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2007.08.22

【芝居】「15minutes made vol.1」Mrs.fictions presents

2007.8.21 19:00

Mrs.fictionsが主催したショーケーススタイルの企画公演。23日までザムザ阿佐谷。一劇団15分、全体で100分、終わりの会というトークセッション+劇場解放を30分の意図のようですが、初日は開演押しに加えて運営面が回ってなかった印象があります。

  • 劇場に乱入してきた男がのやってしまったことは「102回目のプロポーズ」(劇団コーヒー牛乳)。
  • 人事部長に呼び出されてきた初老の男との面接は「お父さんといっしょ」(劇団掘出物)。
  • 卒業式の日の保健室、今日来られない同級生の「わたしのクラスのゆーちゃん、むねがどんどんデカくなる奇病、ありえない〜または意味のある宿命」(小沢哲人(oOLOm))。
  • のたりのたりしている男、通りがかる人々は悲嘆に暮れていて、男がはたと指を鳴らすと「希望〜the platonic suicide」(圧力団体イクチヲステガ)。
  • カレーを食べる男、女と一緒にこれからしようとしている大仕事「エスパーさん」(タカハ劇団)。
  • 若者がはなす、リュージという学童保育にくる男の子は、「R時のはなしver.0」(小指値)。
  • 舞台に大きく広げられた紙の上、二人のことを語り始める男と女。「紙の上の話」(Mrs.fictions)。

「102〜」は劇団が得意とするパロディキャラクタ芝居なのだけど、枠組みをオリジナルに頼りすぎている感があるのと、「またか感」は否めません。
「お父さん〜」は二人の関係のアイディア一本勝負勝ちというところもあるのだけど、相手の言質とったり微妙なパワーゲームのシーソー感があって楽しめます。時々現れて鋭い言葉を投げ込む女性のポジションも巧い。
「わたしの〜」は青年団の役者をそろえての。舞台の外ではとっても妙なことが起きているし、特別な日のはずなのに、ぬるく緩いという意味では「東京ノート」のブートレッグ感、というのは嘘だけど。役者はさすがに安心感もある上に、コスプレのようでもあり。二人の女子高生のともだちの会話の距離感も楽しい。
「希望〜」は台詞がほとんどないある種大人のファンタジー。舞台のタッパを生かした演出は目を引きます。
「エスパーさん」は舞台中央にしつらえた箱の中をめぐる二人のたくましい想像が楽しいのだけれど、これも二人の会話の濃密さが楽しい。客席最後列だとオチがみえづらいのが残念。想定される感じのわかりやすさではあるのだけど、15分ならむしろ正しい選択。
「R時〜」はver.0と銘打つだけあってちょっと荒削りにすぎる感じも。それでも、役者のパフォーマンスとテキストの不思議な落差が楽しい。客席最後列では、下手側の電球は見えず、そもそも電球の意図がいまひとつよくわからない感じもします。
「紙の上〜」は舞台に広げた紙の上に広がる話がわかりやすく、ちょっと洒落た感じもします。オチにあたる部分の俯瞰した感じや、すてきに見える感ともよくできていて、さすがに主催しただけあって特性を知り尽くしている感じ。

芝居それぞれに関していえば圧倒的に、という感じではないのが少し残念な反面、そこそこに粒は揃っている感じもします。それより圧倒的に問題なのは制作や運営の見積もりの甘さだと思います。個々の担当者は頑張っている人も居ますが、うまく回っていない。開演が押すのは受付の列が長蛇だからだし、列がさばききれないのはこの規模で受付・料金を一人でまわそうとしているから。この長さの公演で15分も休憩を入れたためにさらに時間通りにはまわらなくなるし、予定していた「おわりの会」(夜中に住宅街に客をだしてうるさくなるのを防ぐためだと想像しますが)はやらず、でも後からトークショーをやることにすると混乱した上に、ロビー面会も同時にやろうとするものだから、トークショーが全く聞こえなかったりとかなり問題を含んでいます。場所をはっきり分けて指示するか、マイクの音量をかなり大きめにすべきでしょう。第一回の初日、ですから仕方のないところもありますが、時間をかなり超過する劇団があっても歯止めをかけられないのも問題。これを皮切りに2ヶ月に一回開いていくつもりなら改善されるものとは思いますが。

Mrs.fictions「15 minutes made volume 1
2007.8.21 - 8.23 ザムザ阿佐谷
劇団コーヒー牛乳「102回目のプロポーズ」
作・演出 柿ノ木タケヲ
出演 阪本浩之 石黒圭一郎 伊藤今人 中山貴裕 鈴木ハルニ 柿ノ木タケヲor制作A 二瓶恵 高橋悠(Func A ScamperS 009)
小指値「R時のはなし ver.0」
作 北川陽子  演出 篠田千明
出演 山崎皓司 上田剛
タカハ劇団「エスパーさん」 作・演出 高羽彩
出演(日替わり) 高羽彩(/吉成生子/斎藤加奈子) 高木健(/花小路男D/西尾 友樹)
劇団掘出者「お父さんといっしょ」
作・演出 田川啓介
出演 澤田慎司 板橋俊也 北川麗
圧力団体イクチヲステガ「『希望』THE PLATONIC SUICIDE」
作・演出 放蕩詩源
出演 豊田可奈子 ヨロレイヒ~ 珍竹 8
◆小沢哲人(oOLOm)「わたしのクラスのゆーちゃん、むねがどんどんデカくなる奇病、ありえない ~または意味のある宿命」
作・演出 小沢哲人(oOLOm)
出演 立蔵葉子 海津忠 木引優子 市村美恵
◆Mrs.fictions「紙の上の話し」
作 岡野康弘   演出 生駒英徳
出演 宮嶋みほい 夏見隆太 松本寛子 岡野康弘

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