【芝居】「西遊記~Psych-you-kick~」SUPER☆GRAPPLER
2007.6.3 17:00
西遊記に着想したスパグラの新作。100分。公演は終了。
妖怪が蔓延る7世紀の中国。妖怪を力で抑える「蟠桃園(ばんとうえん)の桃」を手にした帝の治世。その圧倒的な力を狙う妖怪たちや身内たち。三蔵も妖怪を手下に連れ、その桃を手に入れようとする。その
西遊記の登場人物たち、背景や小道具を組み合わせながら、西遊記そのものというよりその前日譚的なつくり。 疾走感で一気に走り切っています。三蔵が悪人だったり、人間の帝と妖怪の妃と娘の関係だったり、二人の僧侶の関係だったり、いくつか物語になりそうな枝葉はありますが、必ずしもそれがメインの物語に繋がらないというか、そのメインが実は無い感じ。結果、とっちらかった物語を収束させ切れない感じが残ります。
見た目に色気のある役者・羊吾が出演しない最近のスパグラなのですが、コミックバンド・エレキ隊の二人を迎えて、見た目に麗しくギャグも出来る男優をきちんと配置しています。好みはありましょうが、確かに目を引きますし、このスタイルにはよくあっていると思います。
スピード感とあわせて彼らの売りであるギャグに関しては、少々残念な印象。 ボケ倒しというよりは、笑わせる部分の多くが中学生のような下世話さで、女性の作演という感じがしないのです。いや、中学生男子の考えるそういう、くっだらない話自体は嫌いじゃないのですが。
新感線を頂点とする、こういうスタイルの芝居はもっとあっていいと思うのです。新感線があまりに強力すぎるし、小劇場という枠組みではどうしても貧乏くさくなってしまうのが厳しいところなのだけど、それをイキオイで押し切れる彼らは、アタシ好きなのです。衣装の全てにSUPER☆GRAPPLERのタグを付けているなんてこだわりも楽しい。ですが、本作に関して云えば物語にまとめきれていないという印象は捨てきれません。
太宗皇帝を演じた三井俊明は常連だけあってさすがの安定感、笑いもちゃんと取るし落ち着きもちゃんと見せる感じ。狐阿七(こあしち)は元々大王という設定なのだけどそれを色気過剰の猫娘に体現した川崎麻衣はキャラクタの良さもあって印象的。
SUPER☆GRAPPLER「西遊記~Psych-you-kick~」
2007.5.31 - 6.3 シアターモリエール
作・演出 園山琴絵
出演 渡邉哲 池内直樹 原田明希子 鈴木俊哉 田村淳子 園山ことえ 江実なつこ(桃色バンビ) 白川直子(ククルカン) 島田雅之(ダブルスチール) 山本卓(Afro13/エレキ隊) 松崎史也(Afro13/エレキ隊) 長谷川太郎(少年社中) 川崎麻衣(劇団前方公演墳<前墳バックドロップス>) 三井俊明 平川道子 根本貴 橋本浩人
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