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2007.06.02

【芝居】「しゃべる猫とだらしないひと」猫の会

2007.6.1 20:00

北村耕治の立ち上げたユニット、「猫の会」の旗揚げ。三谷麻里子の演出。90分弱。4日まで王子小劇場。

猫の多い町、部屋にゴロゴロとして働かない男。貯金を食い潰し中。好きだった女の子の結婚を聞きブルーになり、その相手を聞きまた…。階下に引っ越してきた綺麗な女の子にときめき。
猫の間に静かに広がる病気はやがてオオゴトになり。

猫を飼ったことがないアタシです。それでも町で出会ったり学生の頃のバイト先事務所に居た猫とのじゃれあいやら、間合いの感じは実にリアルな感じがします。俳優が演じる猫たちはことさら鳴いたりはしないし、あろうことか直立歩行まで平気でしちゃうのだけど、ちゃんと猫と感じさせ猫好きが描いた風景がそこにはあります。

ネタバレかも。

ゆるくて優しい話、という売り文句はそのとおりに。猫たち自身には起きていることが理解できずに不安になる気持ちと、その外側に人間の視点を置くことの対比は面白く感じます。反面、やさしいといえば聞こえはいいものの、静かで平板に感じるのは事実ですし、風景以上の語られるべき物語が作家にあることをアタシは求めてしまうのです。

終幕に向けて、いくつかの「わかりあえない」こと。悲しい感じはあるのだけど、ことさら泣かせるわけでもなく、それでも淡々と日々が過ぎていくと思わせるのです。

「だらしないひと」の周囲に居る女性達はそれぞれのキャラクタがありますが、どこか風景のように描かれています。それなのに、その家に出入りする猫はもっと濃く「生きている」感じで、そんなことからも作家の視点が猫にあることが感じられます。池田ヒロユキは役柄のせいもあってその中心にきちんと「居て」かつコミカルさにも余裕があり安定感を感じさせます。前回が乞局だとは、この振れ幅の凄さはどうだと。

猫の会「しゃべる猫とだらしないひと」
2007.5.31 - 6.4 王子小劇場
作  北村耕治  演出 三谷麻里子
出演 池田ヒロユキ(リュカ.) 伊坂亮(東京コメディストアジェイ) 佐藤達(桃唄309) 澤唯(projectサマカトポロジー) 高園陽子(SPARKO) 田辺麻美 塚西勇太 徳元直子(劇団ぐるぐる牛) 中野架奈 バビィ(桃唄309)

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