【芝居】「THE BEE」(日本版) NODA MAP番外
2007.6.22 19:30
筒井康隆の30年前の初期短編「毟りあい」(amazon-「傾いた世界―自選ドタバタ傑作集〈2〉」所収) を原作にしてロンドンで一年前に上演された4人芝居。日本版・ロンドン版の連続公演。ロンドン版はまだ余裕があるようです。日本版は7月9日までシアタートラム。70分。
ある日サラリーマンの男が帰宅しようとすると自分の家が立て籠もり犯に選挙されている。犯人を説得できるのは犯人の妻だけなのだが、彼女は説得を引き受けてくれない。彼女の家に説得を依頼しに行く男はやがて。
筒井康隆の、しかも初期の作品をきちんと知っているのならばその世界だということはわかります。が、単にNODA MAPのファン、ということで観てしまうと物語は辛いかもしれません。笑いはありますが、決して多くはありません。前回の「ロープ」ほどではない気がしますが、怒りに端を発して狂気に落ちていく姿はともかく、ともかく女性や子供の描き方は時代なりに薄っぺらで(それ自体が筒井ワールドだという側面があるのですが)これを観ている女性は果たして楽しいのか、と思ってしまうのです。
ネタバレかも
ほとんど悲劇の部屋の中の出来事なのだけどそれがルーティンになっていく過程、あるいは無責任に 過ぎるメディアのあり方、役に立たない警察機構、あるいは頭の中で何かがうごめく瞬間から狂気への流れ。70分とは思えないぐらいの情報量は、芝居の濃さに繋がります。
凝縮され、たった4人の舞台は物語に馴染めなくても間違いなく楽しめると思います。野田秀樹という役者がほぼ出ずっぱりなのも最近は少なくなってきているので魅力。一枚で継ぎ目の見えない紙を使った演出はシンプルで美しいのです。あたしは終幕のほとんど紙くず、というあたりが実に印象的でした。
一曲使われている曲もちょっと面白い、このあたりのCD(amazon)に入っているようですが。
NODA MAP番外公演「THE BEE (日本バージョン)」
2007.6.22 - 7.9 シアタートラム
作・演出 野田秀樹
出演 野田秀樹 秋山菜津子 近藤良平 浅野和之
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