【芝居】「失神」げんこつ団

2007.5.19 14:00

女性ばかり、「世界一の喜劇」をうたう劇団の新作。20日までタイニイアリス。130分。

20余りのコントっぽい短篇を映像で繋ぐ。父親の仕事を繋ぎたくない息子の苦悩やら、情報保護で公的機関の場所すらわからなくなってしまったり、様々な役割をプロ雇って交換したりという世界の中の様々。

ネタバレかも

なぜか劇団を3つでっちあげてチラシまででっち上げて挟み込んで、３本の「劇中劇団公演」を挟みます。熱意だけの典型的小劇場のSF、お耽美不思議少女的、ブロードウェイ的ミュージカルと、それぞれに「らしい」特徴を抽出して見せています。それなりにらしく形にはなっているのですが、ストーリーは時間も長くなりがちだし、茶化しかたもステロタイプで少々食い足りなくで意図がいま一つ掴めません。

オフィスの風景は彼女たちの得意技ですが、それをマニアの祭典に転化させ、スーツ姿の人々を「サラリーマンマニアの人々」に見せる話はちょっと秀逸。高齢出産で育児が大変なので、インスタントで成長させ、3歳児にして世界を飛び回るビジネスマン、という話は会話はやけに成長しているのにおしゃぶりやおむつといった癖は３歳児のままというのがちょっとおかしい。お見合いする男女、それぞれが家電製品のような豪華装備というある種意味不明のネタも、その後の二人の行く末と合わせて面白く。自由な教育を掲げる私学の話2本は結構よくて、入学したあとに自分をめぐる全ての出来事・人の経費を負担するネタや、「個性」の成績が重要視されるというネタがなかなか。特に「個性」は、先生と生徒の進路指導的な話にやけにリアリティと味があって厚みを感じさせます。

反面、大爆笑編という点では少し食い足りなさが残るのは、アタシがかなり期待してしまうから、というところもあるわけですが。

げんこつ団「失神」
2007.5.17 - 5.20　タイニイアリス
作・演出　吉田衣里
出演　植木早苗　春原久子　岡本恵実　大庭智子　大場靖子　池田玲子(10・Quatre)　河野美菜　高園陽子(SPARKO)　こんどうえみこ(プンプンスプーン)　望月文　吉田衣里