【芝居】「抜かりない奴らに、ジレンマ。」電動夏子安置システム
2007.4.29 19:00
アタシは初見です。作り込んでいる感じはします。150分。30日まで萬劇場。
死刑判決を受け拘置されている自称予言者は、自分はここから出られるが、少し先の未来が読めないのだという。
拘置所前の差し入れ屋。再婚でこの店にやってきた女は未来が見えてしまう。その能力ゆえに周囲は振り回され..
ネタバレかも
この混乱の中心となるのは、「未来を見通してしまう女」。その通りになるまで何度でも周囲を巻き込んでやりなおしさせる。その世界を阻害する物は居ないことになり、下手をすると殺されたりもする。周囲には10人以上まともな大人が居て、しかもその女だって銃のような圧倒的な力を持っているわけでもないのに、彼女の世界を壊さないように混乱しながらその世界についていこうとする、というあたりがどうしても無理を感じます。
消えた人物もなぞるセリフに巧くのれば人の役割を奪い取ってなりすますことが出来る、というルールは秀逸。チェスに対する将棋のようなもので消えたコマが復活できるというルールはふくらみがあります。反面、このルールばかりではなく、入れ替わり・役そのものが消えてしまうことなど、複雑に過ぎる感じ。混乱するのは物語世界だけでなく、観客も相当迷うと思うのです。時間の迷宮に捕らわれ、同じことを繰り返す物語の運びは、いわゆる段取りも含め、相当に書き込んだということはよくわかります。役や役者のキャラクタに落差をつけてメリハリをつけないと、「何が起きているかわからない」と思うのです。その意味で、たとえばなしお成が演じた役は、逆ギレする太った女、というわかりやすいキャラクタではありますが入れ替わりも明確だし、メリハリがはっきりしていわかりやすいのです。
女一人の好みで世界が作られ、繰り返しが始まるのも可否が決まるのも、彼女の心ひとつなのです。繰り返していく中で何がダメで何が通るのか予想が付かないのも混乱のもととなっている気はします。この部分がキモなのでしょうから、入れ替わり、繰り返し自身はもっとデフォルメするか、あるいはもっとシンプルでも描きたい世界はちゃんとできる気がするのです。
消えていく人物達が椅子取りゲームのようになっていく終幕の一シーンはちょっと印象的。こういう感じを作りたかったのだろうなと思います
電動夏子安置システム「抜かりない奴らに、ジレンマ。」
2007.4.26 - 4.30 萬劇場
作・演出 竹田哲士
出演 渡辺美弥子 高松亮 小原雄平 道井良樹 じょん(中川崇宏あらため) 澤村一博(電動夏子安置システム) 小笠原佳秀 西畑聡(劇団ボスカレ) 中泉裕矢(経済とH) 野口雄介(神様プロデュース) 尾本貴史 窪田智美 佐々木いつか 瀬尾卓也 中川優子 なしお成 南佳那
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