【芝居】「わるくない休日〜神様の夜(Aプロ)」KAKUTA
2007.6.30 19:00
KAKUTAの4週連続朗読シリーズ。ファンタジー色の強い話を集めたAプロ。80分。Aプロは7月1日まで、C/Dプロは来週から7月15日まで。
公演で拾った本に挟まれていた詩の作者を捜して「悪くない休日」。
梨の収穫を手伝いに行った梨畑で私が出会った生き物「夏休み」
お弁当を持って川べりに出かけた。隣に引っ越してきた熊と。「神様」。
精進料理を食べに行った寺の池で出会った河童に連れられて行った先で持ちかけられた深刻な相談ごと「河童玉」
先週のBプロと同様、川上弘美のテキスト「夏休み」「神様」「河童玉」(amazon-「神様」所収)をベースに構成。間をつないでいる「悪くない休日」BプロにやC/Dプロにも繋がるようで、シリーズ全体を「持ち主不明の詩」でゆるくつなげる構成のようです。
ネタバレかも
河童だの熊だの梨の生き物だのと、ファンタジー色のより強い物語で構成。
「夏休み」は、梨の生き物たちの物語が前面に出ているけれど、日常のなかで「私がずれてしまう」という感覚の描写が見事。定まっている言葉があるわけではないもやもやとした気持ちを言葉にするという意味ではもとのテキストが実に的確な分だけ、舞台の上で場面として見せるという点では少々苦しい感じ。一方で、「梨の生物」の小さな可愛らしさを(小柄な役者を揃えたとはいえ)等身大の人間で見せているわりには、その「小ささ」を感じさせていて文字通り「目の当たり」にするのは舞台の醍醐味。
「神様」はあちこちのリーディングでも取り上げられることの多いテキストですが、初演のころの印象ではどこまでも広がる空間、という感じだったのだけど、どちらかというと二人の間の空気を強く意識した雰囲気になっています。それでも、余裕すら感じさせるのは大したもの。強い日差し、川べりのゆったりと流れる時間を言葉と訳者の空気感だけでちゃんと見せています。
「河童玉」は不思議な色気のある話。なんせ精力の強い河童の「性の悩み相談」というのが物語の骨子。まあ下世話な話なのに「いたす」という言葉の選び方の絶妙な上品さ、「どうにかなるよ」という男に対する優しささえ感じさせる視線は、「センセイの鞄」にどこか通じる川上節、というのは深読みのしすぎかも知れませんが。一方でまるで竜宮城のような「宴」の華やかさをこのシンプルな舞台や衣装で作り出すのも印象的。
KAKUTAと川上弘美+Friends「わるくない休日〜神様の夜(Aプロ)」
2007.6.23 - 7.1 ギャラリーSite
読本 川上弘美「神様」 構成・演出 桑原裕子
出演 成清正紀 川本裕之 原扶貴子 大枝佳織 松田昌樹 高山奈央子 横山真二 桑原裕子 水野美穂 吉田久代 (ククルカン) 横山真弓 窪田道聡 (RAT)
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