【芝居】「小さなお茶会。」空想組曲
2007.7.13 19:00
ほさかようのユニット。細かくきちんと作り込まれた120分はもの凄い密度で、これは舞台だからこその面白さもあって。小さな恋のものがたりだと思っていると..17日まで、王子小劇場。
女が男を誘拐する。
喫茶店、毎日やってくる若い男は大学の先輩の女性の働くその店だけれど、お目当てのウエイトレスがいて。マスターは妻を亡くしているが、忘れられない。コーヒーで粘り続けて帰らない女の目的もわからない。通い続けている男の恋が、まわりの応援で成就した瞬間...
すべてがネタバレ、になりかねないのですが。
序盤30分は、(舞台装置以外は)ありふれた素敵な恋の物語、コメディも入っていて普通に楽しめます。が、そのあとが凄い。
王子小劇場としてはあり得ないぐらい高くしつらえられた舞台に、あり得ないぐらいに傾斜していて、しかも45度回っている構成。水平がどこにあるかわからない感じで。が、この舞台の面の使い方がすごいのです。段々になっているところはあるのだけど、その一点でさまざまな軸にひっくり返りまくり、映像効果のようにスピード感と空間を目一杯に使う凄さを見せつけます。これを思いついたのは美術なのか演出なのかはわかりませんが、特筆すべき空間なのです。多分役者には相当の負担がかかるはずなのですが、どの役者もそれにちゃんと応えていいます。怪我をしないことだけが心配だったりしつつ。
仕掛けだけにとどまりません。二つの小さな恋の物語だと思っていると、いろんな想いや、妄想が交錯していきます。それがフリップフロップのようにくるくると切り替わる小気味よさがあって、2時間という時間は決して短くないのに忘れるぐらい楽しめるのです。
告白できない若い男、軽薄そうでもてる男、妻を思い続けるマスター、誘拐される男子高校生。あるいは、誘拐する女、店の可愛い娘、恋人になりたての女、先輩の女、謎の主婦風、謎の男。10人の役者達はそれぞれのキャラクタをきちんと持っていいます。
問題がないわけではありません。全席指定ですから客は席を選べないのですが、この舞台のつくりでは見えづらいところがあります。実はちゃんと言葉での捕捉があったり、ちゃんと意識して演出されているので、物語がわからないわけではありません。が、たとえば並んで二人で坐り、しなだれるシーン。たとえば、カップをひっくり返すシーンなど、見たいと観客が思うその瞬間や表情が見たいと思うところで、席によっては見えづらいのが勿体ない。
二本の映画の話が言及されますが、アタシはその情報を見つけられません。架空の映画の話なのでしょうが、たとえばジャスミンという役名はバグダットカフェかなぁと、思ったりも。映画のシーンを素敵に抽出した感じに見せるのは、ちょっとスマートでかっこいいのです。
空想組曲「小さなお茶会」
2007.7.13 - 7.17 王子小劇場
作・演出 ほさかよう
出演 堀池直毅 生井景子 森下亮 中谷千絵 金崎敬江 古市海見子 紫村朋子 松崎史也 飯島俊介 中田顕史郎
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