【芝居】「カレッジ・オブ・ザ・ウインド」キャラメルボックス
2007.7.29 14:00
キャラメルボックスの代表的な一作の三演目。115分。8月5日までサンシャイン劇場、そのあと大阪。
外科の入院病棟に入ってきた「ほしみ」。交通事故で一人入院してきたが、彼女にはそこに居ない家族が見える。一方東京の叔父は警察に追われているが、ある夜、姿を見せる。
初演こそ見ていませんが再演はみています。印象的でよく作られた物語だという記憶はあるのですが、 そのわりには半分ぐらいしか覚えてなかったのです。とはいえ、安心して見られるように丁寧にわかりやすく作られていて、(記憶が曖昧でも)人物たちの属性を予期させるようなヒントというかわかりやすさ。まあそれでもダー泣きしてしまうアタシです。
名作と呼ばれるこの作品なのですが、主役のほしみは、役者に相当な緊張を強いる役という印象で、それとは関係がないとは思うものの、同じ主演では再演されたことがありません。客演というよりはほぼ初舞台(ですよね、自信ないけど)という高部あいという女優は、家族を想う一途さを見せています。
語尾の「す」(〜です、など)が強調される発声はキャラメルボックス以外ではあまり見られないここの役者の特性で、高部あいも忠実です。この規模の劇場で声を届ける事を技術として成立させるのはここにしかないノウハウなのですが、彼女に限らず若手に行き渡ったこの発声がアタシにとっては違和感をぬぐい去れないのです。
家族達の背景が見える序盤の展開が早い感じの反面、後半に時間を配分している気がします。再演時の時はあまり印象に残らなかった叔父・叔母の二人の物語気持ちに残ります。男の嫉妬がみっともない、という言葉は最近の男たちの気分に合っている気がします(もともとあった言葉なのかは知りませんが)。なんて御託を並べても、幾重にも泣きトラップを仕掛けられている話は、思い通りの所にピースがはまっていく(いえ、物語を知っているからではなくて)感じで、話はアタシの泣きツボを絶妙に刺激します。畑中智行が爽やかな好青年という感じなのは意外(失礼)ですが、印象に残ります。岡内美喜子は不安なく。岡田さつきにこの老け役ってのもどうかと思いますがなかなか味があるのも事実で。
演劇集団キャラメルボックス2007サマーツアー「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」
2007.7.5 - 8.5 サンシャイン劇場
2007.8.9 - 8.16 シアターBRAVA!
作・演出 成井豊
出演 高部あい 大内厚雄 岡内美喜子 岡田さつき 山田幸伸 畑中智行 温井摩耶 三浦剛 青山千洋 實川貴美子 阿部丈二 渡邊安理 小林千恵 久保田晶子
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