【芝居】「7」studiosalt(スタジオソルト)
2007.5.18 19:30
横浜の劇団、ソルトの新作。決して明るく楽しい芝居ではないのだけれど、ずしりと響く深さと力を感じる70分。24日まで相鉄本多劇場。
愛護管理センターという場所。働く男たち。動物を「処分」するところ、自慢できる仕事ではないが毎日を着実にこなしていく。長年連れ添ったペットを持ち込んできたり、引き取るといって来たり。
この劇団の芝居には大きく二つの流れがあります。笑い、暖かい系統(「トントコトン」「ピクニック」)と、少し突き放した感じで救いが少ない感じの系統(キヨシコノヨル」)。今作はどちらかというと後者にあたります。本公演の他、ここ数作のリーディングも含めどちらかというと前者に近い作品が多かったので、久し振りな感じを受けますが、初見から一年半を経て、役者も物語もスタッフも、見応えを増してきています。好きかキライかで云えば、断然「ピクニック」を取るアタシですが、これも確実に彼らの物語なのです。
ねたばれかも
長年連れ添った犬を手放すのも、テレビに浮かれて施設に来るのも、亡くしてしまったものを買ってきて解決しようとするのもすべて人間がそれより下だと思っている「命」に対する一貫性のなさの現れなのです。それをシニカルに描きながらも、それぞれの事情や、それぞれの気持ちの薄さをきちんと描くことで、ことさら糾弾するでもなく、淡々とカメラのように描き続け、実に濃密な時間にしているのです。
通販で、というDVDのシーンはきちんとオリジナルを作っている丁寧さ。これはたとえばCoRichに動画を載せたり、キャラメルボックスがYouTubeにプロモーションを流しているようなところで着実に効いてきます。それを気づいて手を抜かずちゃんと作っているのは大したもの。
あたしの初見の時に比べれば様々が格段にレベルアップしていますが、それでも役者は必ずしも巧い人々ではありませんし、見目麗しいとも限りません。が、「生きていくこと」をベースに綺麗ではない見せ方で描くという彼らの物語には、この荒削りな感じが合っているとも思うのです。
スタジオソルト「7」
2007.5.16 - 5.24 相鉄本多劇場
作・演出 椎名泉水
出演 增田知也 東享司 shikyo 高野ユウジ 木下智巳 松本・F・光生 麻生0児 富岡英里子 小角真弥 勝碕若子(劇団蒼生樹) ジュンイチロー(J-stage)
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