【芝居】「時計仕掛けの肖像」メトロポリスプロジェクトVol.20
2007.6.10 16:00
二人芝居300本の上演企画。6本で120分。公演は終了。
女をメロメロにする正真正銘フェロモンを発する男と、匂いに敏感な女の「ランコントル」(116)。部屋に盗聴機が仕掛けてあるといって元カレを呼び出した女、盗聴の主は「盗聴アリ!」(117)。ビッグサイトのイベントにあてられて来た男とバーテンダーの会話「再就職セミナー」(118)。カップリングパーティーがアンバランスで司会の女が呼んだ友人はあまりに男受けが良くて「Tomorrow never knows」(119)。クラシックコンサートの休憩時間、ドラマの影響で増えたにわかファンに我慢ならない客たちが「のだめ」(120)。漫才コンクールに出場しようとしている女二人のドツキ漫才師だがどうしても突っ込みを入れられない「グランプリへ行こう!」(121)。
116話、フェロモン男の話はぴんと来ない。女優の色気も確かに胸元に目を奪われてしまうアタシだし、寝転がらせて動きを封じることで逆に存在感を増すというのは面白い作り方。117話はコミカルさイッパイで楽しめるのです、市場法子という女優のぶっ飛んだキャラクタと岡本広毅の巻き込まれキャラが楽しい。118話、仕事を変わろうかと頭をかすめてしまうアタシの年代、転職フェアの当てられ具合と、仕事を続けていくという地道さへへの想いと、営業上でも世辞は言わないという信念の話と。119話は綺麗な女性二人で見やすく、まるで女神のようではあるのだけど、その見た目の綺麗さとは別に「寂しいと認め、云うこと」が全てのスタートラインだというのがアタシに染みこみます。120話、にわかに増えた「のだめに感化されてクラシック」という客のマナーの悪さを起点にしながらも「劇場」という言葉を意識的に挟み込んでる感じで、「静寂を作ると云うこと」が客に課せられた義務で、それがこの奇跡の空間を生むのだという主張にはうなずづきます
121話は少し今までと毛色が違います。女性お笑いコンビという設定の二人の少し長い話。というか、こりゃ、蒲田行進曲のような「つか芝居」のテンション。ラストシーン、舞台奥からの照明吊りなんてのもそんな感じで。ちょっと長い印象があります。
連作の二人芝居を続けて街を浮かび上がらせるという企画なのだけど、既にその街を出てしまったり、繋がりとしては薄い関係も結構出てきた最近は。もう街を描くこと自体よりも、様々なシチュエーションの二人芝居を上演するという流れになってきています。それでも、全ての戯曲をネット公開していて、上演許可(無償のワークショップならば無料)を出す準備もちゃんとあるというのは、続けていくことによる確実な財産なのです。
とはいえ、観る側からすると連続上演という形態には、ちょっと言わせて欲しい、と思ったりも。今回の場合、新作2グループ(Vol.20-21)と再演1グループで構成されて、二週に渡る日程になっています。前半にVol.20, 後半にVol.21となっていて全体に再演。アタシの観た最終日は、このVol.20と21の両方を一日で見られる唯一の日程で、13:00(21)-16:00(20)-19:30(21)と構成されていれば、思った通り16:00の回が超満員。芝居好きというか、芝居ドランカー(アタシのことだ)が集中することになりました。 劇場の押さえ方や、役者のスケジュールなど大人の事情はあるのでしょう。長めの日程を設定していますが、複数のvol.を一度に上演するようになってむしろ薄まってしまった感じすらします。もし、やるならば本数×週数、モザイクのように演目を散らして欲しい、と思うのです。
劇団10x50KINGDOMメトロポリスプロジェクトVol.20「時計仕掛けの肖像」
2007.5.30 - 6.10 ストアハウス
作・演出 じんのひろあき
出演 吉岡毅志 橋本愛実 岡本広毅 市場法子 坪井一広 野中希 窪田あつこ 広田さくら
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「三ノ輪の三姉妹」かるがも団地(2024.10.10)
- 【芝居】「ハッピーターン」劇団チリ(2024.09.29)
- 【芝居】「昼だけど前夜祭」劇団チリ(2024.09.16)
- 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2024」サードステージ(2024.09.08)
- 【芝居】「雑種 小夜の月」あやめ十八番(2024.09.01)
コメント