【芝居】「サロ・ギュラ」zupa
2007.5.27 17:00
山の手事情社の水寄真弓とOrt-d.dの倉迫康史の二人のユニット、zupa(ズッパ)、旗揚げ作を半年弱経ての改訂再演。「印象」スタイルの90分。29日まで、下北沢・小劇場楽園
「サロメ」と「カリギュラ」からテキストを抽出・再構成する「印象」の手法。好きでたまらない気持ちの歪みを数多く見せるのは初演と同じ。たったひとつのシンプルな気持ちを肥大化させ、膨大なシーンで繰り返して見せるのです。ほんとはこの二本、読んでから観るべきだったなぁと思いつつもまたしても忘れてしまうアタシなのです。
初演から変わっている感じを受けるのは、「水の底から水面にある月」というモチーフになっている感じがします。時間としては大差ないのですが、シーンのバリエーションとしては、ゲームやアドリブっぽいシーンを減らして、よりテキストに近づいている感じを受けます。美しさや張り詰めた緊張感は今作ではレベルアップしている反面、少々小難しい感じも受けます。「(好きでたまらなくなり)追う女」はより明確に示され、いくつも舞台を走り抜ける女優のシーンがあります。
劇場は真ん中に大きな柱、ほぼ正方形の舞台を隣り合う二辺から観るように客席をしつらえています。初演ではあった二階席はなくなっています。当日パンフによれば演出の力点にそれは影響しているようです。
好きなのに好きになってもらえない、まあ片想い。それが鬱屈してしまう想いを執拗に描くこの一本は、アタシはホントに好きなのです。
新たに追加されたであろう「殺し屋」が秀逸。男の身勝手さを描いた後に、女とこの殺し屋の会話で気持ちの動きを丁寧になぞります。「好きな人を殺したいと思う瞬間は絶頂の手前」、という女二人の会話もいいのです。アタシが何より好きなのは、終幕、酒飲みの男の一人呑みのシーンが一番好きなシーン。柿ピーで泣けるこのシーンは、初演で観てて、今回その予兆だけで泣いてしまうっていうアタシもどうかと思うのですが。
zupa「サロ・ギュラ」
2007.5.25 - 5.29 小劇場「楽園」
構成・演出 倉迫康史
出演 水寄真弓 八代進一 藤谷みき 牧山祐大 緒田かなみ 柏原直人
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