【芝居】「5 seconds」風琴工房
2007.6.16 1900
アタシが初めてパラドックス定数に出会ったあの瞬間を。60分、17日まで駒込ラ・グロット。
羽田沖わずか着陸五分前に墜落させた機長と弁護士の接見。機長は果たして正常だったのか、あるいは。
若い男の役者二人。実力とは別に彼らの見た目でこの緊張感のある空間を形づくれるか、という心配は杞憂でした。作り込まれた会話は役者や演出が変わっても揺らがない強さを持っているのです。もちろん役者も演出の力があるゆえ、なのですが。
オリジナルを見ていても記憶あいまいなことばかりなアタシです。コクピットの中での会話、その人間にとっての、争う気持ちと責任を取るという感覚。前回観たときは組織が個人を切り捨てる過程という見方をしていたアタシですが、今回の印象は被告の中では矛盾していないのに傍目には明らかに「オカシイ」と造形された人物。鼻持ちならないエリート意識とけ落とされるのではないかというプライドを持続するストレス、背中に大人数の命を預かるという重圧など、さまざまが複合して彼をそうさせたのですが、その瞬間まで、彼は彼の論理の中で実に筋道立てて行動しているという作家の想像力に改めて舌を巻くのです。笑いは殆どありません。緊張感をじぞくさせるkとが最も魅力の戯曲、劇場内に張り巡らされた緊張感が気持ちいいのです。
小さな空間ということもあって、チケットは完売。普通は劇場ではないこともあってか、開演10分前に観客が全員揃ってしまうというのも楽しみの現れ。客を待たせずに開演してしまう、というのも普段なかなかない体験でした。
風琴工房Crossing「5 seconds」
2007.6.16 - 6.17 la grotte
作 野木萌葱 演出 詩森ろば
出演 山ノ井史 浅倉洋介
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