【芝居】「一人じゃない〜神様の夜(Bプロ)」KAKUTA
2007.6.23 19:00
KAKUTAが続けている朗読を主体としたパフォーマンスシリーズ
(1,
2,
3,
4,
5)の4回目、4プログラム構成のBプロ。このシリーズのホームグラウンドともいうべき恵比寿・siteで7月15日まで。(A/Bは7/1まで)75分。冷房も完備され9204年(ご指摘感謝)当時とは比べものにならないぐらい快適です。
酔っ払って拾った本を携えてルームシェアしている兄のところに行く弟が「ひとりじゃない」。
隣の女性に預かった綺麗な壷から「クリスマス」。
一人暮らしの女の家、近所の子供がきてぽつりぽつり話しながら「星の光は昔の光」。
川上弘美のテキスト「クリスマス」「星の光〜」(amazon-「神様」所収)をベースに構成。間をつなぐ構成となる「ひとりじゃない」はちょっと見つけられません。オリジナルかも知れませんが。
ネタバレかも
川上弘美の二本は、コスミスミコなるツボの妖精というか迷い霊というかが出てくる物語。愚痴り酔っぱらい語り合う女友達の姿を描く「クリスマス」。これ自体は何かの物語というよりは、そうやって語り合う情景こそこのテキストの魅力がある、とアタシは思うのです。
もう一本はコスミスミコは出てきても、じつはほんのちょっとで、年齢の行った女性と、子供の男の子との、駆け引きとはちがう、お互い知立ち入れない微妙な関係と、それによる気持ちの揺れを描く一本。町田での公演でも取り上げられたもの。あたしはこれが結構好きなのです。はっきりとは明示されてないけれども、手を繋ぐ瞬間の「私」の高揚した感じが実に良くて。恋心、と一言で書いてしまうのももったいない、そんな気持ちが実に素敵。たとえば「SKIP」(キャラメルボックスでの上演-1,2)での教師と生徒のキャンプファイヤーのシーンを抽出して凝縮した感じ。
「私」を地の文として、相手の言葉を括弧書きの中にいれる文体なのだけど、この上演では朗読と人物ははっきり区別しています。が、やはり「私」には作家・川上弘美自身がかいま見える雰囲気があって(いえ、知り合いではないのだけど)、それも楽しみの一つ。「星の光〜」で「私」を演じた高山奈央子が出色で、雰囲気も佇まいも実に作家の感じがして、見ているだけでどきどきと。コスミスミコを演じた小橋めぐみは、ちょっとふぬけた感じと美しさの危ういバランスを体現していてキャスティングの強みに唸ります。読本にはない、クリスマスの雑踏やレストランの周囲の人々、の(セリフのない) シーンがちょっと面白い。
KAKUTAと川上弘美+Friends「一人じゃない〜神様の夜(Bプロ)」
2007.6.23 - 7.1 ギャラリーSite
読本 川上弘美「神様」 構成・演出 桑原裕子
出演 高山奈央子 田村友佳 大枝佳織 原扶貴子 馬場恒行 桑原裕子 小橋めぐみ 窪田道聡 (RAT)/ピアノ 高戸渉
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2024」サードステージ(2024.09.08)
- 【芝居】「雑種 小夜の月」あやめ十八番(2024.09.01)
- 【芝居】「ミセスフィクションズのファッションウイーク」Mrs.fictions(2024.08.30)
- 【芝居】「氷は溶けるのか、解けるのか」螺旋階段(2024.08.27)
- 【芝居】「BIRTHDAY」本多劇場グループ(2024.08.20)
コメント
最初のパラグラフの「92年」は「04年」のお間違えでは?
今回は冷房が利いていて、本当に極楽ですね。
投稿: 荻野達也 | 2007.07.07 23:18
荻野さま:
ああ、仰るとおりです。2004年ですね。本文も修正しました。
投稿: かわひ_ | 2007.07.08 15:00