊川朝子(Hula-Hooper) 見学監督:梅澤和美(Hula-Hooper)
◆「紙風船」
演出  明神慈
出演 中島美紀(ポかリン記憶舎) 古屋隆太(青年団)

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