【芝居】「冬のユリゲラー」ヨーロッパ企画
2007.5.12
ヨーロッパ企画の2000年作品三本連続再演企画の二本目はテレビ番組「演技者」でも取り上げられた代表的な一本。15日までザ・スズナリ。125分。
クリスマスイブ、冴えない喫茶店に集まる冴えない男たち。実は彼らは本物の超能力者で、謎の店名に魅せられた常連たち。普段はかくしているが、店長の計らいで、思う存分能力を披露したり、話をしたりするために集まった。ひと通りの技が披露された直後、最後の男が現れる。仲間だと思った超能力者たちは暖かく向かい入れるが。が、彼らの能力を目の当たりにした男は妙な反応をして...
すごい能力なのにしょぼく見せ、笑いにつなげることで一見無茶な世界を構築。そこからいくつかのどたばたをおり混ぜながら実はクリスマスの芝居らしい少し暖かい着地点だったりも。が、まあしかし基本は大爆笑編的な作り。
超能力者たちの微妙にしょぼい感じは彼らの持ち味でもあって安心できる感じ。最初の能力披露が少々長い感じは受けますが、だいたい半分ぐらい、最後の男が現れてから先は俄然面白くて密度の濃いスピード感と笑いにあふれています。後半には、びっくり人間の話とADの話という二つの話があり、ADはさらに二つのエピソードからなると思えば、基本的にお膳立てに過ぎない能力披露との分量のバランスが悪い感じはします。
とはいえ、後半に密度が濃いのは観客の満足感という視点でみればまったく正しいともいえ、微妙なバランスなのかもしれません。
「〜ピラミッダー」でも感じたのですが、舞台の上でやけに半円形に固まって坐ったまま話すような感じのシーンが多いのです。映像ならばそれをカット割りにも出来るのですが、笑いを主体にした舞台の場合だと、この動きの幅のなさはちょっと厳しい感じも。上演前にある近年作のDVD告知などを見ると、最近のものはもっと舞台っぽいようですが。超能力者とはいえ、登場人物たちは善意の塊のようなところはあって、この人物の造形がADにまつわる二つのエピソードに効果的に効いてきます。みた後に残る爽快な感覚は、笑いというだけではなくて、このいい奴ら加減ゆえなのかもしれません。だれでも笑って楽しめるこういうタイプでクオリティを維持している芝居というのは、もっといろんな人に気楽にみてほしいなぁと思うのです。
ヨーロッパ企画「冬のユリゲラー」
2007.4.15 - 4.22 インデペンデントシアター2nd
2007.5.5 - 5.15 ザ・スズナリ
作・演出 上田誠
出演 諏訪雅 土佐和成 中川晴樹 本多力 山脇唯 人羅真樹(イクイプメン) 首藤慎二(ベビー・ピー) 岡嶋秀
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